人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL600B1（哲学 / Philosophy 600）超越論哲学研究Ⅱ－２Study on Transcendental Philosophy II - 2
鵜澤 和彦
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2021 |
| 授業コードClass code | X0035 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 木5/Thu.5 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
This course will consist of a close reading of Ernst Cassirer's Substanzbegriff und Funktionsbegriff: Untersuchung über die Grundfragen der Erkenntniskritik, to clarify the significance and role of Cassirer's conceptual theory, especially mathematical structuralism. At the beginning of the 20th century, to provide a basis for a precise natural science, it was necessary to clarify the possibility of mathematical cognition, its tool, in terms of logic. However, the traditional Logic of Aristotle could not meet this demand. For this reason, Cassirer constructed a new conceptual theory (logic) and attempted to base mathematics and precise natural science on this logic. In the class, we will clarify the significance and role of modern cognitive criticism in light of this historical background.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
本授業はエルンスト・カッシーラー著『実体概念と関数概念』(Ernst Cassirer, Substanzbegriff und Funktionsbegriff: Untersuchung über die Grundfragen der Erkenntniskritik)を精読し、カッシーラーの概念論、とくに数学的な構造主義の意義と役割を解明する。20世紀初頭、精密自然科学を基礎づけるには、その道具である数学的認識の可能性を論理学的に明らかにする必要があった。しかし、アリストテレスの伝統的論理学では、この要求には応えることができなかった。この理由から、カッシーラーは新たな概念論（論理学）を構築し、この論理学から数学と精密自然科学を基礎づけようと試みた。授業では、この歴史的背景を踏まえて、現代の認識批判の意義と役割を明らかにする。
到達目標Goal
①20世紀初頭の心理主義と論理主義の論争を振り返り、認識論の根本問題を理解できる。
②論理学と数学との関連、とくにカッシーラーの概念論とデーデキントの数論やフレーゲの論理学との関係を把握できる。
③ドイツ語原文の音読、文法、表現に関する疑問を解決していくことで、テキストを正確に読み、翻訳する能力を習得できる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
①本講義は、対面授業の形式で行われる。
②原典購読と講義ならびに質疑応答により、テキストの内容理解に努める。なお、ドイツ語を履修していない受講生にも配慮して、テキストの邦訳（参考書の欄を参考）による参加も可とする。課題等の提出・フィードバックは「学習支援システム」を通じて行う予定です。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回：第3章「空間概念と幾何学」幾何学の基礎づけの問題
幾何学の合理的基礎づけと経験的基礎づけ、数学的空間と感性的空間、幾何学と現実との連関について学ぶ。
第2回：第4章「自然科学的概念形成」第1節「自然概念と構成概念」
自然科学における純粋な記述という理想について解説する。
第3回：第4章「自然科学的概念形成」第2節「計数と計量提」
力学観の概念、運動の幾何学的概念と数学的観念を説明する。
第4回：第4章「自然科学的概念形成」第2節「極限概念とその意義」
極限概念の観念論的解釈と経験論的解釈、実在の問題、真理性と現実性の関係について学ぶ。
第5回：第4章「自然科学的概念形成」第3節「物理学的方法とその歴史」
古代の経験概念、自然概念と目的概念、目的論と数学、数学的物理学の経験概念について解説する。
第6回：第4章「自然科学的概念形成」第4節「自然科学的認識の方法」
仮説と自然法則、物理学的測定の前提、事実と理論、物理学的仮説の検証を説明する。
第7回：第4章「自然科学的概念形成」第4節「系列形成の根本思想」
物理学的系列概念、数概念と自然概念の関連について学ぶ。
第8回：第4章「自然科学的概念形成」第5節「事物概念の発展」
イオニアの自然哲学における実体概念、感性的質の物化、類概念の体系と感性的質の物理学について説明する。
第9回：第4章「自然科学的概念形成」第5節「原子論の体系」
原子論と数論、原子概念の基礎づけ、原子概念と微分計算、原子概念の変遷を解説する。
第10回：第4章「自然科学的概念形成」第5節「物質の概念とエーテルの概念」
物理学的対象概念の論理的形式、対象概念の現実的要請と非現実的要請を考察する。
第11回：第4章「自然科学的概念形成」第6節「空間と時間の概念」
絶対空間と絶対時間の概念、純粋力学の基準系、慣性法則、絶対空間と観念的空間について学ぶ。
第12回：第4章「自然科学的概念形成」第6節「物理学と存在論」
数学的観念としての空間と時間、絶対空間と叡智的空間を解説する。
第13回：第4章「自然科学的概念形成」第7節「エネルギーの概念」
エネルギー概念と感性的質、エネルギー概念と数概念、計量概念について学ぶ。
第14回：第4章「自然科学的概念形成」第7節「純粋関係概念としてのエネルギー」
エネルギー一元論の形式的前提、物理学的抽象の方法と現代論理学における抽象の問題を解説する。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。受講生は、各授業で扱うテキストの該当箇所を精読し、疑問点や問題点を整理しておいてください。
テキスト（教科書）Textbooks
Ernst Cassirer, Birgit Recki, Gesammelte Werke. Hamburger Ausgabe / Substanzbegriff und Funktionsbegriff: Untersuchungen ueber die Grundfragen der Erkenntniskritik, Meiner Felix Verlag(1999)
参考書References
（邦訳）エルンスト・カッシーラー（著）、山本義隆（訳）『実体概念と関数概念――認識批判の基本的諸問題の研究』（みすず書房、1979年）
成績評価の方法と基準Grading criteria
①毎回の授業での訳の準備と内容理解は、成績全体の50%、②ドイツ語原文の音読・文法・表現に関する説明は25%、③概念の語源的意義と概念史的連関の理解は25%とする。なお、ドイツ語を履修していない受講生については、課題レポートの評価50%、コメント及び議論への参加50%とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
ゼミ参加者の研究テーマに配慮しながら、認識批判の諸概念を理解しやすく解説する。また、ドイツ語の読み方や文法の説明も併せて行う。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特にない。
その他の重要事項Others
オフィスアワーについては、授業終了後に質問を受け付ける。なお、随時、メールでの質問も受け付ける。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞カントを中心とする近現代ドイツ哲学
＜研究テーマ＞意味論、構想力論、心の哲学、解釈学、生命・医療倫理学
＜主要研究業績＞
（共著）Die japanische Edition von Kants Gesammelten Schriften, in: Kant-Studien, 2013, Band 104, Heft 3. S. 386-394. ヴィルヘルム・ディルタイ著『アカデミー版カント全集・前文』翻訳及び解説（日本ディルタイ協会『ディルタイ研究』第25号、2014年）、p.98-117. 「編集者としてのディルタイ・アカデミー版カント全集の歴史的経緯からの考察」（日本ディルタイ協会『ディルタイ研究』第26号、2015年）、p.56-72.「カテゴリーの演繹論と図式論―超越論的真理概念をめぐって」（牧野英二編『新・カント読本』、2018年）、「生命・医療倫理とゲシュタルトクライスー現代の論争点として仁恵原則を問い直す」（『哲学の変換と知の越境』2019年）、「リベラル優生学のパラドックス － ゲノム編集における遺伝的多様性をめぐって」（北里大学一般教育紀要第25号、2020年）