市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course
HIS200LA(史学 / History 200)西洋史LAWestern History LA
西洋世界による太平洋認識
新井 隆Ryu ARAI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | Q1433 |
旧授業コードPrevious Class code | P1161 |
旧科目名Previous Class title | 西洋史Ⅰ |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市Y‐Y804 |
配当年次Grade | 法文営国環キ1~4年 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
選択・必修Optional/Compulsory | |
カテゴリー(2017年度以降)Category (2018~) |
2017年度以降入学者 ILAC科目 200番台 リベラルアーツ科目 1群(人文分野) |
カテゴリー(2016年度以前)Category (2017) |
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Outline (in English)
授業概要(Course outline)
From the end of the 19th century to the early 20th century, the race to acquire colonies by Western powers intensified, and Western powers and Japan expanded their power in Africa, Asia, and other parts of the world. The involvement of Western nations and Japan with the Pacific world, even before colonization, was through exploratory voyages, whaling ships, traders, and missionaries, and over the ages, envy and contempt were mixed. This course aims to help students acquire a bird's-eye view of Western and Japanese perceptions of these Pacific islands.
到達目標(Learning Objectives)
The goal of this course is to deepen our understanding of the change in Western and Japanese perceptions toward the Pacific world in the context of historical background. Western and Japanese images of the “other” have often been a mixture of envy and contempt, and this way of perceiving the other has also been evident in the Pacific islands. At the end of the course, students are expected to grasp a part of the change in the Western world's perception of the “other.”
授業時間外の学習(Learning activities outside of classroom)
Before/after each class meeting, students are required to dedicate a minimum of three hours to comprehend the course material. Students are advised to read the reference materials listed in the reference section and other literature provided in class to deepen their understanding of the topics covered.
成績評価の方法と基準(Grading Criteria /Policies)
Your final grade in the class will be determined by a combination of your term-end report (70%) and your in-class contribution, which includes the submission and description of worksheets at each session, as well as your course attitude (30%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
19世紀末から20世紀前半にかけて、欧米列強による植民地獲得競争が激化し、アフリカやアジアなど世界各地に欧米列強や日本が勢力を拡大させていきました。さらに、植民地支配の流れは、太平洋の島々にも押し寄せていきました。欧米諸国や日本と太平洋世界の関わりには、植民地化以前にも、探検航海や捕鯨船、貿易商人、宣教師などによるものがあり、時代を経ながら羨望と侮蔑が入り混じっていったのです。本授業では、これら太平洋の島々に対する欧米諸国や日本の認識について、俯瞰的な視野で学習していきます。
到達目標Goal
太平洋世界に対する欧米諸国や日本の認識の変遷について、歴史的な背景を踏まえながら自らの理解が深まることを目標とします。西洋や日本の「他者」に対するイメージは、しばしば羨望と侮蔑が入り混じるものでしたが、そうした他者認識の方法は太平洋の島々に対しても顕著なものでした。この授業では、太平洋に関する映像や図像などに注目することで、西洋世界の他者認識の変遷が掴めるようになることを目指します。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科:DP3・DP4、法学部・政治学科:DP1、法学部・国際政治学科:DP1、文学部:DP1、経営学部:DP3、国際文化学部:DP2、人間環境学部:DP2、キャリアデザイン学部:DP1
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、基本的に講義形式にて進めていきます。また、内容理解の確認とフィードバックのために、適宜ワークシートを配布するので、各自授業内容のポイントを振り返りながら気づいた点や気になった点を書き込んで提出してもらいます。ワークシートの記載内容は、授業のフィードバックに活用すると同時に、期末レポート作成の際に参照可とするので、各自その点を踏まえた上で取り組むこと。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:オリエンテーション
本授業の概要説明ならびに簡単なアイスブレイク
第2回[対面/face to face]:西洋と太平洋の邂逅(I)
「開かれた海」における人の移動と西洋による太平洋イメージの登場
接触以前における太平洋世界の概要に触れながら、西洋側の太平洋世界に対するイメージがはじめは曖昧なかたちしか持っていなかったことを確認します。
第3回[対面/face to face]:西洋と太平洋の邂逅(II)
徐々に浮かび上がる太平洋に対する西洋のまなざし
大航海時代をきっかけに太平洋と関わりを持つようになった西洋世界が数々の航海を通して、この大洋の概要を掴もうとしたことを理解します。
第4回[対面/face to face]:浮き彫りになる太平洋の全体像と探検航海(I)
西洋世界における探検航海の意味
ようやく太平洋横断が可能になった西洋世界が数々の探検航海を通じて、さらに明確な太平洋像を作り上げていったことを抑えます。
第5回[対面/face to face]:浮き彫りになる太平洋の全体像と探検航海(II)
西洋世界による太平洋の把握
クックによる科学的知見を求める探検航海を画期として、西洋世界の太平洋認識がアンヴィヴァレント(二律背反的)に変容していく様子を概観します。
第6回[対面/face to face]:強まる西洋と太平洋世界のつながり(I)
捕鯨船、貿易、キリスト教伝道
探検航海後に登場した捕鯨船や貿易、キリスト教伝道が進展するにつれて、西洋から見た太平洋世界には、羨望と侮蔑が入り混じっていたことを理解します。
第7回[対面/face to face]:強まる西洋と太平洋世界のつながり(II)
太平洋における資本主義の拡大と海のグローバル化
西洋が太平洋世界と関わる中で形成されたヒトやモノの動きは、確かに双方の世界の結びつきを強めました。しかし、その裏には前者による後者の搾取という側面があったことを改めて確認します。
第8回[対面/face to face]:西洋諸国による太平洋の分割
拡大する植民地化の波と太平洋世界
19世紀末から20世紀はじめにかけて、欧米列強は世界各地で植民地獲得競争に明け暮れ、その波は太平洋世界をも飲み込んでいきました。ここでは、欧米諸国による本格的な太平洋進出が現地社会の在り方を大きく変容させたことを理解します。
第9回[対面/face to face]:南洋をまなざす日本の眼
日本と太平洋の関わり
植民地支配の潮流が世界を覆う中で、日本は国際連盟のC式委任統治領として南洋群島を支配下に置くことになります。ここでは、欧米諸国の太平洋認識にも触れつつ、日本の認識にも太平洋に対する羨望と侮蔑が入り混じっていた様子を確認します。
第10回[対面/face to face]:軍事衝突の舞台となった太平洋
太平洋における日米の相剋
欧米列強や日本が太平洋にも勢力を伸張させる中で、やがて軍事的対立を深めていく過程を太平洋認識との関わりで理解します。
第11回[対面/face to face]:太平洋に対する列強諸国の軍事的まなざしの系譜(I)
植民地支配・戦争・冷戦をくぐった太平洋の島々
第二次世界大戦後の太平洋(ミクロネシア)では、アメリカが国際連合下の戦略信託統治領として、同地域を管轄していました。ここでは、太平洋の島々が日米を中心とする各国から軍事的な要衝として認識されてきたことの歴史的系譜を掴みます。
第12回[対面/face to face]:太平洋に対する列強諸国の軍事的まなざしの系譜(II)
核実験の場と化した太平洋と映画の表象
戦後アメリカやフランス、イギリスなどが太平洋の島々で多くの核実験を実施しました。その影響は実際の被害だけでなく、映像作品などを通した太平洋認識にも及ぶものであったことを理解します。
第13回[対面/face to face]:南国の楽園としての太平洋イメージ(I)
観光化される太平洋
欧米諸国による太平洋イメージの系譜を眺めてみると、憧憬・羨望と侮蔑が隣り合わせになって登場してきます。そうした認識は植民地化や戦争を通じて醸成されるとともに、観光化によってさらに強化されているということを確認します。
第14回[対面/face to face]:南国の楽園としての太平洋イメージ(II)
南国の楽園としてのハワイ・グアム
太平洋の観光化には、しばしば「南国の楽園」という他者イメージが強く作用しています。ここではハワイやグアムの事例を取り上げながら、特に日米による太平洋認識の一端を確認します。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。参考書の欄にあげた文献や授業中に紹介した文献などを自主的に読み、授業で取り上げるテーマについての理解を深めましょう。
テキスト(教科書)Textbooks
山中速人『世界史リブレット64 ヨーロッパからみた太平洋』山川出版社、2004年 税別729円
参考書References
石川榮吉『日本人のオセアニア発見』平凡社、1992年 5,600円
石森大知・丹羽典生編著『エリア・スタディーズ176 太平洋諸島の歴史を知るための60章―日本とのかかわり』明石書店、2019年 税別2,000円
印東道子編著『エリア・スタディーズ51 ミクロネシアを知るための60章【第2版】』明石書店、2015年 税別2,000円
春日直樹編『太平洋世界叢書2 オセアニア・ポストコロニアル』国際書院、2002年 税別2,800円
金澤周作監修・藤井崇ほか編著『論点・西洋史学』ミネルヴァ書房、2020年 税別3,200円
ジェームズ・クック(増田義郎訳)『クック 太平洋探検1~6』岩波文庫、2004~2005年 税別各800円
小山哲ほか編著『大学で学ぶ西洋史[近現代]』ミネルヴァ書房、2011年 税別2,800円
佐藤幸男編『太平洋世界叢書1 世界史のなかの太平洋』国際書院、1998年 税別2,800円
塩田光喜『太平洋文明航海記―キャプテン・クックから米中の制海権をめぐる争いまで』明石書店、2014年 税別2,200円
エティエンヌ・タイユミット(増田義郎監修、中村健一訳)『知の再発見双書33 太平洋探検史―幻の大陸を求めて』創元社、1993年 1,359円
瀧田佳子編『変貌するアメリカ太平洋世界6 太平洋世界の文化とアメリカ―多文化主義・土着・ジェンダー』彩流社、2005年 税別3,800円
中山京子編著『エリア・スタディーズ105 グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』明石書店、2012年 税別2,000円
増田義郎『太平洋―開かれた海の歴史』集英社新書、2004年 税別700円
矢口祐人『ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で』中公新書、2002年 税別840円
―『憧れのハワイ―日本人のハワイ観』中央公論新社、2011年 税別2,000円
山内昌之・古田元夫編『日本イメージの交錯―アジア太平洋のトポス』東京大学出版会、1997年 税別1,800円
山口誠『グアムと日本人―戦争を埋立てた楽園』岩波新書、2007年 税別740円
山中速人『イメージの「楽園」―観光ハワイの文化史』筑摩書房、1992年 税別1,359円
―『ハワイ』岩波新書、1993年 税別620円
吉岡政徳・石森大知編著『エリア・スタディーズ82 南太平洋を知るための58章』明石書店、2010年 税別2,000円
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、平常点(毎回のワークシートの提出状況・記述状況、受講態度)30%ならびに期末レポート70%の割合で、(1)毎回の授業に積極的に参加しているかどうか(2)太平洋をめぐる欧米諸国や日本の認識について関心と理解が深められているかどうかを判断します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
写真や映像資料を用いることで授業内容の理解を促すとともに、ワークシートのやり取りによるフィードバックを実施しています。
その他の重要事項Others
本授業は西洋史LBとの関わりが大きいため、関心のある学生は西洋史LBの受講も勧めます。