国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
ART300GA(芸術学 / Art studies 300)パフォーマンスの美学Aesthetics of Performance
<からだ><音><色彩>―身体表現の可能性
前田 圭蔵MAEDA Keizo
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | C0850 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | パフォーマンス・スタディーズ |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | https://hosei-keiji.jp/wp-content/uploads/2024_fic_bt0300henkou.pdf |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | × |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | 人数制限あり・選抜試験 |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
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Outline (in English)
【Course outline】
The purpose of this class is to deepen our understanding of the cultural, political, and social nature of the contemporary "performing arts," which have been developed mainly through physical expression, from the standpoint of "aesthetics".
In FY2024, the lecturers, who have been involved in the Fine Arts and Performing Arts fields for many years, will focus specifically on the activities of numerous artists with whom they have interacted, especially artists, choreographers, and directors working in contemporary dance and contemporary performance. We will expand our knowledge of their expressions and examine the background behind the creation of their expressions. The featured artists include Trisha Brown, Meredith Monk, Robert Wilson, Pina Bausch, Anne Teresa de Keesmaekel, and other internationally recognized masters of contemporary dance and performance. Through the works created by these artists, we will critically consider the possibilities of "physical expression" and the beauty it brings, as well as its modernity.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to learn about the basic knowledge of contemporary trends in expression by artists in the performing arts and fine arts, as well as the history of art more broadly and its current situation in the world.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than two hours for a class.
【Grading Criteria /Policy)】
Final grade will be calculated according to the following process the term-end report (70%), and in-class contribution (30%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
本授業の目的は、身体表現を主軸に展開されてきた現代の「パフォーミング・アーツ(performing Arts)」のもつ文化性・政治性・社会性について、「美学=感性学(aesthetics)」的立場から捉え直し、考察を深めようとするものです。
2024年度は、長年、美術(Fine Arts)や舞台芸術(Performing Arts)の現場に関わってきた講師が、今まで交流してきた数々のアーティスト、特にコンテンポラリー・ダンスや現代パフォーマンスを基軸に活動するアーティスト、振付家、演出家などの活動を具体的に取り上げ、彼らの表現についての知見をひろげ、表現が生み出される背景を考察します。
取り上げるアーティストは、トリシャ・ブラウン、メレディス・モンク、ロバート・ウィルソン、ピナ・バウシュ、アンヌテレサ・ドゥ・ケースマイケルなど、世界的に活躍するコンテンポラリー・ダンス及びパフォーマンス界の巨匠たち。彼らの生み出した作品を通し、「身体表現」の可能性や、それがもたらす(beauty)、さらにはその現代性についての批評的思考を深めます。
到達目標Goal
(1)現代における舞台芸術や美術などアーティストたちによる表現の傾向について、さらには広くアートの歴史とその現在地についての知見を深めることができる。
(2)アートを通して「クリエイティビティ」とは何か?またそれが社会環境にどのような影響をもたらすのか、について学ぶことができる。
(3)身近にあるアートを鑑賞し、考察することにより、自らの視野を広げ、教養を身につけ、価値観を育むことができる。
(4)アートの最先端とその歴史に触れることで、その背景にある哲学やコンセプト、思想について知見を深め、また批評的視座を身につけることができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の方法】
①基本的には「講義形式」で行いますが、受講生との積極的な対話や討議も行います。
②具体的なアーティストの表現事例について、映像(作品映像、ドキュメンタリー映像、映画・演劇などの映像)や図版、書籍、音源などを上映・再生します。諸作品について、さまざまな解釈や背景の説明などを行い、また授業参加者と議論もしていきます。
③必要に応じ、課外授業としてのフィールドワークや観劇体験なども行う可能性があります。(自由参加型)
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
・講義の目的と概要についての解説を行う。
2[対面/face to face]:ダンス=身体表現の起源①
・ダンス=身体表現と宗教性について考察する。
3[対面/face to face]:ダンス=身体表現の起源②
・ダンス=身体表現とセクシュアリティついて考察する。
4[対面/face to face]:現代におけるダンスの意義①
・モダンからポスト・モダンへ
5[対面/face to face]:現代におけるダンスの意義②
・アメリカン・ポストモダン・ダンスの誕生とその背景
6[対面/face to face]:現代におけるダンスの意義③
・ポップ・カルチャーにおける身体表現について
7[対面/face to face]:パフォーマンスの登場とその衝撃
・ローリー・アンダーソンを中心に
8[対面/face to face]:ジャンルの超越<身体><音><色彩>
・メレディス・モンクを中心に
9[対面/face to face]:コンテンポラリー・ダンスについて①
・ヨーロッパの動向(ピナ・バウシュを中心に)
10[対面/face to face]:コンテンポラリー・ダンスについて②
・バレエの脱構築(ウィリアム・フォーサイスを中心に)
11[対面/face to face]:ベルギー発コンテンポラリー・ダンスの衝撃
・アンヌテレサ・ドゥ・ケースマイケルを中心に
12[対面/face to face]:日本における現代パフォーマンス概論①
・舞踏の誕生・土方巽を中心に
13[対面/face to face]:日本における現代パフォーマンス概論②
・寺山修司、唐十郎を中心に
14[対面/face to face]:まとめ
・身体表現の可能性に未来はあるか?
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業は、1980年代から始まったとされる「パフォーマンス・スタディーズ」研究にもつながる内容となるでしょう。生のパフォーマンスとして表現される「ダンス」や「演劇」つまり「舞台芸術」は、いわば“生もの”ですので、ライブで体験することこそが最も価値あるアプローチではあるのですが、本授業では、残念ながら「パフォーマンス」そのものの体験・観劇はしていただくことは叶いません。ただ、日常の中に潜む様々なパフォーマンス(演劇やダンスなどの身体表現や祭祀や儀礼などの文化的儀式、音楽や美術、言語作品など)に関心を向け、それについて思考を巡らせ、言語化を試みてもらえればと考えています。本授業の準備学習・復習時間は各1時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
特に、特定のテキストは用いませんが、講師が用意したテキストの抜粋などを事前に読んできてもらう、もしくは授業内で配布してその場で読んでもらうことがあります。
参考書References
(1) トリシャ・ブラウン―思考というモーション ときの忘れもの(2006年)岡﨑乾二郎 (著)
(2) ピナ・バウシュ―怖がらずに踊ってごらん フィルムアート社(1999年)ヨッヘン シュミット (著), Jochen Schmidt
(3) 土方巽 全集 1・2 河出書房新社(2016年)土方巽 (著), 種村 季弘 (編集), 鶴岡 善久 (編集)
成績評価の方法と基準Grading criteria
【成績評価】
①授業内での積極的な議論参加、発言・質問など(30%)
②期末リポート(70%)
【評価基準】
①作品に接した際に、積極的に自らの意見を述べること。発言することは、本講義にとって重要な評価基準になっている。
②期末リポートは、単なる「感想」ではなく、あくまで「批評(critique)」を意識してください。「批評」には、一定の「規準(criterion)」が前提されている必要があります。
(1)自らの「評価規準」が明確であること。
(2)自らの「評価規準」に照らして、自分の意見・主張が明確に述べられていること
(3)自分の意見・主張を読み手に説得的に表現できていること
(4)自分の表現が自分勝手な思い込みによる羅列ではなく、きちんと論理的に組立てられて述べられていることこの成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし / None
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし / None
その他の重要事項Others
・本講義が目指す目標は、「アーティスト=表現者」それぞれの美学的アプローチやその実体、つまり作品についての知見を深めることにより、受講生が自分の価値観や美意識をあらためて問い直すことにある。広大な地平が拡がるアートの世界の一端に触れ、特に20世紀以降、現在にまでつながる「パフォーミング・アーツ」の最前線から大いに刺激を受けていただきたい。
・インターネットやマスメディアで流通する、いわば表向きの情報とそれによって形成される価値観をいったん忘れ、未知の価値や新たな美意識の発見につながるきっかけとしてほしい。ゆえに、本講義では、誰もがもつ<身体>をキーワードに、自己と他者の関係性について思考を巡らせ、また既存の価値観を批評的に考察し、時には積極的な変化もいとわない勇気をもつ学生の参加を望む。
・本科目は「表象文化」の科目群に位置づけられているが、本科目が重視する「現前性(presentation)」は「表象(representation)」概念の批判を含んでいることに注意すべきだろう。「現前性」にとって重要なのは、「現場性」・「直接性」・「現在性」に特化した「パフォーマンス性(performativity)」であり、「いま・ここ」を最大限重視するアート作品に積極的に関与し、参加する態度であることを明記しておきたい。
受講上の注意
・授業に積極的に参加し、自らの価値観を問う実践(パフォーマンス)を行わない学生の参加は遠慮してもらいたい。
・受講生多数の場合は、初回の授業で選抜することも考えているので、初回の授業には必ず出席すること。初回の授業に参加しないものは、受講を認めない場合もあるので要注意。