人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B7(文学 / Literature 500)西欧比較文学ⅡWestern Comparative Literature II
日中 鎮朗
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X1110 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木5/Thu.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 国際日本学インスティテュート(修士課程)-関連科目 |
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Outline (in English)
The main aims of this course are to deepen knowledge and understanding of the concept of utopianism and to review the history of utopianism in the world based on Gregory Claeys'》Searching for Utopia. The History of an Idea《.
We will focus on the theoretical foundations and the conceptual framework of utopianism through the different types of works including contemporary literature.
To provide graduate students with opportunities to read and treat American, English, Canadian and Japanese literature from the perspective of comparative literature.
Graduate Students are required to do a close reading of the textbook.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
理想的な社会をどう考えるか、またどのようにそこに近づいていくのかは人類の歴史の中で考えられ続けてきたテーマである。
現代においても国家や政府、また個人がそれについて思索し、実現を目指し努力している。
理想的な社会のなかで<ユートピア>といわれるものの近代における定義を検証し、ユートピアが人間や社会にどのように発生し、変化を遂げ、受容され、作用したのか、ユートピアの意味を概念的に見てゆくことが秋学期の目的である。
秋学期のこの授業でも、さらにテキストを読みながら、現代におけるユートピア文学、ユートピア的思想を検討する。
ユートピアに関する思想を社会の中に位置づけることを目的とする。
従って、さまざまなユートピア文学にも触れる。
こうした作業を通して、ユートピアまた反ユートピア(ディストピア)の意味や機能についても考察する。
<講義題目>
ユートピア像の歴史と受容
到達目標Goal
近現代以降のユートピアに関する歴史的俯瞰と意味付けを理解することが目標である。
またその際に、Gregory Claeys の》Searching for Utopia. The History of an Idea《やこの講義で挙げられた作品を論じるので、それらを理解し、批判的に分析できるようになることが、第二の目標である。
最後に、そうした討議の際に自分の意見をわかりやすく表現し、伝え、また他者の意見を理解し、議論できるようになることを目標とする。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
ユートピアの歴史的、概念的な整理としてユートピアの歴史や意義、範囲の基本文献であるGregory Claeys の》Searching for Utopia. The History of an Idea《を基本文献として読みすすめてゆくが、また同時に、各回の授業計画で挙げられるユートピア像を思想的、宗教的、また社会実現の試みにおいてどのように扱われ、表現されているかを見る。
その際に、テクストの担当部分を決めて、それをまとめ、訳読・プレゼンしてもらう。独自の観点でいいので、議論・検討に積極的に加わってほしい。
プレゼンテーション、考えるべき課題についてのフィードバックは次回の授業内でその都度、行う。
学期末の2回を使って、レポート発表を行ってもらう。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション
ユートピア概念の共通理解を検討する。
授業の進め方等についての説明。
第2回:Chapter 12
The Emergence of Science Fiction①
について
テクストの読解とジュール・ヴェルヌとその作品について
第3回:Chapter 12
The Emergence of Science Fiction②
について
テクストの読解とH.G.ウェルズとその作品について
第4回:Chapter 12
The Emergence of Science Fiction③
について
テクストの読解とR.L.スティーブンソンとその作品について
第5回:Chapter 11,12
The Emergence of Science Fiction:
Inventing Progress
テクストの読解とM.W.シェリー、ベラミーとその作品について
第6回:Chapter 9,10
The Second Age;
Utopia as Community について
共同体としてのユートピア(現実世界での実現へ)
第7回:Chapter 8
Ideal Cities
について
理想の都市、都市国家としてのユートピア
第8回:Chapter 5,6,7
Revolution and Enlightenment:
The Age of Defoe and Swift
新世界、デフォーとその作品について
第9回:Chapter 4
A Genre Defined について
領域の定義
トマス・モアとその作品について
第10回:Chapter 3
Extra-European Visions
東洋、オリエントのユートピア像と概念について
第11回:Chapter 2
Christian Archetypes
キリスト教的原理
楽園思想、千年王国について
第12回:Chapter 1
The Classical Age
古典古代、黄金時代というイメージ
第13回:Conclusion
Pradise Lost?
ユートピアそしてユートピアニズムとは何か?
テクストの読解と
世界の現状分析(環境・戦争・宗教)について
レポート発表・討議
第14回:プレゼンテーション
レポート発表・総評
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
全体を通して基本文献であるClaeysのテキストを精読してくること(予習)が必要である。また、その都度のテーマについての文献を読んでくることや内容について考えてくることが授業への関心を高め、また積極的に討議に参加できる環境を作る。授業は全体的な展望をもちつつ、時間を考慮しながら個々の例を取り上げるので、自分で気づいたものがあればそれも絶好の題材となるので、各自で授業内で取り上げることもできる。さまざま形のユートピアを検討したい。具体的には各回のテーマと内容を参照してほしい。
テキスト(教科書)Textbooks
Gregory Claeys の》Searching for Utopia. The History of an Idea《
New York:Thames and Hudson,
ISBN 978-0-500-25174-4
が全体を通しての基本文献である。
これはコピーにて配布する。
また、その他の文献については、文庫本などで手に入るものが多いので、手に入れるか、図書館を利用。そうでない場合はコピー資料にて配布する。
参考書References
上記の各回で取り上げるさまざまな文献が参考書であるが、各回でテーマとして取り扱うものに関連したものを積極的に読んでおくこと。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポート課題(最終回での各人のレポート発表)50%
平常点(訳読・レジュメ・プレゼンテーション・議論)50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
議論の時間をもっととりたい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
ドイツ文学、比較文学・文化、比較芸術
<研究テーマ>
①比較文学という手法を通して文学と現実=社会との関わりを軸に、文学の意味や意義を考える。②文学以外の諸芸術における諸テーマの扱われ方③ユートピア論、ファム・ファタル論
<主要研究業績>
①『英語文化研究』共著、2013年、成美堂
②『英文学の風景』共著、2012年、文化書房博文社
③「文学・科学・知の相互浸透―イシグロ。ダウドナ、ソーカルと学問分野の越境」
『言語と文化』第17号、2020年、法政大学 言語・文化センター
④「知の獲得と語りのあて先-Kazuo IshiguroのNever Let Me Goにおけるその手続き」『異文化の諸相』第39号、日本英語文化学会、2019年、
⑤翻訳 W.イーザー『虚構と想像力』(共訳)2007年、法政大学出版局