人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B3(心理学 / Psychology 500)音声言語科学演習Seminar in Spoken Language Science
田嶋 圭一
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0231 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 英文学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
In this course, students will learn about the cognitive mechanisms that underlie the processing of spoken language.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
人間は言語を「話す」または「聞く」能力を3-4歳までにある程度習得するが,「読む」または「書く」能力はより時間と労力を要する。また,人間同様に流暢に会話ができるコンピュータは未だ完成していない。これはなぜだろうか? 本授業ではこのような疑問を出発点に,音声言語の認知処理過程について学ぶ。
到達目標Goal
音声言語が話し手にどのように産出され,音としてどのような特徴を持ち,聞き手にどのように知覚されるのかについて,説明できるようになることが目標である。また,音声分析ソフトを使って音声言語の特徴を分析できるようになることも目標である。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
音声言語の発話と知覚の仕組み,音声の物理的な特徴,乳幼児による母国語の知覚能力の発達,成人による外国語音声の学習などについて,言語心理学や音声科学の知見を学ぶ。授業は講義,課題に関するディスカッション,教員による解説やフィードバックを中心に進める予定である。また,音声分析ソフトPraatを使った課題や演習も盛り込む予定である。授業の内容や進め方については受講生の人数や理解度・要望に応じて変更する可能性がある。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:導入
シラバスの説明,音声言語と文字言語,「言葉の鎖」
2:音声とは
音声の確実性と速さ,音声産出のメカニズム,母音と子音
3:音響音声学の基礎(1)
音の正体,音の種類,音を可視化する方法,音声のデジタル化
4:音声の音響分析
Praatを使った音声の録音・可視化・編集・分析
5:音響音声学の基礎(2)
フィルタ,音声産出の音源フィルタ理論,基本周波数,フォルマント周波数
6:母音の知覚
聴覚器官,母音の特徴と知覚,母音の正規化
7:子音の知覚(1)
音響的不変性の欠如,ローカス理論,音声の符号化
8:音声の再合成
Praatを使った音声の録音・分析・再合成
9:子音の知覚(2),カテゴリー知覚
調音点の知覚,声の有無の知覚,分節音と韻律,カテゴリー知覚とは,同定と弁別
10:音声知覚の実験
同定課題と弁別課題の演習
11:音声知覚の発達
生得と学習,乳児の音声知覚,満1歳までに起こる変化
12:外国語の音声知覚
成人による外国語音の学習,知覚と産出の関係,外国語音の知覚的同化
13:文脈の影響
トップダウン処理とボトムアップ処理,音声知覚と単語認知のモデル
14:音声知覚言語と社会的認知,総括
話し方と対人認知の関係,授業のまとめ
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業にて指示されたテキストの範囲を読み,復習問題に回答し,次の授業にて提出すること。また,音声分析用フリーソフトPraatを使った課題を学期中に数回課すので,課題を行い成果を提出すること。本授業の準備学習・復習時間は,計4時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
特になし。
参考書References
ジャック・ライアルズ(著),今富摂子他(訳)(2003).音声知覚の基礎 海文堂. 石川圭一(2005).ことばと心理 くろしお出版.
川崎恵里子(編著)(2005).ことばの実験室 ブレーン出版.
重野 純(2003)「音の世界の心理学」ナカニシヤ出版.
北原真冬・田嶋圭一・田中邦佳(2017).音声学を学ぶ人のためのPraat入門 ひつじ書房.
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点20%,課題50%,発表30%の割合で評価する予定。
原則として,正当な理由なく4回を超えて授業への出席や課題の提出がなかった場合,発表を怠った場合は,単位が授与されないものとする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
2019年度はアンケートを実施したものの回答がありませんでした。2020年度はオンライン授業となったためアンケートが実施されませんでした。そのため,2018年度のアンケート結果からの気づきを以下に記します。
「積極的な工夫がされていた」「理解できた」「受講してよかった」いずれも3名全員「4」または「5」という回答でした。授業外学習も全員2時間以上でした。課題は多かったが,課題の確認とフィードバックを授業内で行えたので勉強になった,というコメントを複数いただきました。
その他の重要事項Others
授業の内容や運営方法の詳細について説明しますので,受講希望者は初回の授業に必ず出席してください。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 言語学・音声学・認知科学
<研究テーマ> 音声言語の知覚・産出・学習に関する実証的研究
<主要研究業績>
北原真冬・田嶋圭一 (2011). 音声分析ソフトウェアPraatを用いた聴取実験:F0再合成による刺激作成と実験の制御 日本音響学会誌, 67, 345-350.
田嶋圭一・川上紗代子 (2010). 依頼に対する回答の仕方が話し手の性格印象に与える影響:回答表現の直接性と間の取り方に注目して 法政大学文学部紀要, 69, 147-158.
Tajima, K., Kato, H., Rothwell, A., Akahane-Yamada, R., and Munhall, K. G. (2008). Training English listeners to perceive phonemic length contrasts in Japanese. Journal of the Acoustical Society of America, 123:397-413.