法学部Faculty of Law
POL300AD(政治学 / Politics 300)オセアニアの政治と社会ⅡSociety and Politics of Oceania 2
今泉 裕美子Yumiko IMAIZUMI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | A0737 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | G601 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 定員制 ※詳細は【授業の進め方と方法 / Method(s)】に記載の通り(3/29追記) |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 成績優秀者の他学部科目履修制度で履修する学生:履修を希望する場合は、所定の手続きに従って申請すること。 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | 自由科目(他学科主催科目) |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | 選択科目(他学科との共通科目・その他) |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) |
選択科目(84単位以上) 選択科目(他学科との共通科目・その他) |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) |
選択必修科目(44単位以上) コース別科目(18単位以上) アジア国際政治コース科目 |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
選択必修科目(44単位以上) コース別科目(18単位以上) アジア国際政治コース科目 |
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Outline (in English)
This course will introduce students a fundamental understanding of the politics and society of Oceania through a focus on the history of Pacific Islands.
The course then examines some important specific issues such as human migration; the processes of imperialism and colonialism; militarization as a neocolonialism; decolonization movement by indigenous peoples; navigation and livelihood in the Pacific Ocean. The focus is on Micronesia-Japan relations. It is strongly recommended that this course be taken after taking “Politics and Society of Oceania I.”
【Learning Objectives】
Students will be able to
1. Understand the Oceania focused on the historical relationship between Micronesia and Japan with reviewing international relations and Japanese modern and contemporary history.
2. Acquire the fundamental understanding of Micronesia-Japan relations especially about imperialism, colonialism, militarism and decolonization.
3. Develop a critical thinking about the role and responsibilities of Japan/ Japanese as a member of Pacific Islands/ Pacific Islanders.
【Learning activities outside of classroom】
The standard time required for preparatory study and review for this class are 2 hours each.
【Grading Criteria /Policy】
1. Reaction Papers, Quizzes and Small Assignments during the semester:50%
2.Term-end Examination or Report(The details will be informed later):50%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
小説家・島尾敏雄は太平洋世界のなかで日本を捉えるために、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに着目し、複数の島々からなる日本を「ヤポネシア」と表現した。これら3つの「ネシア」を含むオセアニアの「島」にくらす人びとは、太平洋に生存を委ね、海を人びとを隔てる存在ではなく、つなぐ存在として捉えてきた。果たして日本にくらす私たちには、そのような認識があるだろうか。
2024年はオセアニアの島々と日本の歴史的な関係において節目となる年である。ひとつは、日本が南洋群島統治を始めるきっかけとなった第一次世界大戦時の南洋群島占領から110周年、いまひとつは、旧南洋群島のひとつマーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが水爆実験を行って70周年である。本授業では、この二つの出来事を柱に、Colonialismをキーワードに学ぶ。
すなわち、メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアなる区分や命名は外来者がによるものであり、欧米、日本の植民地や占領地、そして独立後も植民地下で生み出された民族対立、資源の枯渇、プランテーション経営の”遺産”が、島々の自立に影を落としていることに注目する。また、海面上昇や巨大台風襲来、核実験や放射性廃棄物による被ばくは、オセアニアの人びとの心身を傷つけ、離散をもたらし、社会・文化の消滅の可能性すら生んでいる。こうした事実を知ると同時に、オセアニアの人びとが、植民地化のなかで外来のものの受け入れを強いられ、それと格闘しながら、祖先から引き継いだ知恵をいかし、共同体を鍛え、島を離れた同胞たちともつながりつつ、課題に取り組んできたことを理解する。
以上のことを、ミクロネシア(旧南洋群島)の日本との関わり合いの歴史を中心に学ぶ。
到達目標Goal
1.ミクロネシア(旧南洋群島)と日本との関係史や現状について、研究や情報を適切に選び、批判的に考察するための視点や方法を身に着ける。
2.オセアニアの特に島嶼について、政治や社会の特徴、直面する課題の固有性を自然環境や歴史のなかで理解すると同時に、世界の諸地域に通底する課題としても理解することができる。
3.ミクロネシア(旧南洋群島)に関する情報の所在を知り、それら情報を学術的な方法によって分析、理解し、自身の認識を再構成する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」に強く関連。「DP1」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
1.初回授業はオンラインライブで実施する予定である。受講者数を調整する必要がある場合は、春学期履修登録期間前までに仮登録をしていた学生を対象に次のような選抜を行う。初回授業のリアクションペーパーを定められた方法と期限(初回授業時に説明)までに提出してもらい、提出者のなかから選抜し、第2回目授業までにHoppiiにて通知する。
2.リアクションペーパーなど提出物で注目すべきコメントや質問があれば、授業内で紹介し、受講生のさらなる学びにつなげる。
3.オセアニア情勢、学生の関心、理解度に応じて、授業計画を一部変更する場合がある。
4.授業内でクイズやテスト、意見を聞く機会を設けることがある。
5.授業の予習、復習のために課題を出すことがある。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:イントロダクション-本講義の視点と方法、進め方
授業の進め方、注意事項の説明。「オセアニアの政治と社会Ⅰ」との関連づけ。
第2回[対面/face to face]:ミクロネシアと日本との現在の交流
ミクロネシアと日本との現在の交流を、日本統治下南洋群島で生活した人びと同士の草の根の交流を中心に戦前、戦後のミクロネシアと日本の関係を学ぶ意義を確認する。
第3回[対面/face to face]:日本の南洋群島統治を分析する視点
南洋群島統治をめぐる日本政府、研究者の評価を批判的に検討し、本授業のアプローチを学ぶ。
第4回[対面/face to face]:「南洋群島」時代のミクロネシア①-植民地の法制度から
国際連盟の委任統治制度のもとで行われた日本の南洋群島統治の特徴を、第一次世界大戦後の世界の植民地支配体制の中で、また日本の植民地法制度のなかで学ぶ。
第5回[対面/face to face]:「南洋群島」時代のミクロネシア②-植民地社会の特徴
現地住民人口の2倍もの日本人が移民し、なかでも沖縄出身者が多かった植民地社会の特徴を学ぶ。
第6回[対面/face to face]:「南洋群島」時代のミクロネシア③-チャモロとカロリニアンの経験
チャモロとカロリニアンの植民地経験を、日本の教育政策を中心に学ぶ。
第7回[対面/face to face]:The Typhoon of War- ミクロネシアの第二次世界大戦経験①
沖縄戦に先駆けて地上戦が行われた南洋群島での戦争を、沖縄戦と比較し関係づけながら学び、ミクロネシアにとっての戦争経験を考察する。
第8回[対面/face to face]:The Typhoon of War- ミクロネシアの第二次世界大戦経験②
南洋群島での戦争を生きのびた人々が戦争経験をどう捉え、若い世代に伝えようとしているか、非体験者として考察する。
第9回[対面/face to face]:ミクロネシアにみるNuclear Colonialism①
国際連合の戦略的信託統治として行われたアメリカのミクロネシア統治の特徴を、冷戦体制下アメリカの核軍事力を支えたマーシャル諸島での初の核実験を中心に学ぶ。
第10回[対面/face to face]:ミクロネシアにみるNuclear Colonialism②
米国がビキニ環礁で行った水爆Bravo投下による実験での、住民の核被害の実態、その経験と継承から学び、現代世界の核兵器問題、放射能被害の考察につなげる。
第11回[対面/face to face]:ミクロネシアにみるNuclear Colonialism③
日本にとっての水爆Bravoの経験、すなわち「ビキニ事件/第五福竜丸事件」を学び、現代世界の核兵器問題、放射能被害の考察につなげる。
第12回[対面/face to face]:ミクロネアへの日本の再進出
「ミクロネシア協定」から始まる戦後日本とミクロネシアとの関係を学ぶ。
第13回[対面/face to face]:受講生の関心に基づくトピックス
受講生の関心に基づくトピックスを選び、これまでの学びを深め、発展させる。
第14回[対面/face to face]:まとめ
授業を総括する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
1.シラバスやレジュメに提示した参考文献、特に授業中に指示した部分は必ず読む。
2.オセアニア関連のHPなどを参照し、オセアニア情報に意識的に接する。
3.予習、復習それぞれ2時間程度を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
テキストは用いない。
参考書References
山本真鳥編『オセアニア史』山川出版社、2000年。
印東道子編『ミクロネシアを知るための58章』明石書店、2005年。
吉岡政徳監修『オセアニア学』京都大学学術出版会、2009年。
石森大知ほか編『南太平洋(メラネシア・ポリネシア)を知るための58章』明石書店、2010年。
中山京子編『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』2012年。
今泉裕美子「太平洋の「地域」形成と日本-日本の南洋群島統治から考える」李成市他編『岩波講座日本歴史第20巻(地域論)』岩波書店、2014年。
今泉裕美子「太平洋分割のなかの日本の南洋群島統治-委任統治と「島民」の創出」中野聡・安村尚己責任編集、棚橋訓編集協力『岩波講座世界歴史19 太平洋海域世界~20世紀』岩波書店、2023年。
石森大知他編『ようこそオセアニア世界へ』昭和堂、2023年。
その他必要に応じて、授業時に提示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・リアクションペーパー、授業内で適宜実施するクイズ、テスト、課題への提出物などを総合したもの(50%)
・セメスター末のレポートもしくはテスト(レポート、テストいずれにするかは、リアクションペーパーにみる受講生の授業理解度や情報の正確な把握の度合いをもとに決定し、別途発表する)(50%)
以上の成績評価の方法をもとに、授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
提出物は指示した期限、提出先を守らない場合、やむを得ない事情(対象となる事情や証明資料の提出は定期試験のルールに則る)がない限り未提出として扱う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
リアクションペーパ-で注目する意見や質問を取り上げて紹介し、授業に反映させたり、受講生の関心に基づいて授業計画を微修正したことが、ミクロネシアへの関心を高め、積極的に学ぶ姿勢につながったとの意見が複数寄せられたことから、今年度もこうした工夫を行う。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン授業の場合は、パソコンかタブレットを準備することが望ましい。
その他の重要事項Others
1.本授業を理解するために「オセアニアの政治と社会Ⅰ」の受講を強く推奨する。
2.講義内容に関する日本語での研究や情報は必ずしも多くはないため、特に英語の資料を用いる機会が多い。
3.対面で行うが、オンラインで実施する場合はHoppiiを通じて連絡する。オンライン授業受講時は、安定的な接続環境で、通信容量に制限がない状態にしておくのが望ましい。
4.Hoppiiは自主的にチェックすること。教員への連絡は掲示板を通じて行ってください。
5.本授業での提出物に関する生成AIツールの使用については別途指示する。
6.沖縄県の県史、市史などの編さん、執筆に関わったり、ミクロネシアの研究者、教育者と交流を続けているので、地域住民の経験をどう記録し、次世代に継承するか、聞き取りの方法、地域外の研究者として地域にいかに関わるか、の経験に基づく「地域研究」の方法を反映させた講義である。