スポーツ健康学研究科Graduate School of Sports and Health Studies
OTR600I1(その他 / Others 600)スポーツ健康学演習ⅡSeminar in Sports and Health Studies Ⅱ
木下 訓光Norimitsu KINOSHITA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | スポーツ健康学研究科Graduate School of Sports and Health Studies |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | S9115 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 多摩 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | 1 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリー | 研究指導 |
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Outline (in English)
A student has to acquire technical skills for research: learning measurement devices and analytical methods.
A student has to conduct measurement for research.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
① 研究(実験)技術(機器、調査手法、分析手法)の習得
② 調査・測定の実施
到達目標Goal
研究実現に必要な技術(調査手法、機器操作、解析手法)について習得する。研究論文における「方法」セクションの枠組みとなる雛形としての草稿を完成させる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
学部ゼミに毎週出席をする。
ゼミの冒頭で【授業の概要と目的(何を学ぶか)】に沿って進捗をゼミ生および教員に報告し、都度指導を受ける。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:対象者の設定
研究対象者の具体的設定を行う。ヒトを対象として調査・実験を行うために要求される法的・倫理的要件を、対象者の年齢や背景に応じて具体的に確認する。設定された仮説の検証に必要な統計(検定)手法は何か、要求する検定力はどのように設定するか、について学習する。想定された検定力に応じて必要となる対象者数を算定する。
2:調査・実験方法の設定
仮説の検証に必要な分析機器・設備が必要となるか、具体的に設定していく。
3:調査・実験機器(1)
調査・実験に必要な分析機器・設備のメカニズムについて学習する。そのためには化学、物理学、数学などの基礎的理解が必須である。往々にしてこれらの理解がないまま「ただそこにある機械をマニュアル通りに使っているだけ」という研究者がいるが、そのような姿勢であるがゆえに、データそのものの信頼性が極めて低い研究となってしまうことも少なくない。そのような研究論文は審査・査読において厳しい評価を下される可能性があるため、測定機器の工学的基礎と測定値算出のメカニズムについて学ぶ。自らの研究データの質について理論的説明ができるよう最低限の理解をするための学習を行う。
4:調査・実験機器(2)
調査・実験に必要な分析機器・設備の扱いを習得する。前回で機器類の工学的基礎およびその理論的基礎について学習したことを踏まえて、測定や計測の誤差について学ぶ。機器によって測定誤差は異なること、測定誤差の評価尺度には複数あることなどを理解する。このような理解のないまま研究を進めている場合も多いが、そのような研究論文は審査・査読の際に厳しく査定される可能性があることを理解し、自らの研究にどのような機器をどのような誤差と信頼性でもって活用できるか、適切に判断できるようにする。
5:調査・実験機器(3)
調査・実験に必要な分析機器・設備の扱いを習得する。この回では準備、整備、検定・較正作業、後片付け、実験室における注意・ルールなど、研究者として最低限習得しておかなければならない技能を習得する。ほとんどの初学者は、このような機器の扱いに習熟していないばかりか、不適切な扱いをすることも多い。さらには実験室自体の取り扱いにも十分ではないことが多い。このようなことは研究を行う人間の姿勢として厳しくとがめられる行為であるだけでなく、得られたデータの信憑性も損なう行為である。いわば「信頼できる測定のお膳立て」ともいえる手順について徹底的に習熟する。
6:分析手法の検討(1)
測定データの分析に用いる統計解析手法について検討する。自らの研究のdelimitation、目的、仮説に沿った適切な手法は何か検討する。初学者は、とかく明確に母集団を設定できていないにもかかわらずやみくもにnull hypothesisによる検定を行ったり、十分な根拠もなく思い付きで検証モデルを設定したりしがちであるが、このような姿勢は、完成した論文の妥当性そのものを著しく損なうため、検証すべき指標について慎重かつ厳正に議論を行い、適切な分析方法の設定とその理論的根拠を明確に述べることができるようにする。
7:分析手法の検討(2)
前回で測定データの分析に用いる統計解析に必要な基礎理論について学習・習得したうえで、これを実現するためにどのような解析modalityを用いるのが良いか検討する。統計解析ソフトはデータを入力すれば、明らかな方法論的問題があっても、何らかの結果を出力するため、自分の検証対象に沿った方法論を確定して解析手段を選択しなければならない。場合によっては統計ソフトウェアに頼らない分析も必要であり、これらを含んで学習する。
8:分析手法の習得(1)
データの分析に必要な統計解析ソフトやグラフ作成ソフト、数学的手法について学習する。ソフトウェアによって、同じ分析でも解析アルゴリズムがことなるため、出力結果に違いが生じるだけでなく、アルゴリズムに採用されている計算式もソフトによって異なる場合がある。解析にソフトウェアを用いる場合、SAS、R、SPSSから選ぶ。またグラフ解析を必要とする場合、MS ExcelなどのOfficeパッケージやSPSSでは不十分であることも多い。SigmaPlotやPrismを用いることを推奨するが、SigmaPlotは研究室に用意があるので必要であればこれについても学ぶ。自らの分析に最も適切なものを選べるように学習する。場合によってはこれらを複合的に用いて解析する必要があるので多面的に学習を行う。SASとRについては、前者はSAS University Edition、後者はRの各パッケージをダウンロードして利用する。SPSSはライセンス式であり、本学情報センターを介して利用を申し込みを行う。
9:分析手法の習得(2)
データの分析に必要な統計解析ソフトやグラフ作成ソフト、数学的手法について学習する。前回で学習し選定した各統計解析ソフトを使って実際に分析データを分析してみる。出力された結果についてディスカッションを行う。
10:分析の実践(1)
この時点までに得た実際の測定データのすべてを総括し発表を行い議論する。実際に論文として報告するデータだけでなく、様々な角度から分析を行うことが必要である。
11:分析の実践(2)
前回の分析総括を踏まえて、研究のdelimitation、research question、目的、仮説に沿った分析を取捨選択する。初学者の多くは恣意的に、自分の仮説に沿った分析結果のみを選ぶバイアスに陥りやすいため、この点についても厳正に試問を行い確認をする。
12:研究方法の論述(1)
修士論文の「方法」セクションの草稿執筆を提出して議論、指導を受ける。
13:研究方法の論述(2)
修士論文の「方法」セクションの草稿執筆を継続し進捗分を提出して議論、指導を受ける。初学者は方法セクションに書くべきでない内容を含めることがあるが、そのような論文は研究構造を損なうため、最終審査で著しく低い評価となるうる。このような事態を回避する上で「方法セクション」の書き方に習熟する。また統計解析の結果を正しく叙述できていないことも多い。統計解析の報告方法について、海外の学術ガイドライン沿って学び、過不足なく適切に報告する方法について学習する。
14:研究方法の論述(3)
これまでの学習を踏まえて修士論文の「方法」セクションに該当する草稿を完成させて提出し指導を受ける。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
指定した文献の事前精読、課題に対する資料作成。
測定データの分析。
テキスト(教科書)Textbooks
必要な資料があれば都度指定する。
参考書References
特になし。
指導教員からの直接の学びこそが最善・最良の「教科書」と心得て、指導を得る機会を自ら失することの無いよう研鑽すること。
成績評価の方法と基準Grading criteria
具体的な研究方法が設定できることが必須である。
①対象者およびその数が適切に設定できる(25%)
②研究室、研究機器の適切な使用方法の習得(25%)
③解析手法の理解と習得(25%)
④研究方法の論述(25%)
以上の4項目を評定し、合計得点によって総合評価を行う。
【授業計画】における各回の準備、進捗の遅延が重畳する場合は厳格に評価し、場合によっては大きな減点対象とする(最終評価を2段階下げる。例:最終評価がA-ならBになる、最終評価がCならDになるなど)。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特に改善を検討すべき意見なし。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
① リモート授業になる可能性があるため、高速インターネット回線に接続できる環境
② ビデオ会議システムを円滑に行うためのコンピューター(スマートフォンは不可)
③ 統計解析を行うためのソフトウェアを利用できる環境確保(SPSSまたはSAS)
その他の重要事項Others
準備、進捗は厳格に予定通り行うこと。
研究活動の実現を最優先にして計画をたて、進捗させること。
【実務の経験】臨床経験および医学研究歴を有する医師(日本スポーツ協会認定スポーツドクター、日本医師会健康認定スポーツ医)が指導を行う。
【どのように実務経験が授業に反映されるか】上記経験に基づき、本研究科で行われる「人を対象とする医学系研究」の最適な指導ができる。
授業の展開によって、若干の変更があり得る。