国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
ARSk500G1-217(地域研究(地域間比較) / Area studies(Interregional comparison) 500)比較宗教文明論Comparative Perspectives on Religions and Civilizations
イスラームなどの一神教と日本
臼杵 陽Akira USUKI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X2040 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月3/Mon.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
Religious, sectarian and ethnic conflicts still continue in the world after Islamic State (IS) disappeared. In Europe, there are expulsion movements against refugees from the Syrian civil war etc. In such situations, the US President Donald Trump announced “American First” policies. We cannot expect what would happen in the world in the near future. In this lecture, we will discuss world’s religious and ethnic conflicts in the world especially focusing upon the Middle East after what happens concerning religion in Japanese society.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
イスラム国(IS) は壊滅したものの、宗教・宗派・民族紛争は世界中で続いている。ヨーロッパではシリア内戦からの難民に対する排斥運動が続いている。トランプ米政権は「アメリカ・ファースト」を前面に押し出して今後世界がどんな方向に向かうのか、見えてこない。授業では、日本社会で宗教がどんな意味をもっているのかを出発点として世界の宗教紛争の現状を具体的な問題を取り上げながら 検討していく。
到達目標Goal
イスラーム世界を含む現代の宗教紛争を考える際に重要な点は、欧 米社会に特徴的に見られる宗教を個人の信仰として捉えるのではな く、共同体あるいは社会における機能に注目して考えることである。 文明として宗教を捉えるということはわれわれが現代社会における 宗教現象を理解するうえでも重要な視点である。宗教文明における 衝突はその教義のちがいというよりも、それぞれの宗教文明がそれぞれの歴史的過程を経て、その現在が形成されてきたということで もある。したがって、宗教文明を比較の視点から捉えるということ は、現在の状況を歴史的な観点からプロセスとして読み直す作業で もある。したがって、宗教の名の下でのテロなどをたんに野蛮で時 代錯誤的としてみるのではなく、現代における歴史的過程の帰結と いう観点からも考え直してみるということである。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち,「DP1」,「DP2」の達成のために特に重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
出席者数によるが、テキストを決めて演習の形式で進めていくことを原則としたい。必要に応じて、DVDなどの映像資料などを用いながら、「宗教」に関していったい何が問題なのかを含めて考えていくことにしたい。まずは「多神教」といわれる日本社会にとって「宗教」とは何かを考えていき、参加者の関心によってイスラームやユダヤ教などの「一神教」の世界へと話を移していきたい。毎回、授業に関する小レポートを書いて提出してもらう。
本科目はオンラインで行うが、コロナ感染状況が好転し、国際文化研究科の判断で可能となった場合は対面授業を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション
この授業で何を学んでいくのか。
第2回:なぜ日本人は無宗教な のか? ①日本人の宗教観
近現代に注目して日本人の宗教観がいかなるものなのかについて考える。
第3回:なぜ日本人は無宗教な のか? ②明治期から太平洋戦争まで
明治期から太平洋戦争までの日本人にとっての「宗教」とは何かを考える。
第4回:なぜ日本人は無宗教な のか?③ 戦後日本
戦後日本の日本人にとっての「宗教」の変容について考える。
第5回:なぜ日本人は無宗教な のか?④9・11事件後
9・11事件後の日本人のイスラーム観を考える。
第6回:日本と中東イスラーム 世界の関係①明治・大正期
明治・大正期の日本・イスラーム関係史を考える。
第7回:日本と中東イスラーム 世界の関係②戦前昭和期
戦前昭和期の日本・イスラーム関係史を考える。
第8回:日本と中東イスラーム 世界の関係③大川周明の初期イスラーム研究
国家主義者の大川周明の青年期のイスラーム神秘主義研究について考える。
第9回:日本と中東イスラーム 世界の関係④大川周明晩年のコーラン研究
国家主義者の大川周明の晩年のコーランの翻訳、その研究について考える。
第10回:日本人のユダヤ人観①戦前期
戦前日本のユダヤ人観と反ユダヤ主義
第11回:日本人のユダヤ人観②戦後期
戦後期日本のユダヤ人観と反ユダヤ主義
第12回:日本人のユダヤ人観③欧米との相違
キリスト教徒の多い欧米と日本のユダヤ人観観はどのように違うのか?
第13回:日本人のユダヤ人観④
イスラーム世界
同じ一神教のイスラーム世界のユダヤ人観はキリスト教世界とどのように違うのか?
第14回:まとめ
総括討論
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
中東イスラーム世界、とりわけイスラーム主義あるいはテロはいつ 起こるかわからない。したがって、毎日、新聞、テレビ、インター ネットでニュースをチェックする習慣をつけてほしい。また、日々 起こる事件の表層だけではなく、その底流に流れる事態の本質をき ちんと見極める眼力を養ってほしい。 本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』ちくま新書、1996 年。
島薗進『国家神道と日本人』岩波新書、2010 年。
臼杵陽『イスラームはなぜ敵とされたのか」青土社、2009 年。
臼杵陽『大川周明ーイスラームと天皇のはざまで』2010 年。
参考書References
井筒俊彦『イスラーム文化』岩波文庫、1991 年。
井筒俊彦『コーランを読む』岩波現代文庫、2013 年。
大川周明『回教概論』ちくま学芸文庫、2008 年。
大川周明『復興亜細亜の諸問題』中公文庫、2016 年。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業内における報告および質疑応答など積極的な姿勢をもって参加 しているかによって評価する(40%)。期末にはレポートを提出し てもらう(60%)。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
院生諸君との授業内でのコミュニケーションによって授業のあり方 を検討する機会をもつことにしたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
なし
その他の重要事項Others
なし
担当教員の専門分野等
<専門領域>中東地域研究、宗教・エスニック問題
<研究テーマ>パレスチナ/イスラエル紛争、日本の対中東関係、と りわけ聖地問題
<主要研究業績>『見えざるユダヤ人』(平凡社)『原理主義』(岩波 書店)、『大川周明』(青土社)『イスラエル』(岩波新書)、『イスラー ムはなぜ敵とされたか』(青土社)『アラブ革命の衝撃』(青土社)『世 界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)など。