市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course
LIT200LA(文学 / Literature 200)日本文学と文化LHJapanese Literature and Culture LH
榎本 正樹Masaki ENOMOTO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | Q1324 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 法文営国環キ1~4年 |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
選択・必修Optional/Compulsory | |
カテゴリー(2017年度以降)Category (2018~) |
2017年度以降入学者 ILAC科目 200番台 リベラルアーツ科目 1群(人文分野) |
カテゴリー(2016年度以前)Category (2017) |
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すべて閉じるHide All
Outline (in English)
Shinkai Makoto is Japanese animation director. His animation film is highly acclaimed not only in Japan but also overseas. Last summer, his latest work " Weathering With You" was released. I decode Shinkai's all animation works from various viewpoints.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』は、アニメーション界や映画界を超えた近年の日本映画最大のヒット作品として、多くの観客の支持と共感を得ました。国内観客動員数1,900万人を突破、興行収入250億円を超える大ヒットとなり、邦画興行収入歴代2位を記録、アジア圏では7冠達成を記録し、日本のみならず世界各国の記録を塗り替えることになりました。2019年には最新作『天気の子』が封切られ、前作同様の評価を得ました。アニメーションというジャンルの枠を越えた同時代の重要な表現者として、新海誠という存在をとらえ直す必要があります。
新海誠というクリエーターの名前を、『君の名は。』で初めて知った人が多いかもしれませんが、新海監督のキャリアは2000年代初頭にまで遡ることができます。新海作品の根底にあるのは「言葉」に重きを置いた世界造形、言い換えれば「文学」への強い視線です。人と人の間の繊細なコミュニケーションを、精緻な言葉と独自の映像美学によって表現するその姿勢は、「アニメーションという表現手段を用いた文学」と形容可能なものです。
新海誠は「アニメーション監督」であるとともに「小説家」でもあります。新海は自身の手で代表作をノベライズ(小説化)を手がけていますが、それらは単に映像作品を言葉に置き換えたものではなく、小説作品として自立しています。同一の作者による映画版と小説版を比較検討することで、映像表現と小説表現の違いを検証することが可能です。
本講義では、新海誠の初期作品から最新作まで入手可能な映像作品を参観しつつ、「新海誠の文学世界」を紐解いていきます。同時代の先端的な表現者である新海誠の主要作品を「網羅的」に観賞し、かつ「分析的」に解読する経験を通して、作品批評のための技術を獲得します。
到達目標Goal
映像作品であるアニメーションを分析的に解読する技術を身につけ、表現や仕掛けや物語構造などについて、自分の言葉で論述できるレベルを目指します。関連資料を参照し、さまざまな他人の意見やコメントに目を通し、作品のモデルとなった場所に実際に赴くことで、作品の背景にある文化的、歴史的、地理的背景について深く学び、作品を客観的に論じる力を得ます。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科:DP3・DP4、法学部・政治学科:DP1、法学部・国際政治学科:DP1、文学部:DP1、経営学部:DP1、国際文化学部:DP2、人間環境学部:DP2、キャリアデザイン学部:DP1
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は講義とプレゼンテーションを合わせた形で行います。新海誠作品を初期から最新作まで(場合によっては作品の一部を)を観賞し、各シーンについて解説と分析を加えていきます。アニメーションで重要なのはシーンを構成するカットです。カットにはクリエーターの「世界そのものへの純粋な視線」が投影されています。
もう一つ重要なのは、言葉(ナレーションや科白や対話)です。本授業では新海作品の言葉に特に注目し、物語の中で言葉がどのように作用しあい、コミュニケーションの主題を提示していくのかを細かく探っていきます。
新海監督自身の言葉、関連資料の紹介や他の論者の考察など、作品をめぐる多様な言説を紹介する機会も設けます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
(1):イントロダクション
新海誠、その人と作品について
(2):『遠い世界』『彼女と彼女の猫』
最初期作品を概観する
(3):『ほしのこえ』
物理的な「距離」と精神的な「距離」
(4):『雲のむこう、約束の場所』
SFの趣向を通して表現された世界
(5):『秒速5センチメートル』
人物と風景、あるいは速度をめぐる物語
(6):『星を追う子ども』
異界に移動し帰還する子どもたち
(7):『言の葉の庭』
独自の映像美学を支える文学性
(8):『小説 言の葉の庭』
ノベライゼーションの方法
(9):短編作品&CM作品
新海誠のアザーワークス
(10):『君の名は。』前半
すれ違いと入れ替わりの趣向をめぐって
(11):『君の名は。』後半
共苦する魂のゆくえ
(12):『天気の子』前半
作品で描かれた2021年
(13):『天気の子』後半
人身御供譚としての読みとり
(14):レポート提出
授業内レポート提出
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
アニメーションを観たり小説を読む際に受動的に観賞するのではなく、作品の細部について自分の言葉で客観的に書いたり話したりする習慣をつけましょう。授業で取りあげる映像作品や小説を繰り返し観たり読んだりして、その中で得た「気づき」をメモにとったり、疑問点や重要なポイントと思われる箇所についてまとめる作業を随時行ってください。
また機会があれば、作品の中に登場する場所に赴く「聖地巡礼」に挑戦してみてください。実在する場所が物語のシーンでどのような意味を与えられているのか、体験的に学習してください。
テキスト(教科書)Textbooks
榎本による新海誠についての評論本が、2021年夏頃までに刊行される予定です。秋学期の授業開始には間に合うと思われますので、刊行が正式にアナウンス可能な時期になった段階で、使用教科書として告知します。
参考書References
授業で扱う新海誠のノベライゼーション作品は参考書とします。必要に応じて、個人で入手してください。『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』『小説 君の名は。』『小説 天気の子』とも、角川文庫で入手可能です(電子書籍版もあります)。
http://www.kadokawa.co.jp/product/321510000146/
http://www.kadokawa.co.jp/product/321510000145/
http://www.kadokawa.co.jp/product/321603000121/
https://www.kadokawa.co.jp/product/321903000333/
その他の参考書・参考文献や参考サイトは膨大にあるので、教室で示します。
必要な資料はプリントで配付します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポートで評価します(100%)。
試験や小テストはありません。
レポートは秋学期最終授業時間に提出です。レポート内容は、「新海誠監督作品の中から、一作品または複数の作品を選び、作品論を展開する」というものです。授業内容を踏まえ、自分が選んだ作品について、自分で設定したテーマに基づき、自分の言葉で論を展開してください。
分析の鋭さ、論考の深さ、文章の正確さ、構成の巧みさなどを中心に採点します。詳細は、初回のガイダンス授業時に説明します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
専門用語など難易度が高いタームの使用を控え、初級者にも理解しやすい授業を心がけます。
可能な限り映像作品を観る機会を増やします。
その他の重要事項Others
アニメーションや現代日本文学に関心をもつ学生の履修を歓迎します。
榎本のプロフィールや研究・評論活動は、サイト(http://enmt.jp)で確認できます。ツイッター(@enmt)での情報発信も行っていますので、履修時の参考にしてください。