文学部Faculty of Letters

認知言語学・構文文法の観点から、日本語文法について考え直すことを目的とする。授業の前半は認知言語学の基本的な概念を学び、中盤では分析事例について学ぶ。後半では、実際に学術論文を読むことで、学習した概念が言語分析にどのように利用されているのかを学ぶ。

意味や文法における様々な「拡張・逸脱表現」について、(1)そのような表現のどの部分が「拡張・逸脱」であるのかを理解することと、(2)そのような「拡張・逸脱」が生まれたプロセスや動機付けについて、認知言語学の観点から分析・説明できるようになること、の2点が到達目標である。

ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連

日本語 / Japanese

▼テキストに沿って講義形式で進めるが、身近な言語事例をできるだけ多く挙げ、皆で会話をするようにじっくり進める。12月頃には、授業で学習した概念を使用した研究事例となる学術論文を３，４本読みたいと考えている。
▼授業の終わりに、理解度を確認するための小テストを実施する。
▼必要に応じて、ZOOMを用いたオンライン授業を行う。その場合は、学習支援システムの「お知らせ」でURLや事前課題などを連絡する。チャット機能を利用した双方向授業になるため、通信環境を整えておくこと。
▼リアクションペーパー等における良いコメントは授業内で紹介し、さらなる議論に活かす。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：伝統文法から認知言語学まで

言語学史を概観する

第2回：認知言語学の特徴１

記号的言語観、動機付け、経験基盤主義、図地分化について

第3回：認知言語学の特賞２

スキーマやプロトタイプについて

第4回：動的用法基盤モデル

LangackerのUsage-basedモデルについて

第5回：構文文法

構文の定義とネットワークについて

第6回：類推拡張

類推に基づく拡張について

第7回：構文の分析１

構文に反映されるスキャニングについて

第8回：構文の分析２

構文に反映される語用論的意味について

第9回：構文の分析３

構文の拡張と再分析

第10回：構文の分析４

文法化と主観化について

第11回：事例研究１

論文（文法化に関するもの）を読み、批判的に検討する。

第12回：事例研究２

論文（主観化に関するもの）を読み、批判的に検討する。

第13回：事例研究３

論文（スキャニングに関するもの）を読み、批判的に検討する。

第14回：まとめ

本講義の総括

テキストの予習（2時間）
その日の講義の復習（2時間）

『構文ネットワークと文法』（尾谷昌則・二枝美津子著、研究社、3200 円税抜）

参考書・参考資料等
『認知言語学大事典』（新倉書店）
『ことばの認知科学事典』（辻幸夫編集、大修館書店）
『新編　認知言語学キーワード事典』（辻幸夫、研究社）
『日本語学キーワード事典』（小池清治ほか編著、朝倉書店）
『日本語文法大辞典』（山口明穂・秋本守英編著、明治書院）
『日本語研究のための認知言語学』（籾山洋介著、研究社）
『認知意味論: 言語から見た人間の心』（ジョージレイコフ著、紀伊国屋書店）
『認知意味論のしくみ』（籾山洋介著、研究社）
『認知意味論の新展開―メタファーとメトニミー』（谷口一美著、研究社）
『概念化と意味の世界　認知意味論のアプローチ』（深田智・仲本康一郎著、研究社）

小テスト　60 ％　　　　期末レポート　40 ％

受講生がじっくり考える時間をとったことが好評であったため、今年度もそういった時間を多めに取り入れる。リアクションペーパーに記入した回答の全てについてコメントを返すのは難しいが、面白い回答はなるべく多く紹介したい。