公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
POL500P1－125（政治学 / Politics 500）公共政策実践論1（地方自治研究）Public Policy Studies 1
渡部 朋宏、伊藤 哲也、小西 真樹Tomohiro WATANABE, Tetsuya ITO, Masaki KONISHI
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X9060 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期前半/Fall(1st half) |
| 曜日・時限Day/Period | 土 3/ Sat.3,土 4/ Sat.4 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市院棟‐301 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
公共政策学専攻 （修士課程）公共マネジメントコース専門科目 |
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Outline (in English)
【Course Outline】
Three instructors with practical experience in local governments will give classes in an omnibus format on three themes that are important for local governments to advance their policies: town planning and development administration, local assemblies, and resident theory. Lectures will be given on the concept and system of "residents" who are an essential component of local governments, and the situation and system through analysis of "local councils", as well as practical examples of town planning and development administration, which is a field of public policy of local governments.
【Learning Objectives】
The goal of this subject is to learn and acquire the basics of town planning and development administration, analysis of local councils, and resident theory.
【Learning activities outside of classroom】
After each class meeting, students will be expected to spend two hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policy】
Activeness in presenting opinions and discussions during class (80%), submitting and presenting reports (20%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
・地方自治体が政策を進めていくうえで重要なまちづくり行政、地方議会、住民論の３つのテーマについて、地方自治体での実務経験のある３名の講師がオムニバス形式で授業を行う。地方自治体にとって不可欠な構成要素である「住民」の概念や制度、「地方議会」の分析を通じてその状況や制度について講義を行うと共に、地方自治体の公共政策の一分野であるまちづくり行政について、実例等の紹介により講義を行う。
３つのテーマを通じて、公共政策及び地方自治を研究・分析する視点を学び、研究課題の設定につなげる。
・各テーマの概要は以下の通り。
・自治体のまちづくり行政：自治体が法令や行政制度を活用しながら行うまちづくりについて、自治体のまちづくり行政と称し、講義を行う。その詳細や実例について体系的に学ぶことを目的とする。
・地方議会の分析：重要な公共政策の決定を行う地方議会の分析を通じて、地方自治の研究手法としての計量分析の初歩について学ぶとともに、その状況や制度について理解することを目的とする。
・住民論：東日本大震災及び福島原発事故により避難生活を余儀なくされた住民をテーマとして「住民論」の基礎を学ぶとともに、自治の現場で発生している課題を研究につなげる手法の修得を目的とする。
到達目標Goal
・自治体の都市政策、公共政策の実践としてのまちづくり行政の手法について学び、公共政策における役割や効果について学ぶことができる。自治体でまちづくり行政に携わっている方や今後携わりたいと考えている方々に対し、公共政策を実践していくための知識や課題認識の設定につなげる。
・地方議会の分析を通じて、重要な公共政策を決定する地方議会の状況や制度について理解をするとともに、地方自治の研究手法としての計量分析の初歩（統計的推定、統計的仮説検定等）について理解をした上で、必要に応じて自己の研究への活用が行えるようになる。
・住民に関する先行研究、関連する各種判例、住民登録制度の歴史的経過を踏まえ、住民概念の形成過程を理解する。また、より実践に即した研究課題へのアプローチ、方法論を学び、自己の研究テーマを深化させる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
・原則として対面で授業を実施する。
・３人の講師によるオムニバス形式での講義を行う。毎回、講師がパワーポイントなどの資料を準備して講義を行い、原則としてディスカッションにより授業を進める。授業の主体は受講者であり、積極的な発言を求める。また、テーマにより、事前に参考書を読んでおくなど、関連する情報を集め、問題意識を高めておくことを推奨する。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：自治体のまちづくり行政とは（小西）
イントロとして、自治体のまちづくり行政の概念について説明し、自治体が公共政策の実践として行うまちづくりの手法について概説する。
第2回[対面/face to face]：まちづくりの計画・立法行政（小西）
自治体のまちづくりにおける計画行政（都市計画等）や立法行政（条例、基準等）について説明し、理解を深める。
第3回[対面/face to face]：まちづくりの規制行政（小西）
自治体のまちづくりにおける規制行政について説明し、理解を深める。
第4回[対面/face to face]：まちづくりの誘導行政（小西）
自治体のまちづくりにおける誘導行政について説明し、理解を深める。
第5回[対面/face to face]：公共施設の整備、公共施設マネジメント（小西）
自治体がまちづくりとして行う公共施設の整備及びマネジメントについて説明し、理解を深める。
第6回[対面/face to face]：地方自治研究における計量分析の意義、地方議会制度等①（伊藤）
地方自治の研究における計量分析の意義について理解するとともに、本講義において分析の題材とする地方議会の議会費の概観や地方議会の権限などについて理解をする。
第7回[対面/face to face]：地方議会制度等②（伊藤）
地方議会の議員定数制度等を理解するとともに、行政改革が地方議会に与えた影響を理解する。
第8回[対面/face to face]：議会費の変化の状況とその理由の考察（伊藤）
2000年地方分権改革の前後の一定期間において、地方議会に要する経費である議会費の決算などがどのように変化をしていったかを理解し、その変化の理由について考察をする。
第9回[対面/face to face]：地方議会の計量分析①（伊藤）
地方議会の分析を通じて、地方自治の研究における計量分析手法の初歩について理解をする。具体的には、記述統計、データの可視化・視覚化、相関分析、回帰分析等について学術論文にどのように用いるかを理解する。
第10回[対面/face to face]：地方議会の計量分析②、第６回から第1０回までのまとめ（伊藤）
第９回に引き続き地方議会の分析を通じて、地方自治の研究における計量分析手法の初歩について理解をする。具体的には、統計的推定、統計的仮説検定等について学術論文にどのように用いるかを理解する。第８回及び第９回の講義を踏まえ地方自治の計量分析を受講者が実際に行うとともに、第６回から第10回までの講義のまとめを行う。
第11回[対面/face to face]：東日本大震災と福島原発事故避難の実態（渡部）
本講義の問題意識の原点となる東日本大震災と福島原発事故による全域避難自治体の一つを詳細に検証し、基礎的自治体が直面している様々な行政課題について考察する。
第12回[対面/face to face]：住民概念の考察①（渡部）
住民概念の法的位置づけを整理したうえで、住民の基礎となる「住所」について先行研究や判例をもとに考察を加える。
第13回[対面/face to face]：住民概念の考察②（渡部）
住民概念の先行研究や「住民」についての判例研究を踏まえ、住民の基礎的概念について理解を深めるとともに、原発避難者に対する現行制度の問題点を考察する
第14回[対面/face to face]：住民登録制度の歴史的考察（渡部）
住民登録制度の歴史的経過を踏まえ、今後のあるべき住民登録制度について考察する。また、これまでの講義で取り上げた「住民」についての論点を踏まえ、ディスカッションにより全体のまとめを行う。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・準備学習・復習時間は特に必要ないが、時間内は集中し、積極的に質問や意見提出を行い、ディスカッションに参加する。報告、ディスカッションを行う場合は、調査・取りまとめで2~4時間程度。
・各人が各回のテーマに関連する情報を集め問題意識を高めておくことが望ましい。
テキスト（教科書）Textbooks
特に指定しない。各回、レジュメや資料を配布する。
参考書References
（小西）
・伊藤雅春ほか編著（2017）『都市計画とまちづくりがわかる本 第二版』 彰国社
・橋本隆（2022）『自治体の都市計画担当になったら読む本』 学陽書房
・都市計画法制研究会（2022）『都市計画法令要覧（令和５年版）』 ぎょうせい
（伊藤）
・大森彌（2004）『新版分権改革と地方議会』ぎょうせい
・河村和徳（2015）『政治の統計分析』共立出版
・数理社会学会（監修）筒井淳也・神林博史・長松奈美江・渡邉大輔・藤原 翔（編）（2015）『計量社会学入門―社会をデータでよむ』世界思想社
・松本英昭（2015）『新版 逐条地方自治法<第8次改訂版>』学陽書房
・浅野正彦・矢内勇生（2018）『Rによる計量政治学』オーム社
(渡部)
・今井照・自治体政策研究会・編著（2016）『福島インサイドストーリー 役場職員が見た原発避難と震災復興』 公人の友社
・渡部朋宏著（2020）『住民論 統治の対象としての住民から自治の主体としての住民へ』 公人の友社
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業中の意見発表や議論の積極性（８０％）、レポート提出・発表（２０％）
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生の論文作成テーマとかかわることから履修する場合もそうでない場合も、講義テーマと学生の関心が重なり、様々な質問・意見から相互に学びあうことができる。講義中の質疑による理解の深まりに期待したい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
第10回の講義のみExcelが使用できるパソコンを準備すること。その他の回については、なし。
その他の重要事項Others
・多様な講師による講義であることを活かし、可能な限り、受講者の学位論文の核となるリサーチクエスチョン等についての問いにも応えていく。
・住民論及び自治体のまちづくり行政の講師は現職の自治体職員であり、地方議会の分析の講師は元自治体職員でもあることから、地方自治の研究について問題意識を明確にして授業に臨んでいただければ、実践的・実務的な情報を得て、議論を交わすことができる。また、実務の傍ら、自らの問題意識を基に学位論文を執筆した経験をふまえ、修士論文執筆のための手がかりを提供する。
・地方議会の分析の講義においては、統計学で扱うような内容については最小限に留め、地方議会を含めた地方自治の研究において計量分析をどのように活用するかについて重点的に講義をする。社会調査法の量的分析に関する科目を履修していることが望ましいが必須ではない。
小西
≪略歴≫
現職自治体職員（建築技術職）として、まちづくり行政関連の業務を長く経験
≪専門領域≫
都市計画、都市計画行政、まちづくり、行政制度、地方自治
≪資格等≫
一級建築士、建築基準適合判定資格
≪研究テーマ≫
自治体の都市計画・まちづくり行政、都市計画・まちづくり分野の地方分権
≪主要研究業績≫
①「日本の都市計画法の分権改革に関する研究」法政大学博士学位論文（2022.3）
②「都市計画決定に対する国の関与の範囲の縮減化に関する研究 : 新都市計画法以降の分権改革の経過について」『都市計画論文集』Vol.47 No.2（2012.10）
③「国と自治体の建築・まちづくり行政における役割分担に関する考察―建築基準法の指定道路図及び指定道路調書制度を題材として―」『公共政策研究』第11号（2011.12）
伊藤
≪専門領域≫
地方自治、地方財政、地方議会
≪研究テーマ≫
地方議会の計量分析、地方財政
≪主要研究業績≫
①「議会費の状況と自治体運営 －決算統計等から分析する平成の市区町村議会－」 法政大学博士学位論文（2022.3）
②「財政及び人口の観点からみた市区町村の議員定数の決定要因」 自治体学vol.33-1（2019.11）
③「普通交付税措置と議会費の関係可能性」 自治体学vol.37-1（2023.12）
渡部
≪専門領域≫
地方自治、公共政策、住民論
≪研究テーマ≫
住民概念、地方自治、原発避難
≪研究業績≫
①『住民論 統治の対象としての住民から自治の主体としての住民へ』 公人の友社（2020.12） 自治体学会【研究論文賞受賞】
②「福島原発事故避難の実態と「住民」概念の転換－統治のための住民から住民による自治へ－」 自治体学vol.31-1（2017.11） 自治体学会【自治体学研究奨励賞受賞】
③「震災復興の現状と課題」 地方自治職員研修通巻708号（2018.3） 公職研
④「人口減少社会における「住民」概念の考察～福島原発事故避難自治体の実態から～」自治実務セミナー2018年12月 第一法規
⑤「「住民」概念の研究～統治される対象としての住民から自治の主体としての住民へ～」 公共政策志林第7号2019年3月 法政大学大学院公共政策研究科