公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
ECN500P2－126（経済学 / Economics 500）開発経済論Development Economics
山田 英嗣Eiji YAMADA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2021 |
| 授業コードClass code | X9561 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期前半/Spring(1st half) |
| 曜日・時限Day/Period | 金6/Fri.6,金7/Fri.7 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
サステイナビリティ学専攻 （修士課程）サステイナビリティ学専攻専門科目 |
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Outline (in English)
This course aims at providing basic knowledge on the Development Economics, in terms of its major topics and key methodological approaches. The lecture covers the concept and measurements of poverty/inequality, microeconomic models of poor households, the basics of quantitative impact evaluation, and economic interpretation of specific development issues such as education, healthcare, migration, and environment. Every week, after the lecture, one or two student(s) present a reference article followed by an open class discussion. In addition, students are required to submit short works of data analysis (graphing, tabulation, etc.) related to the contents of the lecture.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
開発経済学は、開発途上国での貧困や不平等に着目し、どうすればそれらの問題を解決できるかを考察する実践的な分野である。本講義の目的は、現代の開発途上国が直面する主要な課題を把握し、開発経済学がどのような課題解決策を提示してきたのかを理解することである。特に、理論的なアプローチだけでなく、データによる実証分析も活用して開発途上国の諸課題について議論する力を習得することを目指す。
到達目標Goal
本講義の到達目標は以下の3点である。
（１）開発経済学がどのように貧困や不平等をとらえてきたのか、主要な指標の考え方や計測方法について、基本的な知識を習得し、アジア・アフリカなどの開発途上諸国の実態を把握すること。
（２）貧困や低開発の原因やその解決方法について、開発経済学が提示してきた理論の概要を理解すること。
（３）政策の効果を統計的に評価するために定量分析の手法（特にインパクト評価）の概念を理解し、現実の実証例を通じて、政策実務への活用方法を習得すること。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
講義はすべてオンライン授業で行う。各回の講義は、①教員による講義、②参考文献に関する学生の報告、③基礎的なデータ分析課題、④ディスカッションで構成する。講義内容は、ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学等、経済学の基礎的な知識は前提としない。理論的な説明では数式はなるべく使用せず、グラフなどを使った直観的な理解を優先する。実証分析を理解するための統計学の基礎知識については、講義内で補足説明を行う。ただし、講義の方法や内容については、受講者の数や関心などに応じて変更する可能性がある。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期前半
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回：オリエンテーション/開発経済学の変遷と経済成長論
第二次世界大戦以降、開発経済学がどのように変遷してきたのか、開発途上国の発展の歴史を踏まえつつ概観する。併せて、経済成長論の概要を理解する。
第2回：貧困と不平等
開発経済学が解決の対象とする中心的課題が貧困と不平等である。貧困と不平等に関する諸概念を整理し、主要な指標の計測方法を習得する。開発経済学および開発の実務でよく使われるデータ（オープンデータ）の使い方についても紹介する。
第3回：貧困層のミクロ経済学
途上国の貧困層は、労働者・起業家・消費者としての役割を持つ経済主体である。ミクロ経済学モデルにより、経済主体としての貧困層の行動を分析するアプローチを学ぶ。
第4回：開発政策を実証分析する手法（インパクト評価）
近年の開発経済学において、現実の政策の効果をデータを使って実証的に分析し知見を得る「インパクト評価」が大切なツールとなっている。効果の測定に必要なデータや主要な手法について、基礎的な知識を得る。
第5回：教育・保健医療と開発
開発途上国における教育や保健医療の実情を主要な統計から把握する。教育や医療へのアクセスを改善するための様々な施策に関して、インパクト評価による主要な研究を概説し、どのような施策が有効なのか議論する。
第6回：出稼ぎ移民/環境問題
前半では、現代の開発途上国に幅広くみられる出稼ぎ移民（国内・海外）について扱う。出稼ぎの動機や故郷への送金がもたらす影響などについて考察する。
後半では、近年特に深刻となっている環境問題について、開発途上国の現状と各国政府、国際社会の取り組みを経済学的に解釈する。
第7回：現場での開発経済学
開発経済学は、開発途上国の政策や援助にどのように役立てられているのか。実際の開発協力事業を例に、政策策定やプロジェクトの実施における開発経済学の知見の活用例を紹介し、開発経済学の有用性・課題について理解を深める。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
（１）各回で講読する参考文献について、発表担当の学生は発表準備を、その他の学生は予習をする。学期中、各学生が1－2回発表できるようにする。参考文献には英語のものも含まれる。
（２）全体で4回程度、講義内容に関連する簡単なデータ分析課題を課す。講義開始前までにメールで提出、講義時間中に学生からの発表とディスカッションを行う。課題は、オープンデータ（オンラインでアクセス可能な公開データ）を使い、エクセル等の表計算ソフトで実施可能な基礎的なもので、統計分析ソフトウェア等は必要としない。
（３）期末レポートの詳細については、初回講義時にガイダンスする。
テキスト（教科書）Textbooks
特に指定しない。
参考書References
「開発経済学ー貧困削減へのアプローチ」黒崎卓・山形辰史、日本評論社、2017年
「テキストブック開発経済学（第3版）」ジェトロ・アジア経済研究所・黒岩郁雄・高橋和志・山形辰史、有斐閣、2016年
「貧困の経済学（上・下）」マーティン・ラヴァリオン（柳原透 監訳）、日本評論社、2018年
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は、期末レポート(40%)、参考文献の発表(20%)、データ分析課題(20%)、授業やディスカッションへの貢献(20%)を総合的に判断して行う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本年度新規科目につきアンケートを実施していません。
その他の重要事項Others
講師は国際協力機構（JICA）職員であり、2021年4月以降JICAバングラデシュ事務所員として海外赴任中の予定のため、講義はすべてオンラインで行う。そのため対面でのオフィスアワーの設定は難しいが、メール等での質問やオンラインでの相談は随時受け付ける。途上国におけるODA（政府開発援助）による開発事業の企画・実施監理の実務経験があり、開発の現場において経済学の知見がどのように活かされているのか、経験に基づき講義の中で共有する。
担当教員の専門分野等
HPのURL：https://www.jica.go.jp/jica-ri/ja/experts/yamada-eiji.html
＜専門領域＞
空間経済学・都市経済学・ミクロ計量経済学
＜研究テーマ＞
①海外出稼ぎ移民の要因・海外送金の開発効果②インフラ事業のインパクト分析③空間経済学による環境問題の分析
＜主要研究業績＞
Enerelt Murakami, Eiji Yamada, Erica Paula Sioson, “The impact of migration and remittances on labor supply in Tajikistan,” Journal of Asian Economics, Volume 73, 2021, 101268.
Satoshi Shimizutani and Eiji Yamada, “Resilience against the Pandemic: the Impact of COVID-19 on Migration and Household Welfare in Tajikistan,” JICA Ogata Research Institute Working Paper 218, 2021.
Murakami, E., Shimizutani, S. & Yamada, E. "Projection of the Effects of the COVID-19 Pandemic on the Welfare of Remittance-Dependent Households in the Philippines". Economics of Disasters and Climate Change (2020).
Murakami, Enerelt, Satoshi Shimizutani, and Eiji Yamada. “The Potential Impact of the COVID-19 Pandemic on the Welfare of Remittance-Dependent Households in the Philippines”. COVID Economics 24, 1 June 2020: 183-204. Centre for Economic Policy Research.
Eiji Yamada, "A Spatial Equilibrium Analysis of Air Pollution in China", JICA Research Institute Working Paper 211, 2020.
Mai Seki and Eiji Yamada, "Heterogeneous Effects of Urban Public Transportation on Employment by Gender: Evidence from the Delhi Metro", JICA Research Institute Working paper 207, 2020.