公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
ECN500P1-228(経済学 / Economics 500)租税政策Tax Policy
櫻井 良治Ryoji SAKURAI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X9086 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期前半/Fall(1st half) |
曜日・時限Day/Period | 土3/Sat.3,土4/Sat.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
公共政策学専攻 (修士課程)政策研究コース専門科目 |
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Outline (in English)
現在、少子高齢化時代の経済成長鈍化によって、所得課税中心の税制に限界が来ている。高齢化社会の社会保障財源充実のため、消費課税の役割が増している。
これまでは、軽減税率制度の成熟を踏まえて、その制度の意義と影響を学んできた。今回は、消費税の価格転嫁問題の専門書を輪読して、消費増税が物価に与える影響について学ぶ。
税金や租税政策になじみのない学生も学べるように、副読本として、税金の入門書も学ぶ。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
授業はすべて、大学の教室で対面で実施する予定である。
本授業では、日本の税金の中心となった消費税の役割と増税の影響を学ぶ。
2018年からスタートした。初年度の授業は、私の書いた著書を使って、消費税の「逆進性」問題をめぐる公平性について、学んだ。2019年には、翌年の消費税複数税率化をにらんで、食料品課税軽減の準備について学んだ。
2020年には、食料品軽減制度に関する専門書を使って、その意義や政策的意図について、深く学んだ。
毎年の受講生が少ないので、受講希望者は大歓迎する。
学生の大半は仕事や家庭で多忙なので、学生の負担は最小限とする。
今年から新テキストとして、以下の二冊を使用する。
一冊は消費税の専門書で、二冊目は税金全般の入門書である。
テキストは、私が負担して書店で購入する。
その後、受講確定者に無料で差し上げる。
※ 私が過去に書いた著書『消費税は弱者にやさしい』も、無料で贈呈する。
・解説書『マンガでわかる税金のすべて』20~21年度、成美堂書店』
・専門書『消費税の転嫁と帰着 2014年増税が物価に与えた影響』
白石浩介著、税務経理協会、令和元年(2019年)9月20日発行。
経済学や租税政策の専門でない広領域の他分野の学生にも分かる授業とする。
出席率については、大学の方針に従うが、学生の就労状況などに配慮する。
到達目標Goal
一日目の二コマの授業は、教員が、テキストとサブテキストを使って、租税政策全体と消費税制度の概要を説明する。
三回目以降は、新テキストの専門書に基づいて、学生が準備して報告する。
今回は、「消費税の転嫁と物価に与える影響」という課題を学ぶことで、消費税の増税に与える影響を学ぶ。そこから視野を広げて、消費税等の租税の公平性や経済的な中立性といった租税政策の基本認識を目指す。
最終的には、学生各自が専門の各分野で役立つ租税政策の一般的な知識を習得することを目指す。
最終的に、消費税の公平性や経済的な中立性についての理解を目指す。
※ 税金入門書の「金融商品の税金編」では、高齢化社会の税制について、国民の資産形成の促進の視点から学ぶ。(ニーサNISAや積立ニーサ制度、公的年金を補完する積み立て年金非課税イデコiDeCo制度などの活用方法を学ぶ。
退職前に老後資金をふやす資産形成方法について、具体的に学ぶ。その対象は、日本株、米国株、日本投資信託、米国投資信託など、多岐にわたる。)
社会人としての納税に困らない知識の習得を目指す。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、公共政策学専攻公共マネジメントコースにおいては「DP1」「DP2」に関連している。ディプロマポリシーのうち、公共政策学専攻政策研究コースにおいては「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連、特に「DP2」は特に強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業はすべて、大学の教室で対面で実施する予定である。
初回と2回目の授業は、私が報告する。
3回目以降については、初回の授業で、学生を交えて相談して、学生の報告分担を決める。教員が無償配布したテキストの輪読で進める。
消費税の転嫁や物価に与える影響に関する最新のテキストで学ぶ。
学生の負担は最小限とする。相談のうえ、多忙な学生の報告義務などの負担を緩和する。
学生へのフィードバックは、授業内で適宜行っていく。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期前半
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:教員が説明
『マンガでわかる!税金のすべて』に基づいて、教員が税金の概要を説明する。
「PART1税金の基本知識 これだけは知っておきたい」税金とは何か、その納め方を学ぶ。
第2回:教員が説明
専門書『消費税の転嫁と帰着-2014年増税が物価に与えた影響』の目次に沿って、教員が概要を説明。
第一部「消費税の現状と経済理論」
第1章の1「日本の消費税」
「消費税の仕組み」について、教員が概説する。
第3回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』「PART1税金の基本」
「税金知識」を学ぶ。
前半
所得税の種類や税金の申告等について学ぶ。
第4回:学生が分担報告
テキスト『消費税の転嫁と帰着』
第1部「消費税の現状と経済理論」
第1章の2「消費税の創設とその後の歩みー消費税の引き上げが難しいのはなぜか―」
第5回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』「PART1税金の基本」
PART1「所得税とは」「税金知識」後半
所得税の所得控除や申告の方法等について学ぶ
第6回:学生が分担報告
『消費税の転嫁と帰着-』第Ⅰ部「消費税の現状と経済理論」
第2章 「消費税の経済理論」
1「消費税の転嫁と帰着」
第7回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』「PART1税金の基本」
PART1「所得税とは」「所得控除」その他の控除」を学ぶ。
第8回:学生が分担報告『消費税の転嫁と帰着-』第Ⅰ部「消費税の現状と経済理論」
第2章 「消費税の経済理論」
2「最適課税の理論」
第9回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』PART2「あなたに課税される あんな税金こんな税金」
「サラリーマンの税金編」を学ぶ。
就職後に課税される税金
第10回:学生が分担報告
『消費税の転嫁と帰着-』第Ⅱ部「消費増税が2014年の物価に与えた影響」
第3章「消費者物価指数に見る消費税の転嫁」
第11回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』PART2「あなたに課税さる あんな税金こんな税金」
「個人事業者、自営業者の税金編」」
自分で事業を始めると課税される税金
第12回:学生が分担報告
『消費税の転嫁と帰着-』第Ⅱ部「2014年の消費税増税が物価に与えた影響」
第4章「Point of Sale (
POS)データに見る消費税の転嫁」
第13回:学生が分担報告
『マンガでわかる!税金のすべて』PART2「あなたに課税される あんな税金こんな税金」
「不動産にまつわる税金編」土地や建物、マンション等を売った時の税金
第14回:学生が分担報告
『消費税の転嫁と帰着-』第Ⅱ部
第Ⅰ部「消費税の現状と経済理論」
第5章 「マイクロデータみ見る消費税の本質」
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストで紹介する制度やデータがやや古い場合、必要に応じて新しい制度等と対照して理解を深める。
その場合、参考図書にあげた『図説日本の税制』(最新版)等に紹介された最新の制度等と比較して、分かりやすく説明する。
本授業の準備学習・復習時間は各授業あたり、2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
以下のテキストと補助テキストの各自二冊は、受講生に無償で差し上げます。
[新テキスト]
白石浩介『消費税の天下と帰着―2014年増税が物価に与えた影響』税務経理協会
第3回目の授業からは、このテキストに沿って、順番に学生が布告する予定。
※ 新テキストは、教員が負担購入して大学に送付。受講確定者には、大学から配布する。
(昨年度からの受講者については、授業開始前に自動的に配布してもらう)
〔旧テキスト:補助テキスト〕
櫻井良治著『消費税は弱者にやさしい』言視舎⇒無償で差し上げる予定
消費税の逆進性について、純理論的に説明した書物。
〔教員が執筆した参考書:[補助テキスト]
櫻井良治著『消費税ほど公平な税はない』文眞堂
参考書References
〔選定図書〕
国税庁代表者執筆『図説日本の税制』(最新版)財経詳報社、
財務省代表者執筆『図説日本の財政』(最新版)東洋経済新報社。
現代日本の租税制度。、財政制度全般について、租税徴収、財政運営当局が編纂した権威ある書物。 ※ 図書館に旧版があれば、それで間に合わせて良い。
大學か市中図書館で、購入希望を出せば、新版を入手できるでしょう。
税理士 小池正明著『図解消費税の仕組みと実務が分かる本』日本実業出版社、2019年10月 最新第二版 発行
税理士の立場から事業者の納税実務に必要な消費税の仕組みを解説。
[選定資料]
税務大学校購本『消費税法』2020 (令和2年) 最新版
※ 税務大学校講本は、間接税の本質論や歴史を含む詳細な基本資料である。
ダウンロードして必要な個所を読んでおくか、印刷して用意してください。
※ その他、授業の進展につれて、必要に応じて指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
毎回の出席が基本的となる。ただし、学生の事情を最大限考慮する。
必要な出席割合については、大学の規則や習慣に従うするが、学生の事情を考慮。
〔各学生の実施義務事項と評価割合の関係について〕
1.出席状況と良好な授業態度、発言内容に応じて、60%の評価とする。
テキストに基づいて順番に行う報告内容に応じた学生の意見交換の適切さに応じた評価とする。つまり、出席と基本的な意見表明で単位は取得できるものとする。
2.授業内の意見交換やに適格さに応じて残り20%の評価を加算して、合計80%として評価する。各自の専門性や専門外の認識の高さを評価基準とする。
(基準通りに出席して報告、討論をすれば、優以上の成績となることを目安とする。)
3.学生が報告を実施した場合、報告内容に専門性や独創性等の自分の意見を交える等、特に優秀な場合には、残り20%の評価を加算して、最高100%として評価する。
※積極的な参加態度や意見表明等、数値化できない要素も評価に加える。
それらの要素も極力客観視して、評価対象とする。
・ 試験やレポートは実施しない予定である。
ただし、以上のレポート等について、学生の要望があれば、実施して評価する。
(詳細については、授業の展開状況を踏まえて、学生と相談して決める。)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生のプライバシーに関する個人情報は、授業中に話さないように努める。
・成績評価については、授業の平素の学習状況を平等かつ厳密に勘案する
・すべての学生に平等に接するように心がける。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
目下、特段の機材他を使用する予定はありません。
必要に応じて、大学のノートパソコンを利用してきました。(学生の所有するパソコンの方が便利な場合には、それを準備してもらいましてもらいます。)使用方法は、講義資料として官公庁や研究所が作成した資料を利用することです。
その他の重要事項Others
以上の講義計画は、基本的に守るべき基準とする。
初回の授業で学生の意見を聞いたうえで、全体の計画を再検討する。
学生の専門性や興味関心を聞いた上で、臨機応変に対応する。
学生の専門的知識の高さに応じて、多少変更することがある。
担当教員の専門分野等
<専門領域>財政学・地方財政論・地域政策
<研究テーマ> 租税政策
<主要研究業績>
・著書『消費税は弱者にやさしい』言視舎
・著書『消費税ほど公平な税はない』文眞堂