法務研究科Law School

この講義では、行政手続法、行政不服審査法および行政事件訴訟法の様々な仕組みを、それぞれの関係に留意しながら学ぶ。

行政手続法、行政不服審査法および行政事件訴訟法の様々な仕組みに関し、行政法演習Ⅰ・Ⅱにおける判例を素材とした学習に耐えられるだけの基礎知識を身に付けることができる。

ディプロマポリシーのうち、「ＤＰ１」と「ＤＰ２」に関連

日本語 / Japanese

基本的に講義形式で行うが、レポートの提出等の方法により、基礎知識の習得状況を確認する。
レポートの課題は学習支援システムを通じて周知し、レポートの提出および返却は電子メールで行う。期末試験の結果については、解説会を実施する。

なし / No

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：はじめに―行政行為と処分

行政手続法、行政不服審査法および行政事件訴訟法には「処分」という語が用いられている。この語と「行政行為」の概念を照らし合わせることで、行政法Ⅰの学習との橋渡しをする。

第2回：行政手続１―全体の概観・および聴聞の仕組み

行政手続法には、処分の手続に関する規定だけではなく、行政指導や届出に関する定めも含まれている。それらを概観するとともに、不利益処分における聴聞の手続を学ぶ。

第3回：行政手続２―審査基準と処分基準

行政手続法５条の審査基準および同法１２条の処分基準の設定と適用につき、どういう場合に違法の問題が生じるのか、判例を通して検討する。

第4回：行政手続３―理由の提示

行政手続法８条および同法１４条に基づく理由の提示に関して、どのような場合に瑕疵があると評価されるのかを、判例に即して検討する。

第5回：行政上の不服申立て

行政不服審査法の全体を、平成２６年改正を踏まえて、概観する。

第6回：行政訴訟１―総説・訴訟類型

行政事件訴訟法３条に列記された訴訟類型および同法４条の当事者訴訟を理解する。

第7回：行政訴訟２―処分性

取消訴訟の対象となる処分とは何かという論点を探究する。

第8回：行政訴訟３―原告適格

主として第三者（処分の相手方でない者）が取消訴訟を提起する局面を想起し、その者が原告となり得るのかどうかという論点を学ぶ。

第9回：行政訴訟４―申請型義務付け訴訟

平成１６年の行政事件訴訟法改正で導入された義務付け訴訟のうち、いわゆる２号義務付け訴訟の仕組みを学ぶ。

第10回：行政訴訟５―非申請型義務付け訴訟

義務付け訴訟のもう一つのタイプである非申請型義務付け訴訟の仕組みを学ぶ。

第11回：行政訴訟６―差止め訴訟

平成１６年の行政事件訴訟法改正で導入された差止め訴訟の仕組みを学ぶ。

第12回：国家賠償１―公権力責任

国家賠償法１条の要件（公権力の行使、公務員、職務、故意・過失、違法性、損害）を巡る様々な論点を学ぶ。

第13回：国家賠償２―営造物責任

国家賠償法２条の要件（公の営造物、設置・管理の瑕疵、損害）を巡る様々な論点を学ぶ。

第14回：損失補償

適法な公権力の行使により国民の財産権が侵害された場合にその損失を金銭で填補する仕組みについて学ぶ。

レジュメを参考にして教科書の該当箇所を精読しておくこと。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。

塩野宏『行政法Ⅰ［第六版］』、同『行政法Ⅱ［第六版］』（ともに有斐閣）。講義開始前に改訂された場合は、新しい版を用意すること。
宇賀克也・交告尚史・山本隆司『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ[第７版]』（有斐閣）。

宇賀克也『行政法概説Ⅱ［第６版］』（有斐閣）

授業時間中の学習状況の評価（平常点）：レポート15％、授業中の発言5％。
期末試験の評価：80％。

行政法の基本的な考え方に馴染める人と馴染めない人との差が大きい。馴染めない人の馴染めない原因を突き詰めるように努力したい。

法令と判例を検索するシステムの利用環境を整えておくこと。