教職・資格（多摩）Teacher-Training Courses and Qualification Courses (Tama)

中高生の「世界史離れ」、あるいは「世界史嫌い」が叫ばれて久しい。この授業では、中学校、高等学校の授業を念頭に置いて、いかに世界の歴史への関心を引き出すか、その方法について、受講者とともに考えます。また、史料（文字史料、映像）を用いた世界史教育の方法について、史料の読解のスキルや映像を利用する際に必要となるメディアリテラシーについて、実践的に学ぶ。今学期は「世界史における隷属」を軸として、古代〜近代までの社会経済の変化、その政治的背景を中心に学びます。

　この授業は、高校新学習指導要領を踏まえ、歴史的思考力を養う歴史教育の方法を身につけることを目標とする。具体的には、（１）歴史への関心を引き出す方法、（２）史料を使った歴史教育の方法、（３）世界史の大きな流れの理解、の３点である。

日本語 / Japanese

【新型コロナウィルス感染拡大への措置】原則として、ZOOMによるリアルタイムのリモート授業を行います。1回ごとにあらかじめ史資料を配布し、新科目「歴史総合」と「世界史探究」を念頭に、資料の読解・解釈を中心に進めます。授業の中で、履修者に短い報告をお願いします。出席確認を兼ねて、授業の最後にリアクションペーパーを書く時間を設けますので、その場で書いてGoogle Classroom の所定の場所に送っていただきます。
　映像資料については、授業の代わりに、各自でYoutube等を利用して鑑賞してもらいます。鑑賞後は、翌週の授業までに映画評を送っていただきます。
　通常の授業とは別に、歴史学研究会編『史料で考える世界史20講』（岩波書店、2014年）から３章を選び、小レポートを作成していただきます。授業の中で担当を決めて、小レポートの内容を発表していただき、質疑、討論する回を設けます。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：オリエンテーション

授業の概要と進め方。

第2回：変わる歴史教育

戦後学制改革と「社会科　世界史」の誕生。新学習指導要領の理念。

第3回：史料から考える世界史

史料を使った世界史教育の方法。

第4回：世界史における「隷属」

地中海世界、東アジア、南北アメリカの比較

第5回：地中海世界の成立と古代の奴隷制度。
（『史料から考える世界史20講』第1回発表）

共和政ローマにおける奴隷制社会と奴隷反乱。

第6回：映画鑑賞

映画「スパルタカス」（1960）鑑賞。

第7回：近世のグローバル化
（映画「スパルタカス」コメントの紹介）

世界システム論の観点から大航海時代の意味を考える。

第8回：大西洋世界の成立

ラテンアメリカ、カリブ海地域の植民地化。

第9回：南北アメリカの黒人奴隷制度

大西洋奴隷貿易の歴史的意味。

第10回：大西洋世界における北アメリカ
（『史料から考える世界史20講』第２回発表）

「南北戦争・再建」の時代。

第11回：映画鑑賞

映画「国民の創生』（1914）鑑賞

第12回：歴史教育とメディアリテラシー
（映画「国民の創生（1914）コメントの紹介）

「南北戦争の南部史観」から歴史における記憶を考える

第13回：近代アジアをめぐる人の移動

日本からの海外移住と多文化化する現代日本社会

第14回：まとめ
（『史料から考える世界史20講』第３回発表）

隷属から見た世界史からわかること

指定する参考文献を読むこと。
高校時代に使用した「世界史」の教科書を通読しておくとよい。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。

歴史学研究会編『史料から考える世界史20講』岩波書店、2014年。この本の中から３章を選び、小レポートを提出してもらいます。できる限り、自分で購入して、レポートの課題とならなかった章も読んでください。教職希望者は、必ず購入して熟読してください。

各自の高等学校世界史教科書。
本田創造『新版　アメリカ黒人の歴史』岩波新書、1991年。
土井正興『新版　スパルタクスの蜂起』青木書店、1988年。
弓削達『地中海世界とローマ帝国』岩波書店、1977年。
弓削達『ローマ帝国とキリスト教』河出書房新社、1989年。
マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』全５冊、新潮文庫、1977年。岩波文庫版あり。
本田創造『新版　アメリカ黒人の歴史』岩波新書、1991年。
青木冨貴子『「風とともに去りぬ」のアメリカ』岩波新書、1996年。
ナタリー・Z・デーヴィス（中條献訳）『歴史叙述としての映画』岩波書店、2007年。
森谷公俊『学生をやる気にさせる歴史の授業』青木書店、2008年。
津野田興一『世界史読書案内』岩波書店、2010年。
桃木至朗『わかる歴史　面白い歴史　役に立つ歴史』大阪大学出版会、2009年。
大学の歴史教育を考える会『わかる・身につく　歴史学の学び方』大月書店、2016年。

（1）授業への取り組み（レスポンスシート含む）50%（２）映画コメント　20%（3）『史料から考える世界史20講』小レポート 30%
なお、期末試験・レポートは実施しません。

高校で「世界史B」を履修してしていない受講者にもできるだけ配慮して授業を進めます。世界史の基本的な知識が足りないと自覚している履修者は、高校「世界史A」で使用した教科書を読み直しておくことを勧めます。

スマートフォンではなく、PCでの受講を勧めます。

（１）この授業は教職資格取得を目指す学生を対象としていますが、大学で世界史を学び直したいと考える受講者も歓迎します。
（２）出席を重視します。教育実習、介護実習、対外試合等、正当な理由で欠席する場合は、できるだけ事前に連絡してください。やむを得ない場合は、事後でも構いません。
（３）秋学期開講の「世界史B」も履修することを勧めます。
（４）期末試験は実施しません。毎回の小レポート、リアクションペーパー、授業に取り組む姿勢を中心に成績評価を行います。したがって、代理出席は試験の不正行為と同等と見なします。