市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course
HIS200LA(史学 / History 200)西洋史LBWestern History LB
西洋世界と太平洋地域形成
新井 隆Ryu ARAI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | Q1434 |
旧授業コードPrevious Class code | P1162 |
旧科目名Previous Class title | 西洋史Ⅱ |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市Y‐Y804 |
配当年次Grade | 法文営国環キ1~4年 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
選択・必修Optional/Compulsory | |
カテゴリー(2017年度以降)Category (2018~) |
2017年度以降入学者 ILAC科目 200番台 リベラルアーツ科目 1群(人文分野) |
カテゴリー(2016年度以前)Category (2017) |
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Outline (in English)
授業概要(Course outline)
From the end of the 19th century to the early 20th century, Western powers and Japan intensified their efforts to acquire colonies and expand their influence in Africa, Asia, and other parts of the world. As a result, the conflict between the powers eventually led to two world wars, and colonial rule and warfare had a major impact on the Pacific islands. Based on these historical backgrounds, this course aims to help students examine Japan and the US relationship in the 19th and 20th centuries, and how it has impacted the formation of the Pacific Ocean region.
到達目標(Learning Objectives)
The course aims to provide historical context and a deepened understanding of the formation of the Pacific region in the 19th and 20th centuries. Currently, the Pacific Ocean is commonly referred to by several names including Oceania, Micronesia, Polynesia, and Melanesia. The use of these names has strong ties to colonial rule and wars waged by Western countries and Japan. By discussing several examples of conflicts among countries over the Pacific Ocean, students are expected to understand the formation of the Pacific region.
授業時間外の学習(Learning activities outside of classroom)
Before/after each class meeting, students are expected to dedicate two hours to understanding the course content. Students are advised to enhance their comprehension of the subjects covered in the course by reading the recommended literature cited in the reference section and other course materials.
成績評価の方法と基準(Grading Criteria /Policies)
Your final grade for the course will be determined by your performance in two areas: a term-end report worth 70% and in-class contribution, which includes submission and description of worksheets at each session, and course attitude, worth 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
19世紀末から20世紀前半にかけて、欧米列強による植民地獲得競争が激化し、アフリカやアジアなど世界各地に欧米列強や日本が勢力を拡大させていきました。その結果生じた列強間の対立はやがて二度の世界大戦につながり、太平洋の島々にも植民地支配と戦争が大きな影響を与えることになりました。本授業ではこれらの歴史的背景を踏まえた上で、太平洋の地域形成について、特に19-20世紀における日米との関わりを中心に学習します。
到達目標Goal
19-20世紀における太平洋地域形成の流れについて、歴史的な背景を踏まえながら、自らの理解が深まることを目標とします。現在太平洋に関する名称については、オセアニアやミクロネシア、ポリネシア、メラネシアなどいくつかの呼称が用いられています。これらの呼び名が用いられるようになった背景には、欧米諸国や日本による植民地支配や戦争の影響が色濃く見られます。この授業では、太平洋をめぐる各国の相剋の事例をいくつか取り上げながら、太平洋地域形成の流れが掴めるようになることを目指します。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科:DP3・DP4、法学部・政治学科:DP1、法学部・国際政治学科:DP1、文学部:DP1、経営学部:DP3、国際文化学部:DP2、人間環境学部:DP2、キャリアデザイン学部:DP1
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、基本的に講義形式にて進めていきます。また、内容理解の確認とフィードバックのために、適宜ワークシートを配布するので、各自授業内容のポイントを振り返りながら気づいた点や疑問点を書き込んで提出してもらいます。ワークシートの記載内容は、授業のフィードバックに活用すると同時に、期末レポート作成の際に参照可とするので、各自その点を踏まえた上で取り組むこと。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:オリエンテーション
本授業の概要説明ならびに簡単なアイスブレイク
第2回[対面/face to face]:西洋と太平洋の関わり(I)
西洋世界の太平洋認識のはじまり
大航海時代からクックらによる探検航海の進展までを通じて、西洋世界が太平洋を認識するようになり、関わりを深めていく過程を概観します。
第3回[対面/face to face]:西洋と太平洋の関わり(II)
西洋世界による太平洋像の把握
数々の探検航海により太平洋の全体像を把握していった西洋世界が捕鯨船、貿易、キリスト教伝道、植民地化などを通じて、一つの地域として太平洋を認識していく過程を抑えます。
第4回[対面/face to face]:西洋諸国による太平洋進出の論理
列強による世界分割の論理と太平洋の地域形成
19世紀末から20世紀はじめにかけて、欧米列強は世界各地で植民地獲得競争に明け暮れ、太平洋地域でも各国の勢力争いが繰り広げられました。ここでは欧米諸国や日本が太平洋に各々の勢力を伸張させたねらいを押さえながら、太平洋の地域形成の流れを確認します。
第5回[対面/face to face]:アメリカによる太平洋進出の論理(I)
マニフェスト・デスティニー(明白なる天命)と西漸運動の拡大
メリカ合衆国の領土拡大と密接な関わりを持っていたマニフェスト・デスティニーが太平洋への進出にもつながっていったことを確認します。
第6回[対面/face to face]:アメリカによる太平洋進出の論理(II)
太平洋におけるアメリカの覇権拡大の端緒
19世紀末の米西戦争やハワイ王国の転覆・併合を通して、海外領土の獲得に踏み切っていくアメリカ合衆国の太平洋との関わりについて、軍事的政治的な観点を踏まえて理解します。
第7回[対面/face to face]:日本による太平洋進出の論理(I)
日本のミクロネシア占領と南洋群島
日本は第一次世界大戦を契機にミクロネシア地域を軍事占領し、のちに「南洋群島」として支配下に置きます。ここでは、日本が南洋群島として同地域を規定していく過程を概観します。
第8回[対面/face to face]:日本による太平洋進出の論理(II)
日本の南洋群島支配と太平洋地域形成
植民地支配の潮流が世界を覆う中で、日本は国際連盟のC式委任統治領として南洋群島を支配下に置くことになります。ここでは、日米の政治的な緊張関係の醸成が太平洋の地域形成に与えた影響を理解します。
第9回[対面/face to face]:日米の軍事的相剋と太平洋地域形成の変容
太平洋における日米の軍事的なせめぎ合い
日米が互いに太平洋に勢力を伸張させる中で、やがて軍事的対立を深めていく過程を太平洋地域形成との関わりで理解します。
第10回[対面/face to face]:戦後太平洋世界における地域形成(I)
戦略的信託統治領としての太平洋
第二次世界大戦後の太平洋(ミクロネシア)では、アメリカが国際連合下の戦略的信託統治領として、同地域を管轄していました。ここでは、冷戦対立が深まる戦後世界における太平洋地域形成について理解を深めます。
第11回[対面/face to face]:戦後太平洋世界における地域形成(II)
冷戦下における太平洋の島々と核実験
戦後アメリカやフランス、イギリスなどが太平洋の島々で多くの核実験を実施しました。その影響について、戦後における太平洋地域形成との関わりで理解します。
第12回[対面/face to face]:太平洋島嶼国の「独立」と地域形成(I)
太平洋における脱植民地化の進展と課題(マイクロ・ステートとMIRAB経済)
1970年代から90年代にかけて、太平洋地域でも脱植民地化の流れが進み、「独立」を達成する国も登場してきます。しかし、「独立」後も同地域は大国の強い影響にさらされていきます。ここでは、主に第二次世界大戦後におけるアメリカと太平洋島嶼国・地域との関係構築の変遷を追いながら、太平洋地域形成における問題点を確認します。
第13回[対面/face to face]:太平洋島嶼国の「独立」と地域形成(II)
軍事化・観光化された「南国の楽園」
太平洋の島々では、しばしば「南国の楽園」という他者イメージが強く作用することで観光化が進んだり、主に米軍による島の軍事化が推進されたりしてきました。ここではハワイやグアムの事例を取り上げながら、太平洋地域における軍事化・観光化と地域形成のつながりを理解します。
第14回[対面/face to face]:太平洋をめぐる地域形成の系譜とオセアニア・オリエンタリズム
太平洋を語る主体とは
太平洋をめぐっては、これまでにも欧米諸国や日本から様々な名称で呼ばれてきました。ここでは、太平洋をめぐる呼称の裏に、植民地支配や戦争など様々な歴史的背景が絡んでいたことを改めて確認するとともに、そうした呼称の主体が太平洋の地域形成と密接に関わっていたことを理解します。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。参考書の欄にあげた文献や授業中に紹介した文献などを自主的に読み、授業で取り上げるテーマについての理解を深めましょう。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しません。
参考書References
・麻田貞雄『両大戦間の日米関係―海軍と政策決定過程』東京大学出版会、1993年 定価7,828円
・麻田貞雄編・訳『マハン海上権力論集』講談社学術文庫、2010年 税別920円
※同書は『アメリカ古典文庫 8 アルフレッド・T・マハン』研究社出版、1977年をもとに「解説」などの加筆修正を行い、再編集されたものである
・浅野豊美編『南洋群島と帝国・国際秩序』慈学社出版、2007年 税別6,000円
・ロニー・アレキサンダー『大きな夢と小さな島々―太平洋島嶼国の非核化にみる新しい安全保障観』国際書院、1992年 3,200円
・池上大祐『アメリカの太平洋戦略と国際信託統治―米国務省の戦後構想 1942~1947』法律文化社、2014年 税別3,700円
・石森大知・丹羽典生編著『エリア・スタディーズ176 太平洋諸島の歴史を知るための60章―日本とのかかわり』明石書店、2019年 税別2,000円
・今泉裕美子「日本の軍政期南洋群島統治(1914-22)」『国際関係学研究』(17)(別冊)、1990年
―「日本軍による支配の実態と民衆の抵抗―ミクロネシア」『歴史評論』(508)、1992年
―「南洋群島委任統治政策の形成」大江志乃夫・浅田喬二ほか編『岩波講座 近代日本と植民地4 統合と支配の論理』岩波書店、1993年
―「太平洋の「地域」形成と日本―日本の南洋群島統治から考える」大津透・桜井英治・藤井讓二ほか編『岩波講座 日本歴史 第20巻 地域論〈テーマ巻1〉』岩波書店、2014年
・印東道子編著『エリア・スタディーズ51 ミクロネシアを知るための60章【第2版】』明
石書店、2015年 税別2,000円
・遠藤泰生・油井大三郎編『変貌するアメリカ太平洋世界1 太平洋世界の中のアメリカ―対立から共生へ』彩流社、2004年 税別3,800円
・大庭三枝『アジア太平洋地域形成への道程―境界国家日豪のアイデンティティ模索と地域主義』ミネルヴァ書房、2004年 税別6,000円
・春日直樹編『太平洋世界叢書2 オセアニア・ポストコロニアル』国際書院、2002年 税別2,800円
・春日直樹編『オセアニア・オリエンタリズム』世界思想社、1999年 税別3,500円
・金澤周作監修・藤井崇ほか編著『論点・西洋史学』ミネルヴァ書房、2020年 税別3,200円
・キース・L・カマチョ(西村明・町泰樹訳)『戦禍を記念する―グアム・サイパンの歴史と記憶』岩波書店、2016年 税別5,400円
・紀平英作・油井大三郎編著『シリーズ・アメリカ研究の越境 第5巻 グローバリゼーションと帝国』ミネルヴァ書房、2006年 税別3,500円
・ジェームズ・クック(増田義郎訳)『クック 太平洋探検1~6』岩波文庫、2004~2005年 税別各800円
・熊谷圭知・塩田光喜編『マタンギ・パシフィカ―太平洋島嶼国の政治・社会変動』アジア経済研究所、1994年 4,800円
・小林泉『アメリカ極秘文書と信託統治の終焉―ソロモン報告・ミクロネシアの独立』東信堂、1994年 定価3,811円
・小山哲ほか編著『大学で学ぶ西洋史[近現代]』ミネルヴァ書房、2011年 税別2,800円
・酒井一臣『近代日本外交とアジア太平洋秩序』昭和堂、2009年 税別4,700円
・佐藤幸男編『太平洋世界叢書1 世界史のなかの太平洋』国際書院、1998年 税別2,800円
・塩田光喜編『海洋島嶼国家の原像と変貌』アジア経済研究所、1997年 定価4,738円
・塩田光喜『太平洋文明航海記―キャプテン・クックから米中の制海権をめぐる争いまで』明石書店、2014年 税別2,200円
・清水昭俊・吉岡政徳編『オセアニア3 近代に生きる』東京大学出版会、1993年 3,090円
・エティエンヌ・タイユミット(増田義郎監修、中村健一訳)『知の再発見双書33 太平洋探検史―幻の大陸を求めて』創元社、1993年 税別1,359円
・高橋章『アメリカ帝国主義成立史の研究』名古屋大学出版会、1999年 税別5,800円
・田所昌幸・阿川尚之編『海洋国家としてのアメリカ―パクス・アメリカーナへの道』千倉書房、2013年 税別3,400円
・等松春夫『日本帝国と委任統治―南洋群島をめぐる国際政治1914-1947』名古屋大学出版会、2011年 税別6,000円
・長島怜央『アメリカとグアム―植民地主義、レイシズム、先住民』有信堂高文社、2015年 税別6,000円
・中野聡『歴史経験としてのアメリカ帝国―米比関係史の群像』岩波書店、2007年 税別3,500円
・原貴美恵『サンフランシスコ平和条約の盲点―アジア太平洋地域の冷戦と「戦後未解決の諸問題」』溪水社、2005年 税別3,500円
・藤原帰一『デモクラシーの帝国―アメリカ・戦争・現代世界』岩波新書、2002年 税別740円
・古矢旬『アメリカニズム―「普遍国家」のナショナリズム』東京大学出版会、2002年 5,800円
―『アメリカ 過去と現在の間』岩波新書、2004年 税別740円
・古矢旬・山田史郎編著『シリーズ・アメリカ研究の越境 第2巻 権力と暴力』ミネルヴァ書房、2007年 税別3,500円
・ジョン・C・ペリー(北太平洋国際関係史研究会訳)『西へ! ―アメリカ人の太平洋開拓史』PHP研究所、1998年 3,780円
・増田義郎『太平洋―開かれた海の歴史』集英社新書、2004年 税別700円
・松島泰勝『ミクロネシア―小さな島々の自立への挑戦』早稲田大学出版部、2007年
・矢崎幸生『ミクロネシア信託統治の研究』御茶の水書房、1999年 8,000円
・矢野暢『「南進」の系譜:日本の南洋史観』千倉書房、2009年(新版) 税別5,000円
※初版は、『「南進」の系譜』1975年ならびに『日本の南洋史観』1979年として、いずれも中公新書から出版されている
・山中速人『世界史リブレット64 ヨーロッパからみた太平洋』山川出版社、2004年 税別729円
・山本吉宣編『変貌するアメリカ太平洋世界3 アジア太平洋の安全保障とアメリカ』彩流社、2005年 税別3,800円
・油井大三郎『好戦の共和国アメリカ―戦争の記憶をたどる』岩波新書、2008年 税別780円
・渡辺昭夫『アジア・太平洋の国際関係と日本』東京大学出版会、1992年 定価3,708円
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、平常点(毎回のワークシートの提出状況・記述状況、受講態度)30%ならびに期末レポート70%の割合で、(1)毎回の授業に積極的に参加しているかどうか(2)欧米諸国や日本との歴史的な関わりを踏まえつつ、太平洋地域形成の変容について各自の関心と理解が深められているかどうかを判断します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
写真や映像資料を用いることで授業内容の理解を促すとともに、ワークシートのやり取りによるフィードバックを実施しています。
その他の重要事項Others
本授業は西洋史LAとの関わりが深いため、同授業も受講しておくと、より理解が深まります。