国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
HUI200GA(人間情報学 / Human informatics 200)仮想世界研究Studies of Virtual Space
君はヒトですか、と問う時代 ― 仮想世界とAIが拓く世界
甲 洋介Yousuke KINOE
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | C0434 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 市Y‐Y705 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 情報関連科目を履修済みであることが望ましい |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | 初回の授業に出席すること |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
This class addresses the enlargement of "Virtual World," as one of the essential issues of our modern society. By the end of the course, students understand and should be able to explain a set of its key concepts: (1) the virtuality vs. the reality," (2) the issue of "self and identity" within cyber spaces, and (3) how to cultivate this society which integrates real world and virtual worlds.
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four hours to understand the course content.
Final grade will be decided based on (1) final report/exam (50%) and (2) short reports and the quality of the student’s in-class contribution (50%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
社会の重要なテーマとして「仮想世界」を取り上げる。仮想世界が人工知能と融合して新たな世界観が生まれつつある、と感じている人もいるだろう。本講義は「仮想世界」の問題に対して、受講生が主体となって具体的な視点を用いて検討できるよう、工夫されている科目である。
● 手ごたえのない「現実」 vs. リアルな「仮想世界」
ヒトはかつて仮想世界を作り出した。気がつくと、現実と仮想との境界はますます曖昧になってきたと感じられる。しかしこの2つが理想的にスムーズに接続された状態にはない。AR/XRやメタバースなど、これらを繋ぐさまざまな接合法が生み出されているが、試行段階とみるのが適切であろう。
一方で、私たちの生活のさまざまな場面で、”手ごたえ”=リアリティ(現実感)が薄れつつある、とも指摘される。私たちの日常生活は、仮想世界が浸透することによって何が『変化』し、どのように『拡張』されたのか。そして、それは問題なのか。
● つながっているフリは寂しい? でも親密なのはもっと怖い
「情報」を軸とする変革の波は、社会だけでなく私たちの考え方に対して、深く影響を与え続けている。しかし、私たちはこの変化の意味を十分に把握しているとは言えない。仮想世界がもたらす意味を問い直す。
仮想世界の問題は、物語ではない。私たちの生活に現実に起きている現象である。本講義を通じて受講生は、『ヒトは原初から巧みに仮想(バーチャル)な世界を作り出し、つぎつぎに自分の限界を超えてきた動物である』ことに気づく。この現象の論点を見究め、洞察することを目指している。
到達目標Goal
本科目の履修を終えると、次の基本主題とそれに対する考えを具体的な視点を駆使して説明できるようになる
a. 人間は原初から巧みに仮想(バーチャル)な世界を作り出し、自らを拡張させてきた動物であること
b. 仮想世界における「私」、それはもう一つの「私」なのか
c. 「仮想現実感」(VR)の基本要素とその根底をなす考え方
d. 仮想世界の社会のさまざまな側面への浸透と影響
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業の各回では、具体的なトピックが取り上げられ、自分たちの身の回りに起きている現象を例に取りながら、仮想世界の問題を捉える具体的な視点が提示される。
● 現実世界のリアリティが薄れたと指摘される一方で、仮想世界のリアリティは増しているように思われる。現実世界の生きにくさが実感される中、なぜか仮想世界は”生きやすい”。
仮想世界の構築はあなた自身の欲望が関与する、とされる。私たちは仮想世界に何を求め、私たちの何を変化させ、仮想世界と共にこれからをどう生きようとしているのか。いま問い直す必要があろう。
● 各回の冒頭で前回のおさらいと受講生のコメントを踏まえた解説を加え、その日のトピックにつなぐ。後半は、受講生の討議を促しながら、問題に切り込む論点を提示し、受講生が問題意識を育てる工夫をする。その成果をまとめ、最終レポートまたは期末試験において、総合的に仕上げる。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
仮想世界は、不思議と生きやすい - それはなぜだろう
2[対面/face to face]:仮想世界への誘い
ネットでつながり、戸惑う - なぜか寂しい
3[オンライン/online]:仮想世界における「私」
仮想世界の私、それは仮面の私。それともホントの私?
4[オンライン/online]:仮想世界における「こころ」
現実より、仮想世界のほうに手ごたえを感じるパラドックス
5[対面/face to face]:仮想世界における「こころ」 - ところで、君はヒトですか、と問う時代
戸惑いから受容へ -ヴァーチャルで恋した相手、それは〇〇だった
6[オンライン/online]:【グループ討議】仮想世界と付き合う
『没入』と、仮想世界とのアイロニカルな距離感について
7[対面/face to face]:現実を、仮想空間に取り込む方法
コンピュータグラフィックスの基礎
8[対面/face to face]:仮想現実とは何か
バーチャルリアリティ(VR)の基本概念
9[対面/face to face]:仮想現実とは何か:その根底をなす理論
仮想現実(VR)の構成要素、その根底をなす基本理論
10[対面/face to face]:仮想現実とは何か
仮想現実(VR/XR)技術の様々な分野への応用
11[対面/face to face]:仮想現実の応用:方向性
仮想現実(VR/XR)の様々な分野への応用
12[対面/face to face]:仮想現実の応用:社会が変わる
手ごたえのない経済、手ごたえのない戦争
13[オンライン/online]:【グループ討議】ヒトの欲望と仮想世界
ヒトの欲望を吸収し、膨張しつづける仮想世界
14[対面/face to face]:まとめ、総括討議、多層化する世界
リアルへの回帰か、それとも世界は『多層化』に向かうのか
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
コメントシートも含め、本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
・「接続された心」"Life on the Screen"(S.タークル、早川書房)
・国際会議ACM SIGGRAPH DVD(Association for Computing Machinery)
・「2001年宇宙の旅」 (A.C.クラーク, S.キューブリック脚本, ワーナー社配給)
他、M・ミンスキーのインタビュー記録など、講義で適宜指示をする。
参考書References
・アニメ:「攻殻機動隊~GHOST IN THE SHELL」
・映画:「惑星ソラリス」(アンドレイ・タルコフスキー)
・"Alone Together" (S.Turkle、Basic Books出版)
担当教員の研究プロジェクトや国際学会の資料など、タイムリーなトピックを紹介することがある。 他は、開講時に指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・期末レポートまたは試験 (50%)
・授業・討議における積極性な貢献度合い(発表、コメントシートを含む)(50%)
を総合して評価する。この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
『仮想世界におけるこころ』の問題に、受講生の関心が高いことが分かった。その主題を始め、受講生どうしの討議の時間を十分に取れるように図りたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
資料配布、リアクションペーパー・課題提出等に学習支援システムを利用するので授業前後にアクセスし確認すること。
その他の重要事項Others
いわゆるコンピュータの授業ではないので、注意のこと。
本講義では、討議に積極的に参画し、参加者の協同作業を通じて自らの問題意識を育てる姿勢が重要になる。
履修条件
「情報リテラシーⅠ・Ⅱ」を単位取得済みであること。
関連科目
・「道具のデザイン学」「道具による感覚・体験のデザイン」「文化情報空間論」と組み合わせて受講すると、理解が深まり面白くなる仕組みになっている。
・「メディア情報基礎」を履修済みであることが望ましいが必須ではない。