経営学研究科Graduate School of Business Administration
MAN500F1-0093(経営学 / Management 500)管理会計論Managerial Accounting
福田 淳児Junji FUKUDA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 経営学研究科Graduate School of Business Administration |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X7215 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火6/Tue.6,火7/Tue.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
修士課程(夜間)授業科目 アカウンティング・ファイナンスコース |
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Outline (in English)
The purpose of this class is to provide students with the basic concepts and theories of management accounting. It also include the development of students' abilities to examine critically their company' practices of management accounting. The other purpose of this class is to deal with emerging topics of management accounting with an aim to promote students' understandings on the environmental and theoretical backgrounds for the emergence and to equip students with knowledge of their characteristics.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
管理会計に関わる基本的な諸概念また理論を学習し、自社をはじめとする企業で採用されている管理会計実務について批判的に検討する力を獲得することを目的とする。さらに、近年新たに登場してきた管理会計の研究トピックについても、その登場の背景にある環境要因を理解するとともに、その議論の特徴を理解することを目的とする。
到達目標Goal
管理会計の基本的な概念や用語について簡潔に説明ができる。管理会計研究の領域における新しい研究テーマについて理解する。また、自らが所属する企業をはじめとする組織の管理会計実務のあり方について理論的に評価・検討を行い、その問題点について指摘ができる。さらには、自社の管理会計システムについて必要に応じて改善案を提示することができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業はzoomを使用したオンライン形式で行います。授業では、毎回,教員が各テーマに関連した基礎的な理論および研究についての説明ないし紹介を行います。その後、配布資料に基づいた報告を担当の学生に行ってもらいます。各テーマについての理論的な説明、また学生が行った報告に基づいて関連した質疑応答を行うことでテーマへの理解を深めます。議論のさいには、自社の状況とあわせて議論を行うことを意識してもらえばより実践的な議論になると思います。さらに、毎回、講義の終了時点で、短い問題、またはケースを配布しますので、その回に学習した内容に基づいて、問題やケースを考えてくることを毎回の課題とします。この問題を次回の講義のはじめにそれぞれ発表してもらい,議論を行うことで、前回のテーマについての理解をより一層深めてもらいます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:ガイダンス
会計学の二つの領域である管理会計と財務会計の相違点について説明する。さらに、この講義で扱うテーマ、またテーマ間の関係について説明を行なう。
2:原価計算の基礎および管理会計の基本概念
原価計算の一連の計算手続きについて例題を解きながら確認する。さらに,管理会計の基本的な概念について概観する。
3:意思決定目的のための管理会計
意思決定目的のための管理会計の概念およびその技法について説明する。特に、設備投資経済性計算の問題を取り上げ、その意思決定のプロセスについて議論する。
4:予算管理システムについて
予算管理に関する論点を取り上げ検討するとともに,予算管理実務について紹介し,議論を行う。
5:製造間接費の配賦問題とActivity-Based Costing
伝統的な間接費の配賦方法の問題点また限界を明らかにする。さらに、ABCの概念を理解する。特に、ABCの背後にある環境要因の変化やその理論的な背景について議論を行なう。
6:原価管理(原価維持・原価改善・原価企画)
原価管理の問題を取り扱う。主に、標準原価計算による原価管理、原価改善活動および原価企画活動の関連性およびその発展について、事例を交えて考察する。
7:財務的な業績評価指標
伝統的な財務的な業績評価指標に対する批判およびEVAなど比較的近年提示された財務的な業績評価指標についてそのメリット、デメリットを検討する。
8:バランス・スコアカードの理論と実践
BSCの概念を中心に、非財務的な指標および財務的な指標との関係性について、これまでの研究の成果を交え検討する。
9:組織構造と管理会計
事業部制、カンパニー制および持株会社制における管理会計上の問題を特に分権化の程度との関係で議論する。
10:報酬システムの設計
報酬システムの設計とそれが企業の構成員の行動に与える影響を理論また実証の両面から議論する。
11:戦略的な管理会計
戦略的な管理会計の要件を明らかにするとともに実務での適用事例を取り上げつつ議論を行なう。
12:中小企業の管理会計
企業の規模に応じてそこで利用される管理会計実務に違いがあるのか,あるとすればどのような違いかについて議論する。
13:創造性と管理会計
管理会計システムが企業のメンバーまたそのグループの創造性に与える影響について考察する。
14:まとめとわが国における管理会計実務
授業の内容を振り返るとともに,我が国における管理会計実務の発展を近年行なわれたケース研究また郵送質問票調査に基づいて明らかにする。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
1回目 管理会計と財務会計の相違点について管理会計の大学レベルの基本的な文献を読み理解しておくこと。また、自社または実際の企業において、管理会計情報が果たしている役割を考えておくこと。
2回目 原価計算の一連の手続きおよび用語について、大学レベルの教科書を復習しておくこと。
3回目 意思決定に必要な原価概念を事前の配布資料に基づいて整理すること。また設備投資の経済性計算の方法についても復習しておくこと。自社における設備投資案の評価において、どのような方法が利用されているのかも調べておくこと。
4回目 配布資料に基づいて予算管理システムの組織内での働きを明確にするとともに、自社の予算管理システムの運用について調べておくこと。
5回目 配布資料に基づき、伝統的な間接費の配賦の背後にある考え方を明確にしておくこと。さらに、ABCの特徴を整理し、伝統的な間接費の配賦方法との相違点をまとめておくこと。
6回目 原価管理の様々な技法の特徴を明らかにするとともにそれらの技法間の関連性を配布資料に基づいて考えておくこと。自社の原価管理の事例をまとめておくこと。
7回目 配布資料に基づいて,EVAなどの財務的な業績評価指標が事業単位の責任者の行動にもたらす影響を整理しておくこと。
8回目 財務的な指標と非財務的な指標との間の関係を配布するケースに基づいて明確にすること。また、ケースに基づいて,自社の状況を考えておくこと。
9回目 分権的な組織と集権的な組織の特徴の比較および事業部制組織、カンパニー制組織さらに持株会社制度における管理会計上の問題を明確にしておくこと。
10回目 報酬システムの設計が組織における人間行動に及ぼす影響を考察すること。特に自分が所属する組織の報酬システムのありかたについて考察すること。
11回目 配布資料に基づいて戦略的な管理会計と伝統的な管理会計との相違点をまとめておくこと。
12回目 中小企業における管理会計実務について配布資料に基づいて考察を行うこと。特に,大企業との相違点を明確にすること。
13回目 管理会計システムを中心とするマネジメント・コントロール・システムが創造性に及ぼすまたは及ぼすと考えられる影響を自社の事例に基づいて考察すること。
14回目 自社の管理会計実務について本授業で取り上げた議論に基づいてレポートの形でまとめること。その際、理論との乖離が起きている場合、その理由を考えてみること。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しません。毎回必要な文献や資料を紹介します。
参考書References
管理会計の入門書としては以下のものがありますので参考にしてみてください。
櫻井通晴『管理会計第5版』中央経済社
谷武幸『エッセンシャル管理会計第2版』中央経済社
成績評価の方法と基準Grading criteria
講義での担当報告箇所の報告内容に基づく評価30点、講義中の議論への参加の状況20点、最終レポートの内容50点で評価を行います。講義中の議論への参加については回答の正しさよりも積極的に議論に参加する姿勢を評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
他の企業の事例などをもっと知りたいという要望がありました。ディスカッションを通じて、お互いの企業を管理会計実務を学習するとともに、様々な企業のケースを取り上げることで、できる限りこのような要望に応えるようにしたいと考えています。
担当教員の専門分野等
<専門領域>管理会計論
<研究テーマ>マネジメント・コントロール・システムと組織学習
<主要研究業績>
①「スタートアップ企業におけるMCSの採用とその精緻化」『メルコ管理会計研究』第11号−Ⅱ,pp.3-23, 2019.
②「ambidextrous組織におけるマネジメント・コントロールの設計について」『経営志林』第55巻第4号, pp.19-43, 2019.
③Organizational Learning via Strategy Formulation and the Role of MCS in That
Process: The Case of Kikkoman Corporation. "Japanese Management and
International Studies, Management of Innovation Strategy in Japanese Companies", Vol.13. pp.159-175, 2016.