市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course

本講義では、日本近代文学が成立した明治期から昭和２０年代までの文学を論じる。ドラスティックに変化する、いわゆる〈近代〉化の過程で、作家たちはいかなる言葉によって社会と、ひいてはそれを存立させる制度と切り結んできたか。同時期に発達する諸メディア（写真・雑誌・映画等）との関わりを参照しながら考えていく。また、戦前の作品がいまの時代に対して持つ批評的意義を積極的に読み解いていきたい。

・文学作品をただ読むのではなく、時代・社会背景を考慮したうえで、その成立過程や社会的批評性、現代的意義について論じることができる。
・文学作品は、それ単体でなく周辺の諸メディアと関わりながら成り立ってきたことを具体的な例を挙げて説明できる。

各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP1、国際文化学部：DP2、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1

日本語 / Japanese

講義形式で行う。授業中にリアクションペーパーを記入・提出する。次回授業でコメントをいくつか取り上げ、質問や意見に関してはフィードバックを行う。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：オリエンテーション

授業内容と進め方に関する説明／「日本近代文学」とは何か

第2回：エリートと遊民のジレンマ

森鴎外「舞姫」「青年」、夏目漱石「三四郎」「それから」

第3回：「内面」の発見から告白の欲望へ

北村透谷と島崎藤村「春」

第4回：日露戦争というスペクタクル

田山花袋、国木田独歩の従軍

第5回：交差する演劇と文学

泉鏡花「義血侠血」「天守物語」ほか

第6回：消された言葉たち

社会主義思想と言論統制

第7回：〈拡散〉される私

谷崎潤一郎の映画論と「人面疽」

第8回：日本統治下の台湾と文学

佐藤春夫「女誡扇綺譚」「霧社」

第9回：震災を語る作家たち

内田百聞「アジンコート」、竹久夢二「東京災難画信」ほか

第10回：労働／消費が生み出すもの

葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」、梶井基次郎「泥濘」

第11回：「詩的精神」か「話の筋」か

芥川龍之介「文芸的な、余りに文芸的な」「歯車」

第12回：新感覚派の視角

横光利一「機械」、川端康成「水晶幻想」

第13回：疾病へのまなざし

北条民雄「いのちの初夜」

第14回：総括

授業内容のまとめと質疑応答

対象作品を読んでいることを前提に講義を進めるので、毎回必ず予習をしておくこと。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。

担当教員が作成した印刷物を授業にて配布する。また適宜、青空文庫やデジタル資料も活用する。

・十川信介『近代日本文学案内』（2008、岩波文庫）
・海野弘『モダン都市東京　日本の１９２０年代』（2007、中公文庫）
・ロバート キャンベル・十重田裕一・宗像和重編『東京百年物語』１、２巻（2018、岩波文庫）
ほか、適宜講義で指示する。

・リアクションペーパーを含む授業への参加度：50％
・学期末テスト（講義で扱った事項に関する問題と、理解度を測る記述問題）：50％
以上を考慮し、総合的に判断する。

今年度より授業を担当するため、フィードバックできません。