イノベーション・マネジメント研究科Business School of Innovation Management
MAN500F2(経営学 / Management 500)人的資源管理論Human Resource Management
山田 久Hisashi YAMADA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | イノベーション・マネジメント研究科Business School of Innovation Management |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | W0009 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月1/Mon.1,月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | 専門講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1・2 |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | 基礎科目、MBA特別必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | ○ |
カテゴリーCategory | 基礎科目 |
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Outline (in English)
Human resources are the most important elements to enhance business innovations. The propose of the lecture is to understand core concepts of human resource management in Japan. Students will learn various issues concerning Strategic Human Resource Management, from the viewpoints of historical context and international comparison.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
事業活動の担い手は人であり、イノベーションを産み出すのも人です。そして、経済社会環境が高度化し複雑化した今日、事業活動・イノベーション活動は、人の集合体である企業組織を通じて行われるのが一般的です。本講義では、「企業経営・組織運営における人材」にまつわる諸問題を取り上げ、歴史的視点と国際比較の視点を交えながら、戦略的人材マネジメントの考え方――事業価値創造のために、最も重要な経営資源である人材をどう活かしていくべきか―の要点を幅広い視野で多角的に学びます。
到達目標Goal
人材マネジメントの基本要素(採用・育成・評価・配置)についてのベーシックなロジックを習得することが第1の目標です。同時に「マクロ環境(経営・事業環境)―企業経営(事業戦略)―人材」という三層構造の中に人材を位置づけたうえで、これら三層の相互の関係性の理解を深めます。それにより、既存の枠組みの根本的な見直しが求められるVUCA時代において、イノベーションを興すための人材活用・組織運営に必要な思考――経済社会の在り方まで遡って大局的かつ本質を突いた見方・考え方――ができるようになることを目指します。歴史的視点と国際比較の視点を交えて学び、目先の状況に左右されることなく、問題の本質をつかむ能力を養います。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
イノベーション・マネジメント研究科のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
2コマ単位で進める。まず教員が講義し、各回のテーマの概要をつかんだうえで、グループディスカッションを行う。その後グループごとに発表してもらい、補足的な講義を行いながら各回のポイントの理解を深める。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:人的資源管理とは、人材を巡る問題
人的資源管理で何を学ぶかの概要を示し、いま日本の雇用・人事の現場でどういったことが問題になっているか、を理解する。
1[対面/face to face]:日本的人事の特徴と変遷
欧米比較からみたわが国雇用システムの特徴を理解し、歴史的に日本の雇用・人事はどう変わってきたかを学び、その現在へのインプリケーションを議論する。
2[対面/face to face]:採用戦略と若年雇用(1)
若者雇用の現状はどうなっているか、海外の若年雇用の状況との違いは何かを学ぶ。若者の離職率が高いのはなぜか、どうすれば定着するかを議論する。
2[対面/face to face]:採用戦略と若年雇用(2)
社会経済の環境変化を踏まえ、どうすれば優秀な人材を採用できるか、いかにすれば優秀な人材を確保できるかについて、議論する。
3[対面/face to face]:人材育成とキャリア開発(1)
人材不足が深刻になっているがその背景は何か、企業の人材育成の現状はどうなっているかについて、国際比較の観点から学ぶ。
3[対面/face to face]:人材育成とキャリア開発(2)
なぜ企業は人材投資を十分に行わないか、「できる人材」はどういった能力を持っているのか、どうすれば人材は効果的に育つのか、といった論点について議論する。
4[対面/face to face]:人事評価と昇進管理(1)
評価はどういった要素を対象にし、そもそも何のために行うのか、評価者が陥りやすい誤りにどのようなことがあるか等、評価の基本的ロジックを学び、企業を発展させる評価制度とはどのようなものか、議論する。
4[対面/face to face]:人事評価と昇進管理(2)
日本企業の昇進制度の特徴はどういったものかを国際比較の観点から理解し、遅い選抜・早い選抜の功罪について議論する。
5[対面/face to face]:報酬管理と福利厚生(1)
賃金とは何か、どのような機能があるか、どのように決まるのか、といった賃金にまつわる基本的論理と、国際比較からの日本の特徴を理解する。やる気をもたらす賃金制度とはどういったものかを議論する。
5[対面/face to face]:報酬管理と福利厚生(2)
春闘(春季労使交渉)や福利厚生にはどういう意味があるのかを考え、それらは時代遅れになったといえるのか、その今日的な意味合いを議論する。
6[対面/face to face]:労働時間管理と柔軟な働き方(1)
わが国労働者の長時間労働の実態を把握したうえで、残業削減にはどういった目的があり、それに副作用はないかを議論する。
6[対面/face to face]:労働時間管理と柔軟な働き方(2)
裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の意義を理解し、適正運用の課題は何かを考える。テレワークにはどういった功罪があるか、転勤制度は必要かを議論する。
7[対面/face to face]:労働移動と退職管理(1)
わが国の雇用の流動性の現状はどうなっているか、終身雇用の崩壊は本当か、わが国が解雇しにくいのは本当か、海外のリストラはどうなっているか、といった点を学ぶ。
7[対面/face to face]:労働移動と退職管理(2)
人員削減はどのようなときに合理化され、どういったコストを企業にもたらすのか、適正な人員管理にはどのような考え方が必要か、について議論し、人材ビジネスの役割は何かについても考える。
8[対面/face to face]:非典型労働者(1)
非典型労働者にはどのような種類があり、どういった分野で多く働いているか、企業が非典型労働者を活用する理由は何か、個人が非典型労働で働く理由は何か、等について学ぶ。そのうえで、企業にとって非典型労働者のメリットとデメリットは何かを議論する。
8[対面/face to face]:非典型労働者(2)
非典型労働者にモチベーション高く働いてもらうにはどうすればよいか、正規・非正規間の公平な処遇にはどういった考え方が必要かについて議論する。
9[対面/face to face]:女性活躍とダイバーシティー経営(1)
女性活躍の現状を知り、それを阻害している要因を理解する。わが国に特有な男女賃金格差の原因を理解し、コロナ禍によって生じた変化を踏まえ、今後の可能性について議論する。
9[対面/face to face]:女性活躍とダイバーシティー経営(2)
ダイバーシティー&インクルージョンの考え方を理解し、全員を戦略化するためのチーム運営の在り方を考える。
10[対面/face to face]:高齢者就労と障がい者雇用(1)
シニア・高齢者雇用の現状と、シニア・高齢者雇用を推進する意義はどういったところにあるのかを理解する。国際比較した場合のその課題は何かを学ぶ。そのうえで、シニア就労の障害はどういったところにあるのか、シニア就労を進めるために企業はどのようことに取り組むべきかを議論する。
10[対面/face to face]:高齢者就労と障がい者雇用(2)
個人が長く働き続けるにはどのようなことが重要かを議論し、障がい者雇用の課題と可能性を考える。
11[対面/face to face]:フリーランス・兼業(1)
フリーランスの現状と課題について、その理論的な位置づけや国際比較の観点からの特徴など、多角的に学ぶ。
11[対面/face to face]:フリーランス・兼業(2)
インディペンデントコントラクター(専門性と自律性の高いフリーランス)になるための条件と課題を議論する。兼業の意味を考える。
12[対面/face to face]:グローバル化と人材管理(1)
日本企業のグローバル化の歴史とグローバル人事の現状と課題を学ぶ。そのうえで、人材マネジメントの観点から海外事業法人をどう運営すべきかを議論する。
12[対面/face to face]:グローバル化と人材管理(2)
国内での外国人労働者の現状と課題を学び、外国人材が日本企業で活躍できるために何が求められるかを議論する。
13[対面/face to face]:労使コミュニケーション(1)
集団的な労使関係への社会的な関心が薄れたのはなぜかを考え、労使関係の良し悪しは経営にどう影響するかを議論する。
13[対面/face to face]:労使コミュニケーション(2)
労働組合にはどのような役割があるかを、海外の労使関係との比較から理解する。そのうで、労使共栄のためにはどういった取り組みが必要かを議論する。
14[対面/face to face]:日本型人材マネジメントの未来(1)
経営・事業環境にどういった変化が生じているかを改めて理解し、近年の労働政策の在り方を踏まえ、日本の雇用システムが全体としてどういう形で変わっていくと考えられるかを議論する。
14[対面/face to face]:日本型人材マネジメントの未来(2)
今後の事業変化の方向性を理解し、その中で事業創造していくために人材マネジメントに何が求められるかを総合的に議論する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
毎回、授業で行ったディスカッション・テーマについて、講義で学んだことやディスカッションした内容を踏まえ、自分の考えをA4版1~2ページにまとめて提出する。書くという作業によって学習効果が高まるからである。本授業の準備学習・復習時間は、各1時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
毎回講義資料を配布する。
参考書References
基本参考文献として、今野浩一郎・佐藤博樹『人事管理入門(新装版)』日本経済新聞出版、守島基博『人材マネジメント入門』日本経済新聞出版社、山田久『同一労働同一賃金の衝撃』日本経済新聞出版社。その他参考文献は適宜指定する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
次の要素を合計して評価する。①毎回の出席と講義時間中の議論への関与(40%)、②毎回提出するレポート(20%)、③期末レポートの作成および小テスト(40%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
講義資料の見やすさを工夫し、ディスカッションを活発化させるグループ人数を設定するよう心がけます。
その他の重要事項Others
民間シンクタンクでのジェネラルマネジャー(部長)を6年間勤め、人材マネジメントの実際を経験しています。また、「働き方改革」関連の政府審議会に属したことがあり、企業人事実務者や労組幹部向けの講演を通じて様々な意見交換をしてきました。そうした実務経験で得た知識を活かしながら、人材マネジメントの現場に即したディスカッションを行い、組織と人の問題の実際を学べる場を提供できればと考えています。
担当教員の専門分野、最近の主要業績
<専門領域>労働経済学、人的資源管理論
<研究テーマ>新しい労働市場のグランド・デザイン、VUCA時代の人材マネジメント
<主要研究業績>
①『失業なき雇用流動化』慶応義塾大学出版会、②『同一労働同一賃金の衝撃』日本経済新聞出版社、③『賃上げ立国論』日本経済新聞出版社