人文科学研究科Graduate School of Humanities
GEO500B5(地理学 / Geography 500)第四紀学研究ⅡQuaternary Research Ⅱ
藁谷 哲也
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0413 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月4/Mon.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 地理学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
The present natural environment is the result of the evolution and spread of humans in the Quaternary, while promoting natural modification. In this lecture, we look at the evolution and spread of humans in the Quaternary, and learn the multilayered relationship of the environment in different natural areas such as the arid zone and the tropics. Students understand the formation of the natural environment in the Quaternary from the relationship with humans.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現在みられる自然環境は,人類が第四紀に進化,拡散しながら自然改変を進めてきた結果である。この講義では,第四紀における人類の進化と拡散を俯瞰し,乾燥帯や熱帯など日本とは異なる自然地域における環境の重層的関係を学ぶ。学生は,第四紀における自然環境の成立を人間との関係から理解する。
到達目標Goal
学生は異なる自然地域における自然条件の重層的関係,および人間活動の自然環境に与える連鎖的影響などを包括的に知ることができる。とりわけ,乾燥地域と熱帯地域の地形,地質,気候,植生,土壌などの知識を獲得するとともに,自ら説明することができる。また,人間活動がこれらの地域に与える様々な影響について理解し,人間と自然との関係性を重視する自然地理学的視点を獲得,解説することができる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は,大学が定義するオンデマンド授業により実施する。すなわち,オンデマンドによる教材,既往文献・資料のレビューなどのコンテンツ配信を基本とするが,オンラインにより学生による発表・討論などを総合した形式で進める。取り上げる主要テーマは「授業計画」の通りである。また,課題等の提出・フィードバックは「学習支援システム」を通じて行う予定です。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:第四紀における人類の進化と拡散
化石や遺伝的近縁関係などから,人類の進化と拡散を俯瞰する。
2:乾燥帯の気候とそこに分布する地形,地形発達
乾燥気候の特徴とそこに発達する地形,地形発達について講義する。
3:オーストラリア大陸の多様な自然環境
白亜紀以降孤立してきたオーストラリア大陸の自然環境の構成要素に関する概要を講義する。
4:オーストラリア大陸の乾燥地に発達する地形と先住民の痕跡
長期にわたって風化,侵食作用を被ってきたオーストラリア大陸に見られる地形の特徴を講義する。
5:オーストラリア大陸の河川と自然改変
オーストラリア大陸東部の主要河川の特徴や人為的な自然環境改変に伴う影響について講義する。
6:ブッシュファイヤーとオーストラリア先住民
ブッシュファイヤーの発生とその影響,および自然環境と共生する先住民の暮らしについて講義する。
7:熱帯の気候とそこに分布する地形,地形発達
熱帯気候の特徴とそこに発達する地形や地形発達について講義する。
8:インドシナ半島の自然環境
モンスーンの影響を強く受ける湿潤なインドシナ半島の自然環境について講義する。
9:インドシナ半島沿岸の三角州と酸性硫酸塩土壌の形成
マングローブ,三角州の人工改変,酸性硫酸塩土壌の発生などについて講義する。
10:インドシナ半島における熱帯林の消滅
商業伐採や農地転用などによって減少する熱帯林の現状について講義する。
11:カンボジア・アンコール遺跡の成立とその後の環境変化
世界遺産に指定されたアンコール遺跡の周辺に暮らす人々と遺跡との関わりを講義する。
12:アンコール遺跡に見られる風化と風化速度
アンコール遺跡を事例に,熱帯気候下の風化プロセスについて講義する。
13:アンコール遺跡の保全とその影響
熱帯気候下における石造文化財の劣化と保存・修復活動を講義する。
14:まとめ
講義内容を総括し,レポート等により受講生の到達度をチェックする。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は,1回につき4時間以上を標準とします。
参考書にあげた専門書や担当教員の論文に事前に目を通し,自然環境に関する知識を深めてください。また,講義後には関連研究やインターネットなどを通じて理解しにくかった基礎的部分を解消するように努めてください。
テキスト(教科書)Textbooks
テキストは使用しないが,担当教員が作成した教材をもとに学習する。
参考書References
岩田修二『統合自然地理学』東京大学出版会,2018年
岩田修二編『実践 統合自然地理学: あたらしい地域自然のとらえ方』古今書院,2018年
大塚友美編著,藁谷哲也 [ほか] 著『人類の歩み(21世紀の分岐点)』文眞堂,2017年
藁谷哲也編『カンボジア研究』文眞堂,2019年
松岡 憲知, 泉山茂之,楢本正明,松本潔編『山岳科学』古今書院,2020
その他,講義の際に紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポートに加え,意見や質問などの授業参画度,理解度を考慮し総合的に評価する:討論参加20%,発表30%,レポート50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
大学院は学問のすそ野や視野を広げるところでもあります。自分の専門にこだわらず,様々な知識を獲得して自身の研究に生かすようにしてください。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
資料配布・課題提出等のために授業支援システム等を利用する。
その他の重要事項Others
質疑応答には学習支援システムの掲示板やメールを利用しますが,すぐに返事ができない場合もありますのでご了承ください。
担当教員の専門領域
地形学,岩石風化
研究テーマ
1.岩石の風化と風化プロセスに関する研究
2.カンボジア・アンコール遺跡を構成する石材の風化特性に関する研究
3.パキスタン・カラコラム山脈に発達する氷河の変動に関する研究
主要研究業績
1.アンコール・ワットを構成する砂岩およびラテライトの風化環境と風化プロセス.(2005)地形,26(3),239-257.
2.The effect of rock strength on weathering rates of sandstone used for Angkor temples in Cambodia. (2016) Engineering Geology, 207, 24-35.
3. Waragai T., Hiki Y. (2019) Influence of microclimate on the directional dependence of sandstone pillar
weathering in Angkor Wat temple, Cambodia. Earth and Planetary Science. 6:10. https://doi.org/10.1186/s40645-019-0254-5