文学部Faculty of Letters
HIS200BE(史学 / History 200)西洋史特講Ⅲ西洋史特講Ⅲ
篠原 琢Taku SHINOHARA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | A3170 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
Habsburg Monarchy was a mere amalgam of defferent territories acquired and inherited by the house of Habsburgs through marriages and wars. Therefore it was anachronistic exixtence by itsself, lacking a potentiality to develop to an integrated modern state. The Long Nineteenth century was for it a process of decay leading to an inevitable dissolution, a process driven by nationalism, nationality conflicts... Such an argument is based on a view which presupposes a centralized homogeneous nation-state as a normality of modern state, and depicts history the Habsburg monarchy as an anormality deviated from the "normal" development of European modernity. As its succeeding states in Central and Eastern Europe legitimates their existing by stressing their "national" characters, such vision of history often constructed basic pattern of historical narrative. Can we still understand history of the Monarchy in such a way? In this course, first, we will briefly sketch a historical region "Central Europe", then the building of the Habsburg monarchy from the Middle age to the Enlightenment. After summarizing historiography of Habsburg monarchy and more important theoretical problems, we will investigate some of the most essential topics of the Monarchy in "the long 19th. century".
Following the course last academic year, the main object of the analyse is history of Bohemian Lands and Galicia (today, south-eastern part of Poland and western Ukraine).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
ハプスブルク帝国の領域は、ハプスブルク帝室が戦争と婚姻によって相続した雑多な諸王国・諸地域の複合的な集積でしかなく、そもそも近代国家を構成する凝集力に欠けており、帝国末期には、国民主義が浸透し、言語紛争が絶えなかった。長い19世紀は、そもそも帝国が必然的に衰退する過程であった・・・。この種の議論は、集権的で同質的な「国民国家」Nation Stateを近代国家の理念型として想定し、ハプスブルク帝国を近代ヨーロッパの発展から逸脱した「非正常」とみなす視点を暗黙のうちに持っている。帝国の継承諸国では、社会主義体制下も含めて、それぞれの国家の「民族的」性格が強調されたため、この種の歴史観は、当然の前提とみなされることが多かった。
果たして帝国の19世紀史をそのように捉えることは妥当だろうか。授業では「中央ヨーロッパ」という歴史的世界の検討を行い、「帝国から国民国家へ」という歴史の方向性を具体的に見直す。ハプスブルク君主国の成立過程を概観した後、さらに若干の理論的・史学史的考察を行い、昨年度から引き続き「長い19世紀史」のなかで帝国史の再検討を行う。中心的に検討の対象とする地域は、ベーメン(チェコ)諸邦とガリツィア(今日のポーランド南東部からウクライナ西部にかけての地域)である。
到達目標Goal
18世紀末から第一次世界大戦期までの「長い19世紀史」におけるハプスブルク君主国の歴史を概観しながら、「国民形成」、ナショナリズム、市民社会、帝国的秩序といったより一般的な歴史的テーマについて再検討を加える。ハプスブルク帝国史研究の現段階を理解するだけでなく、目的論的なヨーロッパ近代史の概念への批判的なアプローチを獲得することが授業の目標である。それを通して、現代世界の問題について、新たな歴史的視点を得ることを目指そう。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
基本的に講義形式で授業を進める。授業中、史料や文献を使って、グループ・ディスカッションを行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:高校世界史と指導要領の中のハプスブルク君主国
高校教科書を中心に、講義で扱う地域(中央ヨーロッパ)がどのようにヨーロッパ史の中に位置づけられているのか、その記述の特徴を検討する。
第2回:ヨーロッパ史の中の「中央ヨーロッパ」
「東ヨーロッパ」として語られてきた地域を「中央ヨーロッパ」と捉え直すのはどのような意味があるか、考える。
第3回:ハプスブルク君主国の形成:神聖ローマ帝国とハプスブルク家
ハプスブルク家がオーストリア諸邦支配を確立し、ドイツ王・神聖ローマ帝国皇帝位を獲得する過程を概観する。
第4回:ベーメン王国とフス派戦争
ベーメン王国を例として、国王と議会との関係を考える。
第5回:30年戦争期の国家変動
16世紀初頭から17世紀にかけて、君主と諸身分(議会)との緊張関係は、宗教改革の影響を受けつつ、深刻化していった。オスマン帝国の拡大もこの時期の国家建設に大きな影響を与えている。30年戦争期にハプスブルク君主国がどのように国家の凝集力を確保していったのか検討する。
第6回:帝国建設への道
啓蒙改革期以降、諸王国・諸領邦の集合体であったハプスブルク君主国は、国家の支配機構を整えながら、次第に帝国としての体裁を整えていった。ハプスブルク朝による国家建設過程を考える。
第7回:人民主権とネイション形成
ネイション形成を論じる前提として、人民主権論の展開を検討する。
第8回:ネイション形成の段階論
ナショナリストにとってネイションは太古より存在するものではあっても、歴史研究者には新しい現象である。ネイション形成の「段階論」を検討する。
第9回:「できごと」としてのネイションーNational Indifference概念の挑戦
ネイションを社会的文脈に依存するものとして考える新しい研究動向を検討する。
第10回:ポーランド分割と「ガリツィア王国」の成立
ポーランド分割によってハプスブルク君主国は「ガリツィア」を領有することになった。この「帝国辺境」の支配が、帝国支配の確立にどのように作用したのか考える。
第11回:「ポーランドの揺籃」としてのガリツィア
ガリツィアにおけるポーランド・ナショナリズムの成長を検討する。
第12回:1848年革命をどのように考えるか
「諸国民の春」として論じられてきた1848年革命を帝国再編論から捉え直す。
第13回:「諸国民の社会」の形成
ネイション(国民社会、National society)の形成をベーメン、ガリツィアを比較しながら考える。
第14回:まとめ
ネイション・帝国・国民国家(ネイション・ステイト)について、「長い19世紀」の発展を再考する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
授業時に指示する。
参考書References
授業時に指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
グループ・ディスカッションの結果をレポートとして提出する:30%
期末に提出する最終レポート:70%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
昨年度の指摘に基づいて、授業テーマの理解の基礎となる通史的解説を充実させた。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
授業は基本的に同期型のオンライン授業として行う。史料・資料はHoppiiで配布する。オンライン(Zoom)で授業を行うため、授業に関心のある学生は必ず仮登録は行うこと。
その他の重要事項Others
授業が対象とする地域についての知識は必要ありません。ヨーロッパ近代史、ナショナリズム、国民国家などに関心のある方の受講を歓迎します。英文の論文を授業中に検討し、グループ・ディスカッションの材料としますので、意欲的な方々の参加をお待ちしています。