公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
POL500P2-117(政治学 / Politics 500)環境資源・エネルギー政策論Environmental Resources & Energy Policy
菊地 昌廣Masahiro KIKUCHI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X9570 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水6/Wed.6 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
サステイナビリティ学専攻 (修士課程)サステイナビリティ学専攻専門科目 |
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Outline (in English)
To learn the energy policy from environmental aspects and utility sides, including energy supply and demand.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
気候・気象の不安定化の要因となる地球温暖化対策がCOP21で協議され、新たな国際的枠組みが合意された。今後参加国はこの枠組みに沿って、それぞれの立場で温暖化対策を推進していくことになる。一方で、我が国のエネルギー政策は、再生可能エネルギー活用の進展と原発の安全対策強化を前提とした原発再稼動の流れが進みつつあり、環境維持と経済・文明を支えるエネルギーのサステイナブルな供給を図るための政府の政策に目が離せないところであり、環境保全に親和性の高いエネルギー選択供給政策の迅速な運用が望まれる。そこで、様々な要因を分析し、環境保全に有効な最適なエネルギーミックスと国民へのエネルギー安定供給を考える上で基礎となる諸課題を理解するとともに、環境に親和性の高いサステイナブルなエネルギー供給・利用政策提言能力を習得する。
到達目標Goal
①地球ライフサイクルと社会科学の視点から大気汚染、地球温暖化等、環境問題の捉え方を理解する。
②内外のエネルギー統計に基づき、豊かな社会生活を維持するために必要なエネルギー使用現状を理解する。
③利用可能なエネルギー資源の特徴とサステイナブルな供給確保のための政策立案のための考慮要因を理解する。
④エネルギー概念、エネルギー利用形態と利用効率等エネルギー利用管理上の要素を理解する。
⑤省エネルギー方法と地球に親和性の高いサステイナブルエネルギー(再生可能エネルギー)活用方法とを理解する。
⑥国際対応を含む政府の環境・エネルギー政策を分析し、将来に向けた提言能力を習得する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
初期段階で環境問題を議論する時の視点を地球ライフサイクルと社会科学の2つの側面から整理し、地球規模のエネルギーバランス概念を持って示す。
第2段階で議論の背景となる国際的エネルギー資源消費状況を理解するとともに、エネルギー供給のサステイナビリティ確保のための要因を議論する。
第3段階でエネルギーの利用形態や利用効率等のエネルギー科学について理解するとともに、省エネルギーの概念、再生可能エネルギー導入用検討について議論する。
最終段階で、国際的な視点で配慮しなければならないエネルギー価格変動要件を踏まえた国内外のエネルギー政策について議論する。
特にテキストは採用せず、授業で使用する資料を毎回事前に配信し、予習を求める。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:環境問題の捉え方
環境問題は、産業革命以来人類が構築してきた高度な文明社会の負の遺産であり、エネルギー起源の環境問題を近時間的な社会問題として捉えることを解説する。
第2回:世界のエネルギー資源とソースとシンクの関係
消費可能な化石資源の特徴を解説するとともに、自給率の視点から化石燃料別に海外依存度とエネルギー資源の需給バランスについて解説する。文明社会維持には、エネルギー供給が不可欠であるとの視点に立って、エネルギー資源利用の在り方を解説する。
第3回:エネルギー資源消費の内外の現状
環境資源・エネルギー政策を論ずる背景となるエネルギー資源消費と、地球規模でのエネルギー需要増加状況と資源価格の変動状況を踏まえて、地球規模の資源配分の公平化の視点から国際対策の在り方について解説する。
第4回:エネルギー利用に付帯する環境リスク(地球温暖化と気候変動)
大量の化石資源消費に起因する温室効果ガスによる地球温暖化問題と地球規模の気候変動メカニズムについて解説するとともに、環境負荷問題の地域間、世代間への広がりについて解説する。
第5回:環境負荷への歴史的議論とエネルギー政策立案の視点
1970年代に行われたローマクラブの議論及び引き続き行われた環境負荷に対する議論を歴史的な変遷から整理すると共に、ここで提案された政策立案に至る手法について解説する。
第6回:エネルギーの科学技術
エネルギーとは何か、その種類、用途とその特徴等の概念を解説し、熱、動力、電気と形態を変えて利用されているエネルギーの特徴とエネルギー利用時の損失や回収方法について解説する。
第7回:安定したエネルギー資源確保のための要因とエネルギーセキュリティ
安定した資源供給のために不可欠な資源確保対策としてのエネルギーセキュリティ政策について解説する。
第8回:再生可能エネルギーと新エネルギー
再生可能エネルギーやその他の新エネルギー技術や導入実績について紹介すると共に、サステイナブルなエネルギー供給・利用形態について解説する。
第9回:省エネルギー
エネルギー利用の効率化の観点から、供給サイド及び需要サイドの視点で実施されている省エネルギーや節エネルギー等、経済基盤維持の視点からの将来的な限界や課題について解説する。
第10回:環境・エネルギー税制
エネルギー政策を実現する上で必要となる資金確保のための石油・石炭税、電源開発促進税等既存のエネルギーに係る税制を解説すると共に、環境税(炭素税)のあり方や用途について解説する。
第11回:エネルギー政策の歴史とエネルギー関連法
近代産業発展に伴って採用されてきた我が国のエネルギー政策を解説すると共に、現在のエネルギー関連法令について議論する。
第12回:政策立案のメカニズムと今後の方向性
エネルギー政策基本法に基づくエネルギー基本計画策定のメカニズムの説明と近い将来の我が国のエネルギー利用計画について解説する。
第13回:電力自由化政策とエネルギー供給システム
公共財としての電気エネルギー供給の立場と、私財としての電気エネルギー供給の立場の両面から国民に安定した電力を供給するための我が国の電力供給問題について議論する。
第14回:環境維持に関する国際協議
地球温暖化防止のための気候変動枠組み条約の実施取り決めとしての京都議定書及びパリ協定の交渉の経緯を解説し、今後の方向性を示唆する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。事前に配布する授業レジメを予習は必須。
テキスト(教科書)Textbooks
特に特定のテキストは採用しない。講義レジメは事前に学習支援システムで配信する。
参考書References
①成長の限界、D.H.メドウズ他著、大来佐武郎監修、ダイアモンド社、昭和47年9月20日
②成長を超えて、D.H.メドウズ他著、茅 陽一監修、ダイアモンド社、1992年12月3日
③成長の限界、人類の選択、D.H.メドウズ他著、枝廣淳子訳、ダイアモンド社、2005年3月10日
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業を通して理解した内容をレポートにまとめ提出を求める。授業内容の理解の到達度を確認する。提出レポートの内容を100点を満点として評価する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
半期の授業であり、講義を効果的かつ効率的に進める必要があることから事前配付資料の予習は必須。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし。
エネルギー政策
<専門領域>
エネルギー政策
内外のエネルギー安全保障政策、エネルギー利用環境保全政策、核不拡散政策、核物質管理政策技術
<研究テーマ>
地球環境に親和性の高いエネルギー利用とエネルギーセキュリティの追求
環境保全と安定したエネルギー利用に対する政策提言
<主要研究業績>
菊地昌廣「京都議定書目標は達成し得るか」法政大学人間環境論文集第8巻第1号
菊地昌廣 「核拡散問題と検証措置」浅田正彦、戸崎洋史 編、核軍縮と不拡散の法と政治第14章(信山社、2008年)
菊地昌廣 「大規模災害と科学技術」科学技術と国際関係、共著第9章(内外出版 2013年)