公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
POL500P1-116(政治学 / Politics 500)自治体経営論Study on Management of Local Government
谷本 有美子Yumiko TANIMOTO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X9053 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期後半/Spring(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 金6/Fri.6,金7/Fri.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
公共政策学専攻 (修士課程)公共マネジメントコース専門科目 |
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Outline (in English)
The concept of“management of local government”is broad. The NPM theory which was introduced to Japan in the 1990s, a new administrative style, were made use of mainly in the aspect of administrative reform, as a movement to introduce the management methods of private companies. Such as "city management" by large cities and "regional management" accompanying regional development, although they are focus on the business aspects of local governments, can also be interpreted as "management of local government" in a broad sense. The phenomenon that private sector and the voluntary sector has been taking charge of policy implementation since the 2000s raised needs of the local governments to work on "public management".
First, students learn the basic systems and theories related to "public management". Then, assuming the public issues of "local sustainability" that local governments face, we'll consider the management of local government which cooperating with the private sector and using regional resources, while taking into account the issues of policy responsibilities and democratic control.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
「自治体経営」が意味する概念は幅広い。1990年代以降、自治体において「経営」の概念が積極的に登場したのは、NPM理論の影響が多大である。それらは主に行政改革の側面から、民間企業の経営手法を新たな行政スタイルとして導入を図る動きとして活発化した。また、大都市による「都市経営」や地域開発に伴う「地域経営」など、自治体の事業者的な側面に着目した概念も広義の「自治体経営」と解しうる。加えて、2000年代以降は政策実施を民間セクターが担う例が拡大し、政府セクターと民間セクターとの境界線が曖昧となりつつあることから、近年の自治体経営は「公共経営」としての色彩を強めている。
そこでこの授業では、まず「公共経営」に関わる基本的な制度と理論を学ぶ。その上で、21世紀の自治体が直面する「地域の持続可能性」という公共課題を前提に、自治体が民間セクターとの連携や地域資源の活用を図る際の政策責任や民主的統制の問題も視野に入れながら、これからの自治体経営とガバナンスのあり方について理念的に検討する。
到達目標Goal
・自治体経営に関わる基本的な理論や制度を理解する
・多角的な観点から制度運用を研究する術を身につける
・公共政策の制度設計に関わる理念的な思考力を養う
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、公共政策学専攻公共マネジメントコースにおいては「DP3」「DP4」に関連している。ディプロマポリシーのうち、公共政策学専攻政策研究コースにおいては「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連、特に「DP2」は特に強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
この授業は対面授業で行う。
前半は、テキストや参考書等を利用した講義と受講生間の討議を通じ、公共経営に関わる基本的な制度や理論、及び運用の実際についての理解を深める。
後半は、受講生による事例報告や論点提起を中心にテーマに即した討議を行い、既存のしくみや制度論を超えた多角的な観点から自治体経営のあり方や今後の可能性について考察する。
発表やレポート等に対する講評は授業内に適宜行い、全体にフィードバックします。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期後半
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション-自治体経営と公共経営
既存の自治体経営論や公共経営論の視座を俯瞰する(テキスト第1章参照)
第2回:行政改革とNPMの潮流
日本の行政改革の歴史や傾向と90年代のNPM改革を把握する(テキスト第2章参照)
第3回:民間委託の歴史と現在
自治体における民間委託の展開を学び、運用の課題を検討する(テキスト第3章参照)
第4回:第三セクターとNPOの動向
民間との連携による公共サービスの供給という観点から、自治体による第三セクターとNPOの活用動向を検討する(テキスト第4章参照)
第5回:PFI・PPPと市場化テストの現在
2000年代に政府主導で促進された民間活用の仕組みと導入の実際を検討する(テキスト第5章及び第6章参照)
第6回:指定管理者制度・独立行政法人制度の効用
施設の管理部門への民間活用や政策実施部門の組織分離が導入された現状を踏まえ、自治体経営への効用を検討する(テキスト第7章及び第8章参照)
第7回:公務従事者の多様化と人材活用
非正規職員の増加や会計年度任用職員制度が導入される中での人的資源のマネジメントを考察する(テキスト第12章参照)
第8回:政策評価と議会の役割
自治体行政における政策評価制度と二元代表制を担う議会によるガバナンスとの関係性について考察する(テキスト第11章参照)
第9回:人口減少時代の都市政策
都市政策に関わるゲストスピーカーの報告
第10回:都市政策と自治体経営
第9回の報告を受けて、全体で討議を行う
第11回:持続可能な地域社会と多様な協働
テーマに関する事例報告を受講生が行い、全体で討議を行う
第12回:自治体におけるAI活用
テーマに関する事例報告を受講生が行い、全体で討議を行う
第13回:自治体の政策責任と民主的統制
自治体による政策責任や民主的統制についての理念を踏まえ、前回までの自治体経営のあり方についての討議を振り返りながら、総合的に検討する
第14回:自治体間の協力体制と「公・共・私のベストミックス」を考える
近年、政府が提唱する公共サービスの新たな提供手法について、ガバナンスの観点から考察する
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前にテキストを通読し、複数の参考書を読む。
事例報告や論点提起のための準備を行う。
討議の論点事項を中心に追加情報を収集し、精察する。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
外山公美ほか(2014)『日本の公共経営-新しい行政』北樹出版
参考書References
稲継裕昭(2013)『自治体行政の領域-「官」と「民」の境界線を考える』ぎょうせい
片木淳・藤井浩司(2012)『自治体経営学入門』一藝社
トニー・ボベール、エルク・ラフラー/みえガバナンス研究会訳(2008)『公共経営入門 公共領域のマネジメントとガバナンス』公人の友社
柗永佳甫編著(2015)『公共経営学入門』大阪大学出版会
武藤博己編著(2004)『【自治体改革◆第2巻】自治体経営改革』ぎょうせい
ヤン=エリック・レーン/稲継裕昭訳(2017)『テキストブック 政府経営論』勁草書房
その他、授業中に適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業内報告30%、平常点20%、最終レポート50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
受講生からの質疑を踏まえ、後日授業で補足説明や追加資料の提供を行います。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし
担当教員の専門分野等
<専門領域>行政学、地方自治、市民自治
<研究テーマ>中央政府における地方自治、国による自治体統制、人口減少時代の自治体政策と市民自治、大都市行政区の民主的統制
<主要研究業績>
『「地方自治の責任部局」の研究-その存続メカニズムと軌跡[1947-2000]』(2019)公人の友社
「『透明性』・『誠実性』・『戦術性』-“転職”を迫られる地方公務員」(2001)『分権社会と協働』(共著)ぎょうせい
「国による『上から』の自治体統制の持続と変容」(2008)『分権改革の動態』(共著)東京大学出版会
「大都市行政区の『区民会議』と市民参加のアジェンダ-神奈川県内の指定都市を題材に」(2016)『横浜市立大学論叢 人文科学系列』第67巻第1号