人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B1（哲学 / Philosophy 500）論理学研究Ⅱ－２Study on Logic II - 2
計良 隆世
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2021 |
| 授業コードClass code | X0013 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 水6/Wed.6 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
This is a course to gain basic knowledge of Indian Buddhist epistemology and Mâdhyamika philosophy.
The main aim of this course is to give participants an understanding of how Kamalashîla, a later Mâdhyamika philosopher, interpreted Dharmakîrti's epistemology in order to establish his own Mâdhyamika philosophy.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
中観思想と認識論・論理学；
インド大乗仏教後期中観派の学者Kamalashîlaは、自身の中観思想の確立のために、仏教論理学者Dharmakîrtiの認識論・論理学をどのように受け入れ、解釈したのか。
到達目標Goal
・経典の権威に関するDharmakîrtiとKamalashîlaの立場と、Kamalashîlaの経典解釈法を理解する。
・後期中観派の法無我・無自性性論証（真理説論証）の構造と特色とを理解する。
・法無我という真理の直観知はどのようにして成立するのか、その知の成立構造を理解する。
・後期中観派が示す「瞑想の階梯」から見て、中観思想はどのような哲学思想と言い得るか、それの哲学思想としての本質について、自分の考えを纏めてみる。
・後期中観派が説く、菩薩の生き方・人生観を理解する。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
授業形態：オンライン授業（リアルタイム配信型）。
授業の進め方：まず、仏教の基礎知識として、仏教の世界観、その特徴、初期・部派仏教と大乗仏教の間では、思想・教義の変化に応じて世界観がどのように変化したのか、これらについて概説する。次に、Kamalashîlaの中観思想とそれを最も特徴付けているDharmakîrtiの認識論・論理学とを、Kamalashîlaが著した中観仏教習得実践マニュアル『修習次第初編』（First Bhâvanâkrama (= BK I)）の原典英訳（和訳参照可）を輪読しながら、理解していく。そのテキストの輪読の途中、経典の権威に関するDharmakîrtiとKamalashîlaの立場、Kamalashîlaの経典解釈法、Kamalashîlaの無自性性論証の論理については、論文講読を行い、中観思想と仏教論理学についての深い知識を習得する。後期中観派が提示する「瞑想の階梯」についてテキストを読解した後、中観思想の哲学思想としての本質について議論を行う。最後に、仏教徒の生き方・実践知の確立にとって最も重要な手がかり・手段となる「中道」と「中道の確立方法」とをテキストを通して学習してから、後期中観思想が説く、菩薩の人生観について考え、理解する。
授業は、概説・講義の回もあるが、基本的に演習形式である。担当者を決め、テキストや英語論文の訳文を発表してもらう。
課題等の提出・フィードバックは「学習支援システム」を通じて行う予定である。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回：仏教の世界観とその変遷
『倶舎論』が説く世界観、
大乗仏教の世界観
第2回：慈悲の修習
BK I, §1-§2, pp. 187, 1-190, 12.
第3回：慈悲心と中道
BK I, §5-§8, pp. 193, 13-198, 7.
第4回：無自性性論証と経典の権威
BK I, §9-§10, pp. 198, 8-200, 13.
第5回：後期中観派の経典解釈法
英語論文講読１：
The description of niHsvabhâvatâ and its intentional meaning.
第6回：仏教論理学の基礎知識
遍充論、推理論、正しい論証因、誤謬論
第7回：Dharmakîrtiの論理学と無自性性論証
知覚不可能なものの否定は可能か、
論証因の成立・不成立、
基体不成立
第8回：Kamalashîlaによる無自性性論証の整理
BK I, §10-§11, pp. 200, 13-204, 9.
第9回：無自性性論証の論理（１）
正しい認識手段の成立，主張命題の構造と解釈
第10回：無自性性論証の論理（２）
DharmakIrtiの無知覚理論（英語論文講読）
第11回：無自性性論証の論理（３）
Kamalashîlaによる無知覚理論の解釈 (BK I, §16-§18, pp. 210, 5-217, 14.)
第12回：瞑想の階梯
ヨーガ行者の直接知覚、
法無我という真理の直観智
第13回：中道の確立
BK I, §20-§21, pp. 219, 21-223, 5.
第14回：菩薩の人生観
智慧と方便の双運道
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
授業前学習：テキスト該当箇所の精読・訳文準備、論文等文献資料の熟読
授業後学習：参考文献の熟読
テキスト（教科書）Textbooks
『修習次第初編』：
・G.Tucci, Minor Buddhist Texts, part 2: First Bhâvanâkrama of Kamalashîla, Sanskrit and Tibetan Texts with Introduction and English Summary. Serie Orientale Rome IX 2, Rome 1958.
・Martin T. Adam, Meditation and the Concept of Insight in Kamalashîla's Bhâvanâkramas. A Thesis submitted to McGill University in partial fulfillment of the requirements of the degree of Doctor of Philosophy, Montreal 2002.
参考書References
・桜部・上山『仏教の思想２ 存在の分析・アビダルマ』，角川文庫ソフィア，東京，１９９６年
・Ryusei Keira, Mâdhyamika and Epistemology: A Study of Kamalashîla's method for proving the voidness of all dharmas; Introduction, annotated translations and Tibetan texts of selected sections of the second chapter of the Madhyamakâloka. Arbeitskreis für Tibetische und Buddhistische Studien Universität Wien, Wien, 2004.
・Ryusei Keira, The proof of voidness and scriptural authority: Kamalashîla's way of adopting scriptures. 『法華経と大乗仏教の研究』, 山喜房仏書林, 東京，２００６年，pp. 177-192.
・Ryusei Keira, The description of niHsvabhâvatâ and its intentional meaning: Kamalashîla's solution for the doctrinal conflict between Mâdhyamika and Yogâcâra, Acta Tibetica et Buddhica 2, Monobusan University, Minobu, 2009, pp. 1-24.
・計良龍成，「カマラシーラの中観思想」，『シリーズ大乗仏教６ 空と中観』，春秋社，東京，２０１２年，pp. 89-112.
・計良龍成，「『中観光明論』(Madhyamakâloka) 後主張第１章「聖典による一切法無自性性の証明」の研究（１）：和訳・註解・チベット語訳校訂テキスト」，Acta Tibetica et Buddhica ９, Monobusan University, Monobu, 2016, pp. 1-121.
成績評価の方法と基準Grading criteria
評価方法：訳読・質疑応答（６０％）、
議論への参加度・授業への貢献度（４０％）
評価基準：主として、「到達目標」に掲げた事柄の理解度による。
その他、授業前学習・授業後学習をきちんと行っているか
どうかも基準に含める。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
東アジアに殆ど伝えられることが無かったインド後期中観思想を学ぶのは、多くの学生にとって初めてのことだと思います。授業では、丁寧な指導・解説を心掛けたいと思います。
その他の重要事項Others
必要な文献資料は学習支援システムにおいて配布する予定。履修者は授業前日までにダウンロードし、文献資料に目を通しておくこと。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞ インド哲学・仏教思想
＜研究テーマ＞ インド後期中観思想思想
＜主要研究業績＞
①Ryusei Keira, Mâdhyamika and Epistemology: A Study of Kamalashîla's method for proving the voidness of all dharmas; Introduction, annotated translations and Tibetan texts of selected sections of the second chapter of the Madhyamakâloka. Arbeitskreis für Tibetische und Buddhistische Studien Universität Wien, Wien, 2004.
②Ryusei Keira, The proof of voidness and scriptural authority: Kamalashîla's way of adopting scriptures. 『法華経と大乗仏教の研究』, 山喜房仏書林, 東京，２００６年，pp. 177-192.
③Ryusei Keira, The description of niHsvabhâvatâ and its intentional meaning: Kamalashîla's solution for the doctrinal conflict between Mâdhyamika and Yogâcâra, Acta Tibetica et Buddhica 2, Monobusan University, Minobu, 2009, pp. 1-24.
④計良龍成，「カマラシーラの中観思想」，『シリーズ大乗仏教６ 空と中観』，春秋社，東京，２０１２年，pp. 89-112.
⑤計良龍成，「『中観光明論』(Madhyamakâloka) 後主張第１章「聖典による一切法無自性性の証明」の研究（１）：和訳・註解・チベット語訳校訂テキスト」，Acta Tibetica et Buddhica ９, Monobusan University, Monobu, 2016, pp. 1-121.
⑥計良龍成，「『中観光明論』(Madhyamakâloka)が引用する『入楞伽経』 X 256-258について」，Acta Tibetica et Buddhica １２, Monobusan University, Monobu, 2019, pp. 1-33.