デザイン工学部Faculty of Enginneering and Design
CST300NC(土木工学 / Civil engineering 300)アセットマネジメント(2018年度以前入学生)Asset Management
藤原 博Hiroshi FUJIWARA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | デザイン工学部Faculty of Enginneering and Design |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | B3653 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期前半/Fall(1st half) |
曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3,火4/Tue.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | ○ |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
選択・必修Optional/Compulsory | 選択 |
入学年度Admission year | |
カテゴリー(2023年度~)Category (2023~) | |
カテゴリー(2019~2022年度)Category (2019~2022) | 都市環境デザイン工学科 |
カテゴリー(招聘学科)Category | 都市 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
In this course students will learn infrastructure asset management. Its objectives are the understanding of circumstances in which countries introduce Asset Management, their financial situations, inspection and soundness judgment methods necessary for asset management, prediction of deterioration, preventive maintenance technology, repair methods, life cycle cost and maintenance management scenarios. In addition, by understanding the economics and accounting for essential asset management, it will be possible to efficiently and economically manage infrastructure.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
社会基盤は,人が社会・経済活動を行う上で欠くことができない極めて大きな役割を果たしている.しかし,わが国の社会基盤ストックは老朽化や損傷が進み,今後数十年の間に集中的に更新時期を迎えることになる.社会基盤は適切な維持管理によってその機能を保つことができる.一方,わが国は近年の厳しい財政状況から,公共事業予算の削減が継続して行われており,これに,少子・高齢化,人口減少時代を迎えて,長期的な社会基盤投資余力の減少も見込まれている.こうしたことから,社会基盤ストックの維持管理や更新に要する費用の増大が,新たな社会基盤整備のための投資を制約し,近い将来,新設投資が不可能になるとされている.このようななか,国や自治体,鉄道や高速道路あるいは電力などにおいて,社会基盤の維持管理に「アセットマネジメント」が導入されるようになってきた.アセットマネジメントは,限られた予算条件の下で,効率的かつ効果的な社会基盤の運用・管理ができる維持管理手法として注目を集めており,これらを学ぶ.
到達目標Goal
本授業では,社会基盤のアセットマネジメント導入の背景を理解するとともに,アセットマネジメント構築に必要な基礎知識を習得する.その結果,初歩的なアセットマネジメントが構築できるようになるとともに,自治体等で行われているアセットマネジメントを説明できるようになることが本授業の到達目標である.
【修得できる能力】*【修得できる能力】*
- (A)歴史・文化・自然の理解・尊重:
- (B)技術者倫理:
- (C)工学基礎学力:
- (D)専門基礎学力:10%
- (E)専門知識の活用・応用能力:30%
- (F)総合デザイン能力:30%
- (G)コミュニケーション能力:
- (H)継続的学習能力:
- (I)業務遂行能力:30%
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
デザイン工学部都市環境デザイン工学科ディプロマポリシーのうち、「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
到達目標を達成するため,授業では,アセットマネジメント導入の背景,国の財政事情および国の老朽化に対する施策を理解するとともに,アセットマネジメントを構築するために必要な基礎知識(損傷と補修・補強,点検と健全度診断,寿命と劣化予測,予防保全)を習得する.また,アセットマネジメントに不可欠な経済,経営,財務・会計に関する知識(ライフサイクルコスト,インフラ会計,維持管理シナリオと予算の平準化)についても習得し,近年求められている“経済に強いエンジニア” を目指す.授業の後半では,自治体等で行われているアセットマネジメントの現状を理解するとともに,今後建設業界において拡大が予想されているPFI,コンセッションなどについて理解する.授業内容を理解できたかについては,討議や授業内試験によって確認する.
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:「アセットマネジメントとは」
社会基盤(社会資本,インフラ)におけるアセットマネジメントの概要と構築の手順を理解する.
・社会基盤のアセットマネジメントとは
・アセットマネジメントの目的と効果
・アセットマネジメント構築の課題
第2回:「アセットマネジメント導入の背景」
アセットマネジメントを導入する背景となった,わが国の社会基盤の現状を理解するとともに,わが国より約30年早く社会基盤が“荒廃したアメリカ”の例から,わが国の社会基盤のあり方を考える.
・荒廃するアメリカの教訓
・わが国の社会基盤を取り巻く環境
・わが国の財政事情
第3回:「老朽化対策に関する国の施策」
高度成長期の大量に建設された社会基盤は老朽化が進み、多くの社会基盤は補修や更新時期を迎えている。アセットマネジメントを効果的に構築し運用するためには、国の老朽化対策に関する施策を理解しておくことが必要となる。
・道路の老朽化対策に関する取り組み
・長寿命化修繕計画の策定
・点検基準等の法定化
第4回:「インフラの点検と健全度診断」
アセットマネジメントでは,構造物の現状を的確に把握し,劣化の進行を予測し,適切な時期に適切な対策を行うことが重要となる.ここでは,構造物の状態を把握するための点検・調査,診断および健全度診断技術の概要を理解する.
・道路橋等点検基準の法定化
・道路の点検・調査・健全度診断
・点検・診断の課題
第5回:「インフラの寿命と劣化予測」
アセットマネジメントにおいて,対象となる構造物が将来的にどのように劣化していくかを予測することは非常に重要な要素である.道路橋を対象に,インフラの寿命(耐用年数)の考え方と劣化予測の現状と劣化予測手法を理解する.
・寿命の考え方
・劣化予測の現状
第6回:「予防保全」
アセットマネジメントでは,予防保全を前提とした維持管理が行われる.予防保全によって構造物のライフサイクルコストの低減が実現できるとともに,維持管理シナリオによる予算の平準化が可能となる.本授業では,予防保全の考え方,事後保全と予防保全の違い等について理解する.
・事後保全と予防保全
・もし予防保全が行われていたら(実例解説)
・予算の平準化とは
・予防保全を適切に行うためには
第7回:「ライフサイクルコスト」
現在,地方自治体で行われているライフサイクルコスト型アセットマネジメントでは,建設から維持管理までのライフサイクルコストを最小化するとともに,予算の平準化が主な目的となっている.授業では,社会基盤におけるライフサイクルコストの考え方,ライフサイクルコストの算出方法,ライフサイクルコストの低減方法について勉強する.
・ライフサイクルコストの考え方
・ライフサイクルコストの算出方法
・ライフサイクルコストを低減させるには
・ライフサイクルコストの課題
第8回:「インフラの損傷と補修・補強」
社会基盤は使用状況,設置環境さらにはメンテナンス体制などによって損傷の状態や進行度が異なっている.授業では,鋼道路橋を例に社会基盤に発生する劣化・損傷と補修・補強技術の概要について勉強する.
・鋼道路橋に生じる劣化と損傷の特徴
・補修・補強の基本的な考え方
第9回:「維持管理シナリオと予算の平準化)」
アセットマネジメントのための予算計画を策定する場合,インフラの管理コストを単純に積み上げると,特定の年度の修繕更新費が突出することになる.インフラのサービス水準を維持しつつ,効果的・効率的なメンテナンスを行うためには,インフラの重要度や劣化度に応じた優先度を設定し,予算の平準化を前提にした維持管理シナリオが必要となる.
・予算の平準化とは
・維持管理シナリオの考え方
・維持管理シナリオの見直しによる平準化
第10回:「インフラ会計」
予算計画を策定し,インフラ資産の維持補修のためのアクションプログラムを機能させようとすれば,予算やその執行管理を実施するためのインフラ資産の評価が必要となる.ここでは,インフラ資産を評価する会計手法について理解する.
・公会計導入の背景と必要性
・資産評価のための公会計
・官庁会計と企業会計
・インフラ資産の評価
第11回:「アセットマネジメントの実際」
自治体において運用・試行されている社会基盤アセットマネジメントを例に,LCC型アセットマネジメントを理解する.ここでは,自治体で行われているアセットマネジメントの実例について理解する.
・自治体における事例解説
第12回:「アセットマネジメントの進化」
多くの自治体で行われているアセットマネジメントは,アセットマネジメントの初期段階のLCC(ライフサイクルコスト)型アセットマネジメントであるが,今後は資産運用型アセットマネジメントに移行しつつある. ここでは,資産運用型アセットマネジメントPPPの具体的な実現方法の一つであるPFIについて理解する.
・NPMとPFI
・PFI法
・コンセッション方式
・PFI導入事例
第13回:「アセットマネジメントに必要な技術者資質」
アセットマネジメントの構築には,メンテナンスに精通した技術者が必要となる.ここでは,エンジニアに求められる資質や資格と建設業界の現状を理解する
・メンテナンスエンジニアの役割と資質
・メンテナンスエンジニアに必要な資格
第14回:「授業のまとめ」
授業で修得した知識の確認
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前に自治体等のホームページで公開しているアセットマネジメントの内容を確認しておく.次回の授業準備として,配布された資料を熟読しておくとともに,授業内で示されたレポート作成をとおして授業の内容を理解する.
本授業の準備学習・復習時間は、各4時間を目安とします.
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しない.授業ごとに配布する.
参考書References
特に指定しない。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポート課題 60点
期末レポート課題 40点
授業内容を理解した上で,「論理的に自分の考えを述べているか」,「技術的な論文形式になっているか」,「発展的な内容となっているか」を総合的な観点から評価する.
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
過去の授業改善アンケートによると,「将来仕事に就く上で必要な授業であった」,「インフラの資産運用について知ることができた」,「内容に興味を持てた」,「ライフサイクルコストを含む都市計画・構造物の資産的な知識が得られた」,「面白かった」,「知識が身についた」などのコメントが多くあった反面,一部の内容がわかりにくいという指摘があり,よりわかりやすい授業にしたいと考えている.これからの技術者には経済,会計,財務およびマネジメントの知識が必要になる.またアセットマネジメントを理解するにはこれらの知識が不可欠であることから.授業では適宜わかりやすく解説する.
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
使用しない.授業中のパソコンの使用は禁止する。
その他の重要事項Others
高速道路会社のメンテナンス部門および研究開発部門に長く勤務した教員が,アセットマネジメントの実務科目について指導する.