公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
MAN500P2-125(経営学 / Management 500)サステイナビリティ・コミュニケーション論Sustainability Communication
川村 雅彦Masahiko KAWAMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X9558 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期後半/Spring(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 木6/Thu.6,木7/Thu.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
サステイナビリティ学専攻 (修士課程)サステイナビリティ学専攻専門科目 |
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Outline (in English)
"Sustainability Communication" is communication with stakeholders for enhancing the reliability & branding and creating a corporate value by the sustainability management including environmental & CSR ・ESG and SDGs activities, with the aim of construction of the sustainable global and local society.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
●サステナビリティ・コミュニケーションとは、持続可能な社会の実現に向けた企業の環境経営やCSR・ESG経営あるいはSDGsを含む「サステナビリティ経営」において不可欠な企業の信頼性とブランド、そして企業価値を高めるためのステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションである。
●現代企業の事業活動はグローバルに拡大し、地球環境や地球社会に様々な悪影響を及ぼす反面、それらを解決できるキープレイヤーでもある。それゆえ、サステナビリティ・コミュニケーションが最終的に目指すものは、社会的課題を中心に据えて、環境・社会の持続可能性と企業の持続可能性の同時達成である。
●日本企業が苦手とする企業ブランディングにもつながるサステナビリティ・コミュニケーションの必要性を理解する。
到達目標Goal
●持続可能な環境・社会の実現に向けた企業経営におけるサステナビリティ・コミュニケーションの考え方や手法を理解し、実際の企業のCSRやESGあるいはSDGsにかかわる判断や行動について自らの言葉で評価できる。
●グローバル・ローカルの環境的・社会的課題を理解し、CSR・ESGリスク回避と企業価値向上に向けた、企業のステークホルダーとのコミュニケーションによる解決策や改善策を提案できる。
●従来、経営論は「企業はいかに儲けるか」を論じてきたが、それは環境・社会が持続可能であるという暗黙の前提があった。しかし、気候変動や人権・労働をはじめ環境的・社会的課題により持続可能な発展が見通せなくなった現在、企業はビジネスを通じて自らその課題を解決し、価値創造につなげなければならない。このことを十分に納得し説明できる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
●授業は6月3日(木)の6~7時限から開始いたしますが、「対面授業」を予定しています。ただし、コロナ禍の状況によっては、Zoomによるオンライン授業の可能性もあります。その場合には、受講者には個別に「招待」メールを講義資料とともに、登録された法政アドレスに事前に送ります。
●持続可能な環境や社会の実現に向けて、企業経営はいかにあるべきかが基本命題である。この授業では、その重要な側面として、多様なステークホルダーとのコミュニケーションに着目する。
●まず、サステナビリティ・コミュニケーションの目的・概念・手法を確認し、持続可能な環境や社会の実現を阻害するグローバル・ローカルの社会的課題を理解する。そのうえで、主要ステークホルダーごとの実践例を取り上げ、現状把握と課題抽出をおこなう。
●授業では指定する教科書と毎回配布するレジュメを使い、随時の質疑応答により理解を深める。また、受講者各位への「課題レポート」として各自への特定企業のCSR・統合報告書等を実際に評価し、全員で議論する(これを期末試験に代える)。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期後半
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:サステナビリティ・コミュニケーションの目的と5W1H
・誰が、誰に、何のために、何を、どのように
・日本企業の弱点である誠実なコミュニケーション
・サステナビリティ・コミュニケーションはブランディング
2:企業のサステナビリティと社会のサステナビリティの不可分性
・グローバルとローカルの社会的課題(環境問題含む)から考える企業経営
・CSRリスク回避とソーシャル・ブランディング(具体的なリスク事例)
3:ステークホルダー・エンゲージメントとCSR・ESG
・不確実な経営環境における中長期の企業価値向上のための経営戦略の策定と開示
・ステークホルダーの特定とエンゲージメントの効果・メリット
・Sustainability Context 原則 (GRI・G4)/「トヨタ環境ビジョン2050」
4:CSV(共有価値の創造)と財務・非財務情報を融合する「統合報告」
・CSRとCSV、ESGやSDGsの位置関係(共通点と相違点)と先進事例
・世界の潮流となりつつある「統合報告」の狙い、「統合思考」の重要性
・日本企業の対応状況
5:主要ステークホルダー別のコミュニケーション(実践例と課題)1
・投資家・金融機関:IRから「統合報告」へ
・顧客・消費者:製品・サービスの情報開示と苦情解決、消費者の権利
・従業員:サステナビリティ・マインドの醸成、人権・労働の課題
6:主要ステークホルダー別のコミュニケーション(実践例と課題)2
・地域(市民):サステナビリティ教育、企業プロボノ、社会的弱者の支援
・調達先・発注先:サプライチェーンのCSR監査
・NPO・NGO:社会的課題の認識と解決策
7:討論会(授業内期末試験)
・各自の特定企業のCSR・統合報告書の評価をまとめた「課題レポート」の発表と全員討論
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、合わせて1時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
川村雅彦著「CSR経営 パーフェクトガイド」 2015年 ウィズワークス刊 定価1,800円(消費税別)
(事前に購入してください)
参考書References
・吉澤正編「環境コミュニケーション入門」日本規格協会刊、2007年
・ISO「国際規格ISO26000(社会的責任の手引き)」2010年発行(授業で一部配布)
・田中、水尾、蟻生著「渋沢栄一に学ぶ 論語と算盤」同文館刊 2016年
・落合洋一著「2030年の世界地図帳」SBCreative刊 2019年
(購入する必要はありません)
成績評価の方法と基準Grading criteria
・授業参加・貢献(50%)+課題レポート提出(30%)+期末試験・討論(20%)
・以下を合格条件とする。
・5回以上の出席(公欠届や諸事情は考慮する)
・特定テーマに関する「ミニレポート」の提出
・「課題レポート」の提出(各自に指定する企業のCSR・統合報告書等によるサステナビリティ・コミュニケーションの評価)
・期末試験時の討論参加(各自の課題レポートを基に全員による質疑応答と討論)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
積極的に受講者の意見を引き出すこと。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
対面の場合には、特に要求なし。オンラインではインターネット接続可能なPCの準備。
その他の重要事項Others
●社会的課題に関心があり、未来志向の方。
●環境経営・CSR・ESGやCSVあるいはSDGsさらに統合思考・統合報告やESG投資に関心のある方を特に歓迎する。
●2015年に人類は文明史的な大転換点を迎えた。これからは、これまでの企業経営の常識は非常識となる。企業が創造すべき価値は、経済価値と社会価値である。
●講師の海外を含む企業勤務の経験も交えて講義をするので、出席を重視する。そのため、規定回数以上の出席を原則とする(毎回、出席確認と小討論会を行うが、事情がある場合には事前相談に応ずる)。
●担当講師は、土木エンジニア出身のシンクタンカーである。他学での講義経験豊富。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 環境経営、CSR・CSV・ESG・SDGs経営、環境ビジネス、統合報告(財務情報と非財務情報の統合)⇨自称【統合思考伝道師】
<研究テーマ> SDGs社内浸透、バリューチェーン・マネジメント、統合思考、ESG投資、気候変動リスクと適応
<主要研究業績>
〇『統合思考とESG投資』法政大学・文真堂
①『カーボン・ディスクロージャー:企業の気候変動情報の開示動向』税務経理協会刊、2011年8月
②「日本の『CSR経営元年』から10年」ニッセイ基礎研レポート2012年12月
③「CSVはCSRの進化形だろうか?」ニッセイ基礎研レポート2013年4月
④「『統合思考』による発想の転換を!」ニッセイ基礎研レポート2013年7月
⑤「サプライチェーンのCSRリスクに疎い日本企業」ニッセイ基礎研レポート2014年2月
⑥「グローバル時代のコンプライアンス」2014年10月
⑦「ESG投資と統合思考のために」ニッセイ基礎研レポート2016年12月
⑧「2017年のCSRトレンド」オルタナ総研 CSER today 2017年12月アップ
⑨「SDGsウォッシュと言われないために」ニッセイ基礎研レポート 2018年3月