法学部Faculty of Law

公共投資論Ⅱは、春学期の公共投資論Ⅰで講じた内容を確認してから森林・林業、道路、河川・ダムなど個別の事業により発生した事件について裁判例を交えて取り上げる。また、森林・林業では公共投資論Ⅰで取りあげなかったシカの食害と竹の侵入による森林荒廃、自治体版の緑のオーナー制度による森林荒廃などの新しい問題を紹介する。公共投資論Ⅰと公共投資論Ⅱは相互に関連しているが、どちらか片方のみの受講でも内容を理解できるように授業を進めるので、公共投資論Ⅱのみの受講も歓迎する。

道路、河川・ダム、森林・林業などの公共投資について、その歴史、現在の問題点、今後の公共投資のあり方を考えることができる。特に、昨年、新しい公共投資の財源として森林環境税・森林環境贈与税が創設された。これは毎年国民1人当たり1,000円を負担して総額620億円に達する。森林環境税・森林環境贈与税は目的税であるが、戦後、日本で初めて目的税（ガソリン税）を創設したのは田中角榮である。これらの目的税は受講生の皆さんも負担する税金であり、公共投資の財源となっている。公共投資について自分の考えを持てることを期待する。

ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に強く関連。

日本語 / Japanese

オンラインでの開講になった昨年度の経験から授業支援システムのみでの受講も認めます（教室での授業に出席しなくても構いません。）。授業の初めに、前回の授業で提出されたリアクションペーパーからいくつか取り上げ、全体に 対してフィードバックを行う。

なし / No

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

1：オリエンテーション

授業内容や授業の進め方について説明する。課題リポートを提示する。

2：シカの食害と竹の侵入による森林荒廃

過去の政策の誤りによって発生したシカの個体数増加と竹林面積増加による森林荒廃を講じる。

3：拡大造林と特用林産

戦後、国や自治体によって行われた拡大造林と農山村での重要な現金収入源であるキノコなどの特用林産物について講じる。

4：森林・林業の新しい法律

首相官邸に設置された政策会議（未来投資会議）が主導して成立した森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律などの新しい法律の立法過程と問題点を講じる。

5：道路事件

圏央道、外環道などの道路事件について講じる。

6：河川・ダム事件

八ッ場ダム、川辺川ダムなどの河川・ダム事件について講じる。

7：鉄道事件

名古屋新幹線、小田急線、リニア新幹線などの鉄道事件について講じる。

8：空港事件

大阪国際空港、横田基地などの空港事件について講じる。

9：土地改良事件

諫早湾干拓、永源寺第二ダムなどの土地改良事件について講じる。

10：原発事件

もんじゅ原発、伊方原発などの原発事件について講じる。

11：自然公園の安全性

自然公園は都市公園などと異なり管理責任の範囲が未解明である。自然公園の安全性が問題となった事例について講じる。

12：分収林の伐採と自治体の責任

分収林（緑のオーナー制度の自治体版）の契約終了に伴う伐採による森林荒廃と自治体の責任について講じる。

13：今後の公共投資のあり方

これまでの講義を踏まえた今後の公共投資のあり方、新しい公共経営（第三セクター、PFI、PPPなど）について講じる。

14：とりまとめ

「公共投資論Ⅱ」を振り返り総括する。

　公共投資に関する新聞記事、ニュースなどを見て公共投資の問題点や今後の公共投資のあり方について自分なりの考え方を持つようにしてください。

教科書は使用しない。参考資料は各回の授業で配布し、参考文献は各回の授業で示す。

田畑琢己『公共事業裁判の研究　－需要予測論と比較衡量論』（日本評論社、2016）
田畑琢己『公共事業裁判の研究　－技術基準論』（志學社、2017）
田畑琢己『公共事業裁判の研究　－民事事件の科学技術的分析』（志學社、2018）
五十嵐敬喜=小川明雄『公共事業のしくみ』（東洋経済新報社、2001）

授業内容は公共投資について幅広く扱います。授業は毎回独立した内容とするので興味がある授業のみを受講しても構いません。授業への参加（授業支援システムによる参加も含む。）での質問や意見と課題リポートの提出・内容を見ます。授業（授業支援システムによる参加も含む。）での質問と意見20%、課題リポート80%を成績評価の基準とする。

なし。

なし。

新聞などに掲載されている公共投資の記事などを読んでほしい。