経営学研究科Graduate School of Business Administration
MAN500F1-0045(経営学 / Management 500)企業家史Historical Study of Entrepreneurs
二階堂 行宣Yukinori NIKAIDO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 経営学研究科Graduate School of Business Administration |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X7115 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 水6/Wed.6,水7/Wed.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
修士課程(夜間)授業科目 企業家養成コース |
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Outline (in English)
・The purpose of this course is to look at the long-term dynamism of economic development by paying attention to entrepreneurs who are the performers of "innovation" with the power to destroy and create the equilibrium of market economy.
・In this lesson, I would like to consider the innovative behavior of entrepreneurs and the development of enterprises as a process of consolidation based on concrete examples in a long-term historical context.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
・この授業は、市場経済の均衡を破壊・創造する力を持つ「革新」の遂行者である企業家に注目することで、経済発展の長期的なダイナミズムを考察することを目的とする。
・J. シュンペーターは『経済発展の理論』(1912年)において、企業家を「創造的破壊」による「新結合」の実現者と定義し、企業家の「革新」行動によって均衡状態が攪乱されることで経済発展のダイナミズムが生じるとした。さらにA. H. コールらは、企業家の非連続的・飛躍的側面だけでなく、連続的・漸進的な側面にも注目し、均衡から不均衡を創り出すこと(創造的破壊)だけでなく、不均衡から均衡に向かう過程(競争)によって経済発展が生み出されると論じた。
・こうした企業家をめぐる理論・仮説は、実際の歴史の中でどのように観察されるのだろうか。この授業では、企業家の革新行動とその定着過程としての企業発展を、具体的な事例に基づきながら、長期の歴史的な文脈の中で考えていきたい。
到達目標Goal
・近現代日本の経済・経営発展の歴史について知識を習得し、企業家活動の前提となるそれぞれの時代の経済環境を、明確に把握する。
・その上で、企業家がある時代背景と外部環境の中で、どこにビジネス・チャンスを見出し、それをいかにして掴もうとしたのか、ケース・スタディを用いながら考える。
・以上を通して、長期的な視野にもとづく戦略的行動とは何かを学び、歴史的な思考様式を身につける。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・現時点では、以下のような授業運営方法を想定している。
①学習支援システムから教材(講義資料や説明音声・動画)をダウンロードし、順次自分のペースで学習する。
②学習の到達度を確認するため、定期的に対面またはWeb上でディスカッションを実施する。その際、参加者は自身の論点や疑問点を明確にしたレジュメを用意する。
③最終評価にあたっては、特定の起業家に関するレポートを提出していただくことを想定している。
・初回授業(4月7日を予定)の際に、参加者の確定と、授業のスケジュールを決定する。履修希望の学生は必ず出席すること。
・授業で扱う内容・トピックについては、このシラバスから変更する予定はない。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション
・企業家分析への歴史的視点
第2回:幕末維新期の経営
・概説:幕末維新期の日本経済
第3回:幕末維新期の経営
・新興商人の登場
・遠隔地交易の活性化
第4回:明治前期の経営
・概説:明治前期の日本経済
第5回:明治前期の経営
・政商の登場
・「大店」の明治維新
・企業家活動の組織化
第6回:産業革命期の経営
・概説:日本の産業革命
第7回:産業革命期の経営
・専門経営者の台頭
・地方からの産業革命
第8回:第一次世界大戦期の経営
・概説:第一次大戦ブーム
第9回:第一次世界大戦期の経営
・大戦ブームと商社
・好況時のリスク管理
第10回:両大戦間期の経営
・概説:1920~30年代の日本経済
第11回:両大戦間期の経営
・都市型産業の登場
・新興コンツェルンの成長
第12回:戦後復興期~高度経済成長期の経営
・概説:戦時統制経済から戦後改革へ
・概説:高度経済成長と大衆消費社会
第13回:戦後復興期~高度経済成長期の経営
・流通革命
・東海道新幹線
第14回:授業内容の復習
・ケース・スタディをふまえ、近現代日本の企業家活動の特徴について議論する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・本授業の準備学習・復習時間は、各2~3時間を標準とする。
・授業内容をふまえたディスカッションでは、積極的に発言することが求められる。
テキスト(教科書)Textbooks
・使用しない。
参考書References
①経営史学会編『日本経営史の基礎知識』有斐閣、2004年。
②宮本又郎・阿部武司・宇田川勝・沢井実・橘川武郎『日本経営史[新版]』有斐閣、2007年。
③三和良一・原朗編『近現代日本経済史要覧 補訂版』東京大学出版会、2010年。
④宇田川勝・生島淳編『企業家に学ぶ日本経営史』有斐閣、2011年。
⑤三和良一『概説日本経済史 近現代(第3版)』東京大学出版会、2012年。
⑥粕谷誠『ものづくり日本経営史』名古屋大学出版会、2012年。
⑦宮本又郎『企業家たちの挑戦』中央公論新社、2013年。
⑧沢井実・谷本雅之『日本経済史』有斐閣、2016年。
⑨武田晴人『日本経済史』有斐閣、2019年。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・現時点では、①定期的に実施されるディスカッションでの発言・資料内容、②最終レポートの内容、の2点で評価することを想定している。
・成績評価の際は、企業家に関する知識の習得よりも、企業家活動を長期的・俯瞰的視野から体系化し、歴史的に位置づける能力を重視する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・単なる「企業家列伝」のような授業は行わないことを心がけたい。
・むしろ、近現代の政治史・経済史の流れをふまえ、各時代の企業家をその流れの中に位置づけることで、経済・経営発展のダイナミズムを理解することに重点を置く。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
・なし
その他の重要事項Others
・定期的なディスカッションは、可能な限り教室での対面形式で実施する予定である。ただし、感染状況や受講者の希望によっては、Web上でのディスカッションに切り替える可能性がある。
・初回授業は、4月7日(水)の18時半より実施する。現時点では、教室での
で確認すること。
・初回授業では、授業の概要説明、参加者の確定、授業スケジュールの決定を予定している。履修希望の学生は必ず出席すること。
・ゼミ形式という授業の性格上、参加者数は最大でも8名程度を想定している。そのため、履修登録に際しては、企業家養成コースの学生を優先する場合がある。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
・日本経営史
・日本経済史
<研究テーマ>
・鉄道事業経営と運輸政策に関する歴史研究
・オーラル・ヒストリー
<主要研究業績>
・二階堂行宣(2020)「三陸鉄道をめぐる危機と希望―地域公共交通経営の普遍性・特殊性―」『地域の危機・釜石の対応』東京大学出版会。
・二階堂行宣(2020)「日本国有鉄道と東海道新幹線―計画期における組織内業務運営とマネジメント―」『経営志林』第56巻第4号。
・二階堂行宣(2017)「陸運業の展開」『日本経済の歴史4(近代2)』岩波書店。
・二階堂行宣(2015)「戦間期鉄道貨物輸送システムの形成」『経営史学』49巻4号。
・二階堂行宣(2014)「鉄道貨物輸送における設備・営業業務の形成」『鉄道史学』32号。