連帯社会インスティテュートInstitute for Solidarity-based Society

現代市民社会の実相と市民社会論の再検討。自由、平等、信頼、互酬を理念とする市民社会の劣化と危機を見据えて、再構築を急ぐ。

市民社会の強化につながる論点を習得する。市民社会の現代的構築の論点を習得する。現代市民社会形成の批判的主体となる。

政治学専攻においては、ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は特に強く関連、「DP2」「DP3」は強く関連している。
公共政策学専攻においては、ディプロマポリシーのうち、公共政策学公共マネジメントコースにおいては「DP2」「DP3」に関連している。ディプロマポリシーのうち、公共政策学政策研究（市民社会ガバナンス）コースにおいては「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連、特に「DP4」は特に強く関連している。
連帯社会インスティテュートにおいては、ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連している。

日本語 / Japanese

世界的に市民社会への関心が高まっている。政治的民主主義と開放経済のもとで、市民社会をよりよくガバニングしていくことの意味を捉え、市民社会論が果たすべき役割を考える。現代市民社会の考察（観察と研究）は参与的で、社会と観察者個人は相互的な役割を果たす。そのただなかでの、市民社会、個人、集団の相互連関について考察する。現代の市民社会をその変化の中で主体的にとらえる。また、市民社会論形成の思想史を追体験し検証をおこなう。
事前に示す文献を元に講義と討論を行う。志願した報告者が報告をする方式が望ましい。基本的内容は講義形式を予定する。市民社会の歴史的存在形態を一瞥し、近代以降の市民社会（狭義の市民社会）に関心を集中する。ジョン・ロックを出発点とし、米国、日本の市民社会論の特徴を明らかにする。討論の中から問題点が浮かび上がるように工夫したい。2015年は、松下圭一が亡くなり、ベネディクト・アンダーソンも亡くなった年だった。それから6年目、市民社会を歴史的に振り返る必要が強まっている。そうした課題の探求にもこたえたい。
　毎授業時とも「討議」の時間が確保されているので、グループディスカッション、ディベートのような運用を工夫し、「討議」から学ぶ学習のフィードバック、思考のループを体験的に感得する方法の現れに留意する。
　授業は原則対面で実施する。

あり / Yes

なし / No

春学期前半

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：市民社会の歴史俯瞰

シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン『市民結社と民主主義1750-1914』を参考に市民社会と市民結社の関係を最新の研究動向から考える。

第2回：市民社会の歴史と現代への課題・問題機制

『市民結社と民主主義1750-1914』以後、現代の課題。民主主義の危機。コミュニティ・オーガナイジングも参考に。市民社会と市民結社の関係を最新の研究動向から考える。

第3回：市民社会の思想史

ジョン・ロックとともに考える。『統治二論』

第4回：市民社会の思想史と市民社会論の受容、展開

ジョン・ロックとともに考える。『統治二論』
松下圭一『ロック「市民政府論」を読む』も参照しつつ。

第5回：市民社会の哲学

市民社会の反省、ロバート・D・パットナムとともに考える。『孤独なボウリング』

第6回：市民社会の哲学の変容と反省

市民社会の反省、ロバート・D・パットナムとともに考える。『孤独なボウリング』併せて、『哲学する民主主義』、『われらの子ども』も参照する。スコチポル、E・オストロム。

第7回：現代の市民社会と公共性の構造転換

ユルゲン・ハバーマスとともに考える。『第2版公共性の構造転換』

第8回：現代の市民社会と公共性の再構築へ向けて

ユルゲン・ハバーマス『コミュニケーション的行為の理論』も参照。公共性、公共圏のその後。

第9回：リバタリアニズムとコミュニタリアニズム

自由と共同体に関する制度。ロールズ『正義論』。

第10回：リバタリアニズムとコミュニタリアニズム

自由と共同体に関する制度。ウォルツァー『正義の領分』。普遍主義と特定主義。

第11回：ソーシャルチェンジの理論

CSO（市民社会団体）の実践から学ぶ。

第12回：ソーシャルチェンジの実践

国家的なものと市民社会の相克。ナショナリズムの再定義。「想像の共同体」の再発見。

第13回：市民社会ガバナンス

ソーシャル・ガバナンスと市民社会ガバナンス。「新しい公共」。東日本大震災で問われる市民社会の復興と構築。

第14回：市民社会ガバナンス再構築

傷ついた市民社会。市民社会の現代的再構築。まとめ。

シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン『市民結社と民主主義1750-1914』、ジョン・ロック『統治二論』、ロバート・D・パットナム『孤独なボウリング』、ユルゲン・ハバーマス『第2版公共性の構造転換』、ロールズ『正義論』、ウォルツァー『正義の領分』は市民社会を考えるための必須の文献となっている。新訳等も現れて学びやすい分野である。事前の学習として一定の密度で目を通しておくことが望ましい。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。

授業計画で示した文献をその講義のテキスト（議論の基点となる材料）とする。

テキストに同じ。

平常点10％、各回の授業において各自の報告発表・討議を行った場合50％の枠内で加点、各回の討論への参加・貢献を40％で評価。

学生の議論を適切に構築し、各自の気づきを尊重する。

＜専門領域＞公共性論・市民社会論・市民経済学
＜研究テーマ＞公私協働領域の研究
＜主要研究業績＞・「参院選と両院のねじれ」『ハンギョレ経済研究所レビュー』2010年9月号
・「公益法人改革の行方」『日経グローカル』2010年7月号
・「新しい公共と信頼の再構築」『JP総研リサーチ』2010年12月。「公共サービスと地域資源」『DIO』2018年1月号「地域を支える公共サービスと共同の仕組み」『労働の科学』2019年12月号