文学部Faculty of Letters
LIT200BC(文学 / Literature 200)日本文芸研究特講(6)現代C日本文芸研究特講(6)現代C
高口 智史Satoshi KOUGUCHI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | A2679 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木6/Thu.6 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night | 夜間時間帯 |
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Outline (in English)
Read the Works of “Postwar Literature”
In this class, we consider the possibility of literature as criticism. For this purpose, we are going to read the works of “postwar literature.”
“Postwar literature” includes the works which described the experiences and memories of World War Ⅱ. Why do we read the works of “postwar literature” now? World War Ⅱ and defeating in the war were the frustration all Japanese people had at that time. At present, everybody knows Japan (and the rest of the world) face historical turning points by the influence of the coronavirus. However, nobody knows how our world will change in the future when things turn to normal. Importantly, we shouldn’t think that this is a kind of natural disaster, but we should think that we focus on the problems occurring among human beings in this crisis and that we make use of rebuilding the normal society after going away the coronavirus. We need to study history and literature in order to learn from the past and consider the present relatively.
It has been 76 years since Japan defeated in World War Ⅱ. Japanese people probably spend that period without thinking about the war and defeating in the war so much. Criticism unfolded in “postwar literature” has been existed until now. Reading various literary works, each of us wants to inspect this.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
戦後文学を読む――現在を相対化するために
文学は芸術であり、娯楽であるが、批評でもある。文学作品を、一部の研究者や一部の熱心なフアンのものから社会的に開かれたものにするためには、文学を批評として読む視点が必要である。この授業では批評としての文学について考えてみようと思う。そしてその対象として「戦後文学」を読み返したい。
ここで言う「戦後文学」とは大雑把に第二次大戦後に発表された文学作品や、旧来の文学史で「戦後派」にカテゴライズされた文学を指すのではない。作品の中に戦争体験や戦争の記憶が影を落としているような作品のことである。
いまなぜ「戦後文学」を読むのか。戦争‐敗戦とは日本人全体が共有した歴史的挫折体験だった。そして現在の日本が新型コロナの影響もあって、大きな歴史的転換期にあることは誰しもが感じるところだろう。戦争は暴力が人間社会を破壊するのに対して、新型コロナは活動停止という静かな恐怖が人間社会を破壊していく。コロナ終息後にどのような光景が広がるのか、今はまだわからない。しかし大切なことはこれを単なる天災とせず、この危機の中で露呈している人間の問題をしっかり見据えその反省を終息後の社会の再構築に活かす必要がある。そのためには〈いま〉を相対化するために(言い換えれば〈いま〉に振り回されないために)歴史に学ぶ必要がある。その一つの方法として戦後文学を読もうと思う。文学こそが同時代に対する戦争‐敗戦を生きた人間の証言であり批評であるからだ。
この授業で考えてもらいたいことは、今年で敗戦から76年を迎えるが、日本人は変わったのだろうか、ということである。「変わった」とは「反省した」ということだ。変わったのならば、戦後文学は古びた歴史な文献資料に過ぎなくなる。逆に変わらないとすれば、私たちはいまだ歴史を反省せずに過ごしてしまったということだ。実際、授業で一人ひとりが作品を読みながら考えてほしい。
到達目標Goal
・戦後文学の歴史的意味を再評価する。
・日本の戦後文学の批評性が現在にどのような意味を持つのか理解する。
・小説の基本的な構造分析と読みの方法について学ぶ。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義形式で行う。各作品に入る時、簡単な感想を提出してもらい、次の時間に発表する。また毎回終了時にリアクションペーパーを提出してもらい、次の授業で紹介し、質問に対しても答える。また質問については学習支援システムも活用する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:ガイダンス
・授業の方向性や進め方について
・現在「戦後文学」を再読する意味について
第2回:Ⅰ〈廃墟〉としての戦後①
志賀直哉「灰色の月」を読む
・敗戦のもたらした〈廃墟〉とは何か
・志賀直哉は敗戦をどうとらえたか(志賀直哉のナショナリズム)
第3回:Ⅰ〈廃墟〉としての戦後②
原民喜「夏の花」を読む 第一回
・原民喜と「リアリズム」について―「夏の花」の表現について考える
第4回:Ⅰ〈廃墟〉としての戦後③
原民喜「夏の花」を読む 第二回
・戦中と戦後の〈断絶〉を考える
・人類の敗北としての〈戦後〉
第5回:Ⅱ延命した〈戦前〉①
坂口安吾「白痴」を読む 第一回
・「白痴」の表現について考える
第6回:Ⅱ延命した〈戦前〉②
坂口安吾「白痴」を読む 第二回
・坂口安吾に於ける戦中と戦後の〈連続〉と〈断絶〉
・「堕落」しない日本人
第7回:Ⅱ延命した〈戦前〉③
中野重治「五勺の酒」を読む 第一回
・「五勺の酒」の表現について考える―前衛小説としての「五勺の酒」
第8回:Ⅱ延命した〈戦前〉④
中野重治「五勺の酒」を読む 第二回
・「政治小説」としての「五勺の酒」―天皇制と民主主義について
第9回:Ⅲ忘却された〈戦後〉①
野坂昭如「火垂るの墓」を読む①
・「火垂るの墓」の表現について考える―特に冒頭表現の特徴について
第10回:Ⅲ忘却された〈戦後〉②
野坂昭如「火垂るの墓」を読む①
・忘却された〈戦災孤児〉から日本の〈戦後〉について考える
第11回:Ⅲ忘却された〈戦後〉③
目取真俊「水滴」を読む①
・「水滴」の表現について考える―幽霊の意味を中心に
第12回:Ⅲ忘却された〈戦後〉④
目取真俊「水滴」を読む②
・二重に隠蔽された沖縄戦の記憶と忘却―「戦争の悲惨さ」について考える
第13回:まとめ
・戦後文学が批評した日本の〈戦後〉と日本人について
・戦後文学がコロナ後の日本に投げかけるもの
第14回:試験
春学期の総括―「戦後文学」の批評性について理解できたか。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前に必ず作品を読んで授業に臨んでほしい。さらに今回取り上げる戦時中から戦後の時代についても歴史を予習し、時代についてのおおまかなイメージをつかんでおいてほしい。
本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
授業で使用するテキストは学習支援システムで配信する。
参考書References
・内田樹『映画の構造分析』(文春文庫)なぜテクスト論なのか、映画を対象にテクスト分析の実際をわかりやすく論じている。
・土方洋一『物語のレッスン』(青簡舎)手に入りにくいが、読み方をめぐる最良の入門書。探してでも読んでほしい。
・廣野由美子『批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義』(中公新書)カタログ的な本だが、テクスト分析用語、様々な批評理論についての知識を身につけるためにはよい。
・『日本の歴史』
成績評価の方法と基準Grading criteria
・各作品をめぐる感想(600字程度)(30%)
・平常点(20%)
・学期末試験(50%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・講義形式で一方通行になりがちなので、学習支援システムを有効に活用し出来る限りリアクションペーパーや感想を通して受講生の声を取り上げていきたい。