文学部Faculty of Letters

　現代史史料の探し方、読み方を学び、史料のなかの日本外交を考える。
　具体的には、外交記録、日記、手紙、報告書、回想録など多様な史料の調査法、利用法などを習得する。
　昭和12年、日本と中国は全面戦争に突入する。戦争の拡大と平行して展開された外交は、戦争そのものだけでなく、戦後日本のあり方にも大きな影響を与えた。外交官の対外認識と外交手法が日本の対外関係に何をもたらしたのか。戦争の時代における外交の可能性について考える。
　戦後の日本外交は対米関係を基軸に展開され、日本は直接戦争に巻き込まれることなく今日の繁栄を築きあげた。戦後日本の政治家と外交官の外交理念を辿りながら、平和な国際環境を創出するための日本外交の戦後史を学ぶ。

　　近現代の日本外交に関連する記録を解読し、近現代日本外交の特徴や、外交政策を影響する諸要素を史料のなかから読み解く方法を身に付けることができる。
　史料の探し方、史料批判の方法、史料利用の方法などについて検討し、多様な史料を手がかりに、日本とアジア、世界とのかかわりかたを理解する。
　また、討論を通じて、世界の中の日本を理解し、「日本」を対外発信する能力も身に付けていきたい。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連

日本語 / Japanese

　講義と討論を併用する形式で授業を行う。講義内容に合わせて、関係史料を読む。必要に応じて、映像資料なども用いる。講義後の討論のなかで、歴史を理解するための問題点を発見し、歴史を「解読」する方法を学んでいく。
授業中の質問に対しては、討論の中で答えることとし、提出課題に対しては、授業中に解説を加えるなど、フィードバックを実施する。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：昭和史研究と史料

昭和期史料の特徴を概観する。

第2回：日中戦争下の外交(1)

史料を読み、日中戦争中の「和平工作」を考える。

第3回：日中戦争下の外交(2)

「近衛声明」の意味とその影響について討論する。

第4回：外交官と戦争（1）

外交官の日記を読み、その史料価値を考える。

第5回：外交官と戦争(2)

外交官の報告を読み、その影響について分析する。

第6回：太平洋戦争下の外交（1）

開戦をめぐる諸問題を外交官の報告で考える。

第7回：太平洋戦争下の外交（2）

対中外交を軍人の報告書で読む。

第8回：太平洋戦争下の外交（3）

占領地政権問題を日記で考える。

第9回：終戦外交（1）

陸軍の終戦構想を記録で検証する。

第10回：終戦外交（2）

外交記録で終戦を読む。

第11回：冷戦下の日本外交(1)

メディアのあり方と冷戦について討論する。

第12回：冷戦下の日本外交（2）

中国、台湾の公的文書をよみ、日本のアジア外交を考える。

第13回：日中国交回復とアジア外交の新展開（1）

日中両国の史料を読み、日中関係の特質について討論する。

第14回：日中国交回復とアジア外交の新展開（2）

日中の新聞記事を分析し、日本のアジア外交を総括する。

　指定された参考書を授業の前後に読むこと。
　配布史料を授業後に熟読すること。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。

　講義にあたって、関連史料を配布する。

　その他の参考図書などは、講義の進行に応じて紹介するが、手元に以下の数冊を用意しておくと便利であろう。
箕原俊洋・奈良岡聡智『ハンドブック近代日本外交史: 黒船来航から占領期まで』（ミネルヴァ書房 (2016年）
井上寿一『日本外交史講義』（岩波書店、2003年）
増田弘・佐藤晋『新版日本外交史ハンドブック――解説と資料――』（有信堂、2007年）
川島真・服部龍二『東アジア国際政治史』（名古屋大学出版会、2007年）
劉傑・三谷博・楊大慶『国境を越える歴史認識』（東京大学出版会、2006年）
劉傑・川島真『1945年の歴史認識』（東京大学出版会、2009年）
劉傑・川島真『対立と共存の歴史認識』（東京大学出版会、2013年）

毎回授業時間内に討論か、小リポート課題を完成していただく。学期末にこれを参考にし（50％）、試験（50％）とともに成績評価を行う。

　講義の詳細な内容を板書するか、パワーポイントなどを利用するなど、履修者によりよく内容を理解してもらうように努める。

　パソコンなどの通信機器。

新型コロナウィルス感染防止対策として、Web学習支援システムなどを利用する。授業方式や課題などを見落とさないように注意し、指示にしたがって学習を行ってください。