人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL600B1（哲学 / Philosophy 600）近代倫理学史研究Ⅱ－２Study on History of Modern Ethics II - 2
菅沢 龍文
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2021 |
| 授業コードClass code | X0017 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 火6/Tue.6 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
Reading Kant's Critique of Practical Reason: Crucial Points of Kant's Moral Philosophy
Beside the section III of the Groundwork of the Metaphysics of Morals, in the first half of the Critique of Practical Reason: the "Analytik of Pure Practical Reason", Kant investigates into the moral "categorical imperative" and justifies our moral freedom. In our autumn semester we continue to read the last section of the "Analytic": "Critical Elucidation of the Analytic of Pure Practical Reason" from the last page we have read in our spring semester. In this section Kant's concept of freedom is compared to other concepts of freedom and sharpened. Examining Kant's argumentation we consider the meaning of Kant's concept of freedom. At last we read the opening pages of the section III of Kant's Groundwork of the Metaphysics of Morals to verify Kant's concept of freedom.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
カント『実践理性批判』を読む
― カントの実践哲学の原点 ―
カントの『実践理性批判』の前半の「分析論」では、『道徳形而上学の基礎づけ』の第３章と並んで、道徳的な「定言命法」が探究され、我々の道徳的自由が正当化される。この秋学期は、その「分析論」の最終節「純粋実践理性の分析論の批判的解明」を春学期の続きから読む。この箇所では、カントの自由概念が他の自由概念と比較されて、その概念の特徴が際立たせられている。ここでの議論を検討することにより、カントの自由概念にどういう意味があるのかを考える。なお、最後に『道徳形而上学の基礎づけ』の第３章冒頭の自由概念についての原典テキスト述を読んで、カントの自由概念について確認する。
到達目標Goal
カントの古典的テキストに関して、次のような態度・技能・知識を身につける。
（１）原典テキストへ立ち返り、思想家の思想そのものを掘り起こす。
（２）対象について、疑問点を発見、調査、考察して、理解を深める。
（３）他人の意見も参照して、いっそう説得力のある意見を形成する。
（４）テキストから掘り起こした思想と他の思想とを比較対照できる。
（５）レポートにおいて、内容を分かりやすく、しかも正しく伝えられる。
（６）ドイツ語テキストを訳読する参加者は、ドイツ語原典を正確に読み解ける。
（７）翻訳書での参加者は、翻訳語や翻訳文の意味を適切に理解できる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
授業形態がオンラインか対面かについては、学習支援システムの当授業の「お知らせ」欄を参照してください。
（１）最初に前回ゼミのまとめをして質問に答える。
（２）参加者がテキストの訳読を進め、適宜参考資料も用いて、質疑応答により、ドイツ語文章の内容の理解を深める。
（３）テキストに秘められた思想を読み取って話し合い、その思想について考えを深める。
（４）ドイツ語の初学者も、プロトコル（前回のまとめ）やレポート発表などで積極的に参加できるようにする。
（５）初めてカントのテキストに挑戦する人にも内容がよく分かるように解説する。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回：良心と後悔、および宿命論
『実践理性批判』原典テキスト133-134ページ
第2回：感性的生活と叡知的意識（決定論と自由）
同上134-135ページ
第3回：生来の悪人、時間の観念性
同上135-136ページ
第4回：自動機械と人間
同上136-137ページ
第5回：メンデルスゾーン説
同上137-138ページ
第6回：スピノザ説とカント説
同上138-139ページ
第7回：時間・空間と物自体との分離
同上139-140ページ
第8回：原因性のカテゴリー
同上140-141ページ
第9回：知性的で感性的に条件づけられていない原因性
同上141-142ページ
第10回：必然的存在者の理念
同上142-143ページ
第11回：最高で無条件的な実践的法則
同上143-144ページ
第12回：「自由の概念は意志の自律を説明するための鍵である」
『道徳形而上学の基礎づけ』第３章の第１節のドイツ語原文
第13回：「自由はあらゆる理性的存在者の意志の固有性として前提されねばならない」
『道徳形而上学の基礎づけ』第３章の第２節のドイツ語原文
第14回：秋学期のまとめ：期末レポート
レポート発表
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
前回の内容を復習すること。次回テキストの内容の全体を把握しておくこと。そして疑問点や問題点について調べておくこと。ドイツ語原典訳読担当者は訳読の準備をし、プロトコル担当者は前回のまとめのプリントを用意すること。
テキスト（教科書）Textbooks
I. Kant, Kritik der praktischen Vernunft, Felix Meiner Verlag.
（翻訳書）『カント全集』岩波書店版・第７巻、理想社版・第七巻など。単行本では、以文社版、岩波文庫版、光文社古典新訳文庫版、作品社版など。（英訳：ケンブリッジ版など）。
参考書References
Ｈ・Ｊ・ペイトン『定言命法』（杉田聡訳、行路社）
Ｌ・Ｗ・ベック『カント『実践理性批判』の注解』（藤田昇吾訳、新地書房）
中島義道『悪への自由 カント倫理学の深層文法』（勁草書房）
その他の関連する入門書や解説書や研究文献をゼミで適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
（１）プロトコル（前回のまとめ）発表、テキスト読解や質疑応答で観察される到達目標達成度
（２）レポート課題で確認される到達目標達成度
（１）を70 ％、（２）を30 ％で評価する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
言葉を明瞭に発音するように心がける。
定刻どおりに終わるように心がける。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞
西洋近代の哲学・倫理学
＜研究テーマ＞
カント哲学・倫理学
＜主要研究業績＞
「カントにおける「人間性の権利」概念について――カントの『法論』は批判哲学に基づくのか――」『法政大学文学部紀要』第80号、2020年。
「世界平和と基本的人権、その指標としての「訪問権」――カントによる世界市民権概念について――」『法政大学文学部紀要』第76号、2018年。
「ヨブの幸福とカント――最高善概念を手がかりに――」『法政大学文学部紀要』第70号、2015年。
（欧文）Kant und das Problem des Lügens. Über Nebeneinanderbestehen der moralischen Pflichten, in; Kant und die Philosophie in weltbürgerlicher Absicht, Akten des XI. Internationalen Kant-Kongresses Bd. 3, Berlin, De Gruyter, 2013.
（翻訳）マンフレッド・キューン『カント伝』（春風社）、2017年。