経済学研究科Graduate School of Economics
ECN504C1－2（経済学 / Economics 500）実証経済学基礎ＢBasic Empirical Economics B
河村 真Makoto KAWAMURA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 経済学研究科Graduate School of Economics |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X3004 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 火7/Tue.7 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市院棟‐201 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
The first aim of the course is to understand duality of budget constraint to utility maximizing problem and utility constraint to expenditure minimizing problem for determining multiple commodity demands. By using this duality, expenditure function could be derived at the function from certain utility function. Based on specifying this expenditure function, for 10 expenditure items, 10 expenditure share equations could be specified. (specification on AI demand system). From "Japanese Household Expenditure Survey", by 10 expenditure item and prefectural capital city, expenditures and price indeces could be acquired. The AI demand system estimation is conducted by STATA. Finally, we could estimate own-cross price elasticities on 10-item expenditure demands and expenditure elasticities on demands. Then, on these estimations, we could guess the relationships(substitute or complement) among 10-expenditure item demands.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
ミクロ経済学の「消費者の理論」における財の需要関数に関する説明を理解する。個別の財の需要関数の導出の背後にある効用一定下の支出最小化行動およびその結果が集約された支出関数も併せて理解する。家計調査の都道府県県庁所在地別データなどを用い、支出関数の推定及び多財（10費目）支出体系の推定を実習を通じて行う。さらに、それらの推定に基づき、複数（10費目）の財の（自己および交差）価格弾力性および支出（所得）弾力性の計測も行う。これら作業を行う際に、統計学ソフトstataを用いて行うため、推定に必要なstataの基本的な操作も併せて取得する。複数の（10費目）財の価格・支出弾力性を計測するために必要な多財支出体系の特定化の例をいくつか紹介し、多財支出体系の推定に必要な計量経済学モデル(主に見かけ上無相関な回帰）も併せて理解する。
到達目標Goal
導入科目として、ミクロ経済学の「消費者の理論」の説明およびその延長線上にある支出関数に関する説明を復習し、理解する。さらに、支出関数および支出関数から導かれる複数財の支出比率方程式の体系（AI需要体系）の推定および各財の自己・交差価格弾力性および支出弾力性の計測を統計学ソフトstataを利用した実習を通じて、これを行えるようになること。支出比率方程式を個別の財に限って最小二乗推定量に基づき推定した結果、見かけ上無相関な回帰推定量に基づき、複数の財の支出比率方程式を同時推定した推定結果を比較し、見かけ上無相関な回帰を用いる統計学上のメリットを理解する。
これらの作業に必要となる統計学ソフトstataの基本的なコマンドを使えるようになることおよび計測結果の出力を各自で行えるようになること。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
この授業は、7回までは、オンライン授業で行う。この間の講義では、消費者の理論の複数の財の需要体系（需要関数群）体系の説明とそれより派生する支出関数に関してのミクロ経済学の図解を用いた復習である。そのため、板書（電子ノート）を用いた説明となる。この間の質疑応答は、オンラインを通じて授業時間内に行います。第７回以降は主に実習授業である。そのため、対面で行います。ハイフレックスで行いますが、実習授業なので、なるべく対面で行いたい。
授業の内容の進め方について説明する。まず、ミクロ経済学の「消費者の理論」における複数財の需要の決定と支出関数の導出を解説する（主にミクロ経済学の復習）。総務省『家計調査年報』、『消費者物価指数年俸』の県庁所在地別10費目のデータを用いて、ミクロ経済学の理論で提示されている支出関数とそれに整合的な10費目の支出比率方程式（AI需要体系）の推定を統計ソフトstataを利用いて体験してもらう。それに基づき、10費目の需要の自己・交差価格弾力性および支出弾力性の計測値を求め、その計測値のミクロ経済学的な解釈を説明する。（10費目の需要間の代替・補完関係の推測、各10費目の需要の上級財・下級財の分類の推測など）。この講義の目的は、簡単なミクロ経済学の理論を用いても、計量経済学による計測結果を政策的な課題の判断材料として提示できることを体感してもらうことにある。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：ガイダンス
授業内容の説明と注意
第2回[オンライン/online]：消費者の予算制約下効用最大化行動と複数財の需要関数
ミクロ経済学の消費者の理論の複数財の需要関数の導出の理解
第3回[オンライン/online]：普通需要関数および補償需要関数の違い
普通需要関数および補償需要関数に基づく、（普通）需要の価格弾力性および補償された需要の価格弾力性、二つの価格弾力性の関係について理解
第4回[オンライン/online]：予算制約下の最大化行動に基づく複数財需要量決定と効用水準一定下の支出最小化行動に基づく複数財需要量決定の対応関係
効用関数および間接効用関数の双対性（対応関係）の理解
第5回[オンライン/online]：間接効用関数と支出関数の対応関係および支出関数の理論的な性質
間接効用関数およびそれから導かれる支出関数の理論的な性質の理解
第6回[オンライン/online]：多財支出体系の特定化例（Ⅰ）
線形支出体系(Linear Expenditure System)による特定化の紹介。これに基づく、価格弾力性および支出弾力性の評価式導出への理解
第7回[オンライン/online]：多財支出体系の特定化例（Ⅱ）
AI需要体系(Almost Ideal Demand System :複数財の支出比率方程式の体系）による特定化の紹介。これに基づく価格弾力性および支出弾力性の評価式導出への理解
第8回[対面/face to face]：多財支出体系（支出関数に基づく）の推定に用いる計量経済学（Ⅰ）
最小二乗推定量の基礎の復習（標準誤差、F-検定、t-検定の解説)、最小二乗推定量の問題（分散不均一性、複数式の誤差項間の相関の可能性）
第9回[対面/face to face]：多財支出体系の推定に用いる計量経済学（Ⅱ）
見かけ上無相関な回帰推定量の説明および理解
第10回[対面/face to face]：多財支出体系の推定・自己および交差価格弾力性および支出弾力性の計測の実習（Ⅰ）
計量経済学のソフトstataを用いた家計調査10費目の個別の支出比率方程式の最小二乗推定量に基づく推定をおこなう
第11回[対面/face to face]：多財支出体系の推定・自己および交差価格弾力性および支出弾力性の実習（Ⅱ）
計量経済学のソフトstataを用いた家計調査10費目の支出比率方程式を無かけ上無相関な回帰推定量に基づき同時推定を行う。
第12回[対面/face to face]：多財支出体系の推定・自己および交差価格弾力性および支出弾力性の実習（Ⅲ）
10費目の支出比率方程式個別推定と10費目支出比率方程式体系の同時推定の結果の比較により、最小二乗法に基づく単独推定の場合、各係数の標準誤差にバイアスの可能性あることを認識する。
第13回[対面/face to face]：多財支出体系の推定・自己および交差価格弾力性および支出弾力性の実習（Ⅳ）
見かけ上無相関な回帰推定量に基づきAI需要体系（10費目の支出比率方程式体系）の推定に基づき、標本平均での家計調査10費目の自己・交差価格弾力性および支出弾力性の計測。これら計測結果に基づく、10費目間の代替・補完関係の推測、10費目の上級財・下級財の分類を行う。
第14回[対面/face to face]：レポート作成指導
レポート作成の質問等に答える
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
特に定めず、各教員が参考文献を示す。
参考書References
奥野正寛、鈴村興太郎『ミクロ経済学Ⅰ』（モダンエコノミックスシリーズ）岩波書店 計量経済学入門の教科書やそれ以外等は、講義中に示す。
成績評価の方法と基準Grading criteria
実習での多財支出体系に関わる推定及び検定のstataプログラミング作業に関する評価に40％及び期末レポートの評価に60％のウェイトを付け、評価を行う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
貸出ノートパソコン（stataインストール済み）、および、授業支援システムを利用する。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞ 応用計量経済学
＜研究テーマ＞規制産業の規模の経済性、全要素生産性の計測
＜主要研究業績＞"Estimates of Optimal Public Capital Stocks in Japan Using a Public Investment Discount Rate Framework", Empirical Economics 24, 1999. （根本二郎氏、釜田公良氏と共著）
「大都市公営バス事業の密度の経済とサイズの経済の計測」『季刊理論経済学』44巻3号,pp,269-274,1993