人文科学研究科Graduate School of Humanities

『精神主義』を中心とする清沢満之の著作群を読み進めることを通じて、日本近代思想において西洋思想が受け容れられていく過程を把握していく。特に、日本近代において一体何が問われていたのか、日本の近代性とは一体いかなるものであったのか、などの点に関する理解を目指していく。

・清沢満之の著作を中心に、日本近代の哲学のテキストを読み解くことが出来る。
・哲学的思索や考察内容を自身の言葉として語ることが出来る。
・議論を通じて、自身の思考内容を深めることが出来る。

日本語 / Japanese

（１）受講者全員に清沢満之の『精神主義』や他の論文の担当箇所を割り当てる。
（２）担当者は該当箇所に関するレジュメを作成し、講義で発表をする。
（３）その発表に基づいて、テキスト解釈について参加者全員で議論する。
（４）演習の始めに、前回までに議論された内容を振り返る時間を設定しフィードバックする。

あり / Yes

なし / No

春学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：演習の実施方針・方法の説明

清沢満之『精神主義』に関する概要の説明と、演習内容や進め方および評価方法の説明。

第2回：清沢満之『精神主義』第一章の「一」「二」「三」　の検討

清沢満之『精神主義』の「一　精神主義」「二　万物一体」「三　自由と服従との相関」
pp.3-15（以下すべて中公クラシックス版の頁数表記による）

第3回：第一章の「四」から「八」　の検討

「四　科学と宗教」「五　精神主義と物質的文明」「六　宗教は目前にある」「七　競争と精神主義」「八　まず須らく内観すべきだ」
pp.15-31

第4回：第一章の「九」から「一二」までの検討

「九　精神主義と唯心論」「一〇　精神主義と他力」「一一　迷悶者の慰安」「一二　精神主義と三世」
pp.31-46

第5回：第一章の「一三」から「一七」までの検討

「一三　精神主義と共同作用」「一四　親鸞聖人の御誕生会に」「一五　絶対他力の大道」「一六　生活問題」「一七　他力の救済」
pp.46-63

第6回：『精神主義』第二章と第三章の検討

精神主義（その２）と精神主義（その３）
pp.64-88

第7回：清沢満之『精神講話』「因縁」「公徳」「主観」「平等」の検討

「因縁と諦むること」「公徳問題の基礎」「宗教は主観的事実なり」「平等感」
pp.91-109

第8回：『精神講話』「独立」「信念」「勇気」の検討

「真正の独立」「宗教的信念の必須条件」「仏による勇気」
pp.109-121

第9回：『精神講話』「安慰」「根拠」「道徳」「わが信念」の検討

「倫理以上の安慰」　「倫理以上の根拠」「宗教的道徳〔俗諦〕と普通道徳との交渉」「わが信念」
pp.121-151

第10回：清沢満之『教界時言』の検討

『教界時言』の全編の検討
pp.155-182

第11回：清沢満之『宗教哲学骸骨』第一章から第四章までの検討

清沢満之『宗教哲学骸骨』「第一章　宗教と学問」「第二章　有限無限論」「第三章　霊魂論」「第四章　転化論」
pp.185-214

第12回：『宗教哲学骸骨』第五章と第六章の検討

『宗教哲学骸骨』「第五章　善悪論」「第六章　安心修徳」
pp.214-234

第13回：清沢満之『在床懺悔録』「三」「四」「七」「八」「一〇」の検討

『在床懺悔録』「三　無限と心霊」「四　自力と他力」「七　『大無量寿経』」「八　経の多さ」「一〇　行とは」「一二　称名念仏とは」
pp.241-242,245,247,249

第14回：『在床懺悔録「一三」「一六」「一七」「一九」「二一」の検討

『在床懺悔録』「一三往生と報恩」「一六　南無阿弥陀仏の解釈」「一七　三信一心」「一九　信と行」「二一　凡夫」
pp.249-250,253-258,261-262,264-267
全体の総まとめを含む

毎回の該当箇所を熟読した上で講義に参加することが必須である。
特に、発表担当者は担当箇所を幾度も綿密に読み込んだ上でレジュメを作成することが強く求められる。
本授業の準備・復習時間は、計5時間を標準とする。

清沢満之『精神主義ほか』（中公クラシックス、2015年）
参加者は各自で必ず入手した上で演習に参加すること。

まずは参考書などを参照せず、清沢満之の原典そのものにあたって入念に読み込むことが先決である。そこで理解しきれなかった点を、演習内の議論を通じて深めていくことになる。
参考文献は演習を通じて互いに提示し合うことになる。

発表担当時の発表内容（レジュメの水準を含む）（65％）と、講義内での発言や講義への参加姿勢（35％）の合算によって評価する。
演習においては毎回の発言・質問を「必須」として求め、発言・質問しなかった場合は出席したものとは見なさないので、事前学習として事前に該当箇所を読み込んだ上で講義に出席することが必要である。

演習参加者の希望によっては、より多くの文献を演習内で扱っていきたい。

発表担当の際には必ずレジュメを作成し配布すること。
紙媒体のレジュメが望ましいが、パワーポイントを使用する場合においても、議論を展開しやすいように重要箇所はなるべく文章形式を採用すること。
パワーポイントの使用を希望する際には、前の週までに講義担当教員にその旨を連絡すること。

＜専門領域＞日本近代哲学・日本思想史
＜研究テーマ＞京都学派を中心とした日本近代哲学の研究、ならびに日本思想史（神・儒・仏・物語・武士道など）の研究
＜主要研究業績＞
①「「ひと」であること、「私」であること―三木清の「哲学的人間学」をめぐって―」（『日本倫理思想論究 第2号』、2014）
②『科学技術の倫理学Ⅱ』（勢力尚雅 編共著、2015）
③「『三河物語』における譜代意識の根底―「慈悲」と「情」と「武辺」との関係から―」（『倫理学紀要第24輯』、2017）
より詳細な情報は「法政大学学術研究データベース」の西塚俊太のページ　http://kenkyu-web.i.hosei.ac.jp/Profiles/107/0010646/profile.html　を参照