法学部Faculty of Law
LAW200AB(法学 / law 200)法律学特講(死刑論)法律学特講(死刑論)
須藤 純正Sumimasa SUDOU
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | A0215 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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Outline (in English)
Capital punishment is a controversial topic in Japan and in many parts of the world today. There are currently 106 countries that do not impose the death penalty by law. The vast majority of countries in Europe have abolished the death penalty, while 56 countries including Japan, China, the United States retain it.
We will learn about the death penalty from various points of view. Issues include the possibility of the execution of innocent persons, how the United States Supreme Court decides the constitutionality of death penalty in a State, the standard of imposing death penalty at trial in Japan, etc.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現在わが国には存在する死刑制度について、これが人類の歴史の中でどのような機能を果たしてきたかを振り返り(過去・現在、世界に存在する政治的死刑についても考えます。)、国際人権や比較法的観点を交えつつ、その運用状況の実態を明らかにするとともに、その存続・廃止論などについての考察を深める。この授業は各コースに共通して配当されている特講科目である。
到達目標Goal
死刑適用がありうる重罪事件についての裁判員裁判が実施されて我々がこれにかかわることが要請される中で、受講生はこの授業が終了した時点で、具体的な事件に際して、単なる感情論ではなく、かつ、思考停止に陥ることなく、広い視点から合理的に死刑適用の当否を考えられるようになる。
国際的あるいは歴史的見地から、死刑存廃論や死刑執行における適正手続について自分なりの視座を持つことが到達目標となる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
基本的に講義形式を予定しているが、講義によって死刑制度への理解を深めると同時に、自分が設定する死刑をめぐる特定のテーマについて仕上げとして小論文の完成を目指す。その過程で参考図書を読んでその要約と感想を記したレポートの発表、質疑・討論と相互評価、小論文の作成・提出に向けての助言・指導が含まれる。
授業の残り20分くらいをディスカッション(又は教員と受講者との対話)に充てる。授業に関する学生のコメントはリアクションペーパーに書いてもらっても差し支えないが、自分の意見を教員だけではなく、皆と共有したい場合には、授業支援システムの「掲示板」を大いに利用してもらいたい。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:ガイダンス
死刑制度の世界の歴史
授業の概要の説明
西欧、日本における死刑制度の歴史
第2回:政治的死刑
ソクラテス、イエス、ルイ16世、千利休らの処刑、大逆事件、特攻出撃命令、集団自決命令、東京裁判、テロと死刑、暗殺命令。
第3回:死刑の代替刑
流刑、恩赦、死刑執行停止、死刑モラトリアム運動。
第4回:死刑とえん罪
合理的な疑いを超える証明とえん罪の発生確率、死刑えん罪の救済(諸外国の取組み)。
第5回:死刑とえん罪(続)
我が国の場合、帝銀事件、免田事件、足利事件、わが国の対応の特徴、検察官の役割、再審の壁。
第6回:応報刑論と死刑
応報主義の諸形態、社会と応報、被害者と応報、仇討。
第7回:アメリカの死刑制度
存置州と廃止州、人種バイアス、薬物注射による執行、執行の公開と被害者遺族
第8回:アメリカの死刑をめぐる憲法判断
ファーマン違憲判決、グレッグ合憲判決、スーパー・デュー・プロセス。
第9回:終身刑論
わが国の無期刑囚の現状
仮釈放の運用
仮釈放なき無期刑
第10回:わが国の死刑基準
憲法36条との関係
永山則夫事件
殺害された被害者の数の問題
裁判員裁判と死刑判断
第11回:わが国の死刑制度の運用
死刑犯罪
法が定める死刑手続
執行の告知時期
死刑囚の人権の制限
第12回:国際人権と死刑
啓蒙思想と死刑
死刑廃止の潮流
国際人権法と死刑
国連からのわが国への勧告
第13回:死刑適応能力
死刑と精神医療
刑訴法479条
マドリード宣言
オウム事件
第14回:正義論から見た死刑
死刑執行に際して刑務官が感じる罪悪感、道徳と死刑、正義か不正義かは国によって異なること。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業で紹介する文献を参照として図書、論文、映画など「柱となる資料」を最低3点は用いて、授業終了後の小論文提出に向けて準備すること。文字数に制限は設けないが、目安として3000字ないし5000字程度とする。論文とは、「ある問題についての、自分の主張を何らかの調査に基づいて、合理的な仕方で根拠付けようとする、一定の長さの文の集まり」とされている。小論文のテーマの探し方、作成手順、作成要領については授業支援システム及び授業内で指導する。オフィス・アワーも利用されたい。
小論文の作成作業に加えて、本授業の準備・復習時間は、各1時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
過去に開講した本授業の内容を基に概説書スタイルの冊子を作成したので、これを登録した受講者に各1部無償で配布する。この印刷物(冊子)は著作権の問題があるので、学習支援システムの教材欄にはアップしない。なお、毎回の授業で用いるレジュメは学習支援システムの教材欄にアップする。
参考書References
参考文献については授業内で多数紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業参加(ディスカッション・対話参加を含む。)に基づく平常点(20%)、中間のレポート提出(1000字~2000字)(20%)、授業終了後の死刑についての小論文提出(3000字~5000字程度)(60%)によって評価する。学期末試験に代わるものとして小論文を作成してもらうので、小論文とは別に学期末試験は実施しない。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
毎年開講される授業ではない。数年前に3度ほど、最近では一昨年度に開講している。刑事法の分野の中で死刑制度という限定的なテーマに特化した授業であることから、死刑という特殊な刑罰について、多角的に掘り下げて考えてみたいという学生には好評を得ている。一昨年度の実際の受講生は20名程度であった。正解などなく、賛否両論に分かれる様々なテーマについて、思考停止に陥ることなく、とにかく自分で考えて仮説を打ち立て、理解を深めていくという授業スタイルに魅力を感じる学生も多かった。はっきりした知識の習得を目指す学生にとっては、すっきりしない授業であろう。これまで政治学科、国際政治学科の学生の受講も少なくなかった。本授業は来年度以降開講される予定はない。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特に該当なし。
その他の重要事項Others
この授業のテーマは、刑事政策の一部を構成するものであって、かつ、刑法の刑罰論の一部を構成するものといえるが、必ずしもそれらの授業の履修を前提とはしていない。
担当教員は検事・弁護士としての実務経験を有しているので、法務検察サイドの死刑に対する姿勢、えん罪防止についての取り組み、死刑をめぐる世界の潮流と日本の独自性などについて、ある程度掘り下げた議論ができると思われる。