国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
PHL300GA(哲学 / Philosophy 300)こころとからだの現象学Phenomenology of Mind-Body
押山 詩緒里OSHIYAMA Shiori
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | C0802 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水4/Wed.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | https://hosei-keiji.jp/wp-content/uploads/2024_fic_bt0300henkou.pdf |
配当年次Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
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Outline (in English)
【Course outline】
What does it mean to be"I am what I am"?
This course aims to consider how "I am what I am" relates to the experience of body and mind, using Shogo Tanaka's text.
Is it really a matter of course that the "I" of today and the "I" of tomorrow are the same being? If you were to switch your mind and body with someone on the other side of the world, which one would you say is yourself? Or, if you suddenly lost your memory, would you be able to say that the "you here and now" with the same body is the same being as you were before? On the other hand, if you were in a serious accident and all of your body parts except for your cranial nerves were replaced by machines, would you be able to say that the "you here and now" is the same being as you were before?
Furthermore, the connection between "I am here and now," "my mind," and "my body" may not be self-evident. For example, when someone in front of you is hurt, you may feel pain as if your own body is being hurt right now. Or you may have felt as if your own body was not yourself, as if you were somehow disconnected from reality.
Who am "I" and where am "I" ? What does it mean to "live my life here and now"?
The purpose of this course is to learn about the relationship between "I," "my mind," and "my body," using the ideas of past philosophers and various thought experiments as clues.
【Learning Objectives】
・To acquire the ability to think philosophically about the relationship between "I", "my mind" and "my body".
・To learn the basic history of thought on "mind" and "body," and then to learn the ability to apply it in relation to contemporary issues.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term-end examination: 30%, Short reports: 30%, in class contribution: 40%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
こころとからだの関係を考える
あなたたちには「こころ」が「あります」か? 多くの人が「こころがある」と答えると思います。それでは、次の質問です。「それでは、あなたが言うように「こころがある」ならば、それは「どこにあります」か?」。ほとんどの人が「頭にある」、より正確には「脳にある」と答えるかもしれません。それでは、「こころが頭(脳)にある」ならば、こころと脳とは、どのように関係していますか?」。「こころがある」と答えた人に質問します。それでは、「こころは見えたり触れたり、知覚できたりしますか?」。もしも「こころ」が見えたり触れたりできないのに、あなたはどうして「ある」と言えるのでしょうか? あなたは「自分で体験しているから」と答えるかもしれません。それでは、「自分で体験するから、「こころはある」のですか? それでは尋ねますが、「あなたの体験は、あなたの「どこで」するのでしょうか? こころで体験するのですか? からだで体験するのですか?
私たちは、「こころがからだにある」とか「こころを持っている」と日常生活の中で疑問を持たずに漠然と信じています。ただ、哲学はこうした常識を徹底的に疑います。何も前提にしないこと、それが哲学的立場としての「現象学」のモットーです。そこで「こころとからだの現象学」という本科目は、「こころとからだ」を考え、それらがどのように結びついているのか(結びついていないのか)について徹底的に追求していきます。
「私が私である」であるとはどういうことか?
2024年度は、田中彰吾『生きられた「私」をもとめて――身体・意識・他者』を基本的なテキストとして、「私が私であること」が心身の経験とどのように関係するのかを考えていきます。
今日の「私」と明日の「私」が同一の存在であることは、はたして「当たり前のこと」でしょうか。もし仮に、地球の裏側にいる誰かと「こころ」と「からだ」が入れ替わってしまったとき、どちらが「私」だと言えるでしょうか。あるいは、突然記憶喪失になってしまった人は、同じ体をもつ「この私」は、これまでの「私」と同じだと言えるでしょうか。それとは逆に、大きな事故に遭って脳神経以外の身体のパーツが全て機械と入れ替わってしまったと仮定したとき、同じ記憶をもっている「私」は、これまでの「私」と同じだと言えるでしょうか。
さらに、今・ここにいる「私」と、「私の心」と「私の身体」の結びつきも、けっして「当たり前のこと」ではないかもしれません。たとえば、目の前の誰かが傷ついているときに、あたかも今まさに自分の身体が傷ついているかのような痛みが走ることがあるかもしれません。それとも、自分自身の身体がまるで自分ではないかのように、どこか現実離れした感じをもったこともあるかもしれません。
いったい、「私」は誰で、どこにいるのでしょうか。今・ここで「この私」を生きるというのは、どういう意味でしょうか。
本授業では、「私」と「こころ」と「からだ」の関係性について、過去の哲学者の考え方や、様々な思考実験を手掛かりとして学んでいきます。
到達目標Goal
・「私」と「こころ」と「からだ」の関係について、自分自身の頭で考える思考力を身につける。
・「こころ」と「からだ」の基本的な思想史を学び、その上で現代的な問題と結びつける応用力を学ぶ。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の進め方】
本科目は、原則的には講義形式で行いますが、人数が多くない場合は演習形式も取り入れていきます。必要に応じて受講生たちから積極的に意見を聞くなどして、受講生1人ひとりが自分の「こころとからだの関係」に対して自覚的になるように、授業を進めます。というのも、現象学という哲学の立場は、主観的体験を重視し、自らの体験に基づいて哲学的な問いを立てていく哲学の立場だからです。
【授業の方法】
授業は、基本的には、田中彰吾『生きられた「私」をもとめて』の解説に即して授業する予定です。事前に必要な箇所を読んで、授業の準備をしてくださると理解が進みます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
・授業の概要
・「私」はどこにいるのか?
2[対面/face to face]:「こころ」と「からだ」の哲学①
・デカルトからカントまで
3[対面/face to face]:「こころ」と「からだ」の哲学②
・現象学と「生きられた経験」
4[対面/face to face]:「からだ」と「私」①
・ラバーハンド・イリュージョンと離人症
5[対面/face to face]:「からだ」と「私」②
・自己の身体と他者の身体
6[対面/face to face]:「からだ」と「私」③
・鏡に映る「からだ」は「私」か?
7[対面/face to face]:「こころ」と「私」①
・夢の中の経験
8[対面/face to face]:「こころ」と「私」②
・脳の機械化と「私」
9[対面/face to face]:「こころ」と「私」③
・共感覚とアイデンティティ――想像力による統合
10[対面/face to face]:他者と「私」①
・他者に心はあるのか?――哲学的ゾンビの思考実験
11[対面/face to face]:他者と「私」②
・認知科学的心理学と他者認識
12[対面/face to face]:他者と「私」③
・「人々の間の身体的行為」としての自己・他者認識
13[対面/face to face]:世界経験とケア
・相互承認による存在の回復
14[対面/face to face]:授業のまとめ
・全体の総括と質疑応答
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・資料として提示しているテキストを事前に読んで、レジュメを書いて、提出できるように準備しておいてください。レジュメの形式などについての諸注意は、最初の回にアナウンスします。
・本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
・田中彰吾『生きられた「私」をもとめて――身体・意識・他者』北大路書房、2017年
参考書References
・トマス・ネーゲル『哲学ってどんなこと?――とっても短い哲学入門』岡本裕一朗・若松良樹訳、昭和堂、1993年
・ダレン・ラングドリッジ『現象学的心理学への招待――理論から具体的技法まで』田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子訳、新曜社、2016年
・田中彰吾『自己と他者――身体性のパースペクティヴから』東京大学出版会、2022年
・木田元『現象学』岩波書店、1970年
・ステファン・コイファー、アントニー・チェメロ『現象学入門――新しい心の科学と哲学のために』田中彰吾・宮原克典訳、勁草書房、2018年
※ その他については、授業内で指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・討議への参加(30%)・授業内発表レジュメ(30%)・期末課題レポート(40%)。
以上を総合的に評価し、評定を決める。この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
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学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
リアクションペーパー、課題提出等に授業支援システムを利用することがある。授業前後に確認すること。
関連科目
・「こころの科学」は姉妹科目である。合わせて履修することを推奨する。どちらが先でも良い。「こころ」について多角的な捉え方を学ぶことは人間について理解を深める基礎となる(甲先生)。