文学部Faculty of Letters

　地理学、とくに人文地理学と称される問題群＝学問分野の全体像を把握すること。というのはあくまでカリキュラム上の本科目の建て前的趣旨である。さしあたっては、受講者が今後学んでゆくことになる地理学の、どういった方面にとくに興味や関心を抱くかを自覚した際に、そのことがこの学問全体の中でどう位置づけられるのかを認識する、そのための参照系（の一例）を提示することが目的である。

　上記の目的のような意味で、この授業は「概論」というよりはむしろ、地理学「原論」に近い性格を帯びることになる。だとすると、到達目標は容易に列挙できるような類いのものにはならない。これもさしあたりだが、例えば4年間の学生生活の総体としての卒業論文制作にあたって、適切なテーマを設定しそれに真摯に取り組んで成果をあげること（つまり合格すること）。あるいは、自分が学んだ地理学というものを、他者に簡潔かつ要領を得たことばで説明できるようになること。それが到達目標の一つの表現のしかたということであろう。

ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連

日本語 / Japanese

　教室での対面授業と、学習支援システムを通じての課題学習とを併用する。課題については、できるだけコメントを付して受講者に返却するとともに、対面授業で課題の意図・意味を詳しく説明する。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：地理学的発想について

・生活の身近にみられる地理学的発想について

第2回：地域差の存在と認識

・世界の多様さ
・他者認識から自己相対化へ

第3回：地域差の表現法としての主題図

・地理学的「言語」といわれる地図表現について

第4回：地域差存在の理由の説明と解釈　
　その１

・主題図の作成法とその読み方

第5回：地域差存在の理由の説明と解釈　
　その２

・主題図読解の具体的実例

第6回：地域の概念と地域区分
　その１

・地域概念の操作性
・地域区分と地域分類という思想

第7回：地域の概念と地域区分
　その２

・地域区分の実例とそれらの意味

第8回：地域と空間

・人文地理学の対象としての地域
・地域（空間）とそのスケールについて

第9回：現代の地理空間

・都市地域と村落地域
・社会地域と産業地域（農業地域・鉱工業地域・商業地域）
・空間的分業

第10回：地理学の二元性

・系統地理と地誌（地域地理）
・自然地理学と人文地理学

第11回：人文地理学の構成
　

・具体的な人文地理学的研究の事例
　

第12回：地域研究と地域地理学

・地誌（地域地理学）の有用性について

第13回：地理学の応用
　

・国民国家と人文地理学
・国土空間と地域開発
・政策科学としての人文地理学

第14回：試験・まとめと解説

総まとめ

　各回ごとに紹介する文献を読んで、講義内容をより深く正確に身につけること。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。

　使用しない。毎回、教材プリントを配布する。

　毎回の授業時に必要なものを指示する。それをよく読んで、次回の授業に備えること。

　期末試験の結果(70 %)と平常点（30％）を成績判定の材料とする

毎回、教室に「存在している」のは、単位取得のための当然の前提としても、そのことだけでは合格は至難であろう。次の段階は、教室に「存在して講義を聴く」ことだが、教員の語りを「耳に入れる」だけでも十分とは言えまい。すなわち、「聴いてその場で考える（できれば批判的・懐疑的に）」というステップまで到達することが必須である。そのためには、毎回体調を整え適度な緊張感をもって受講する必要がある。

特になし。