人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B7(文学 / Literature 500)西欧比較文学ⅠWestern Comparative Literature I
日中 鎮朗
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X1109 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木5/Thu.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 国際日本学インスティテュート(修士課程)-関連科目 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
The main aims of this course are to deepen knowledge and understanding of the concept of utopianism and to review the history of utopianism in the world based on Gregory Claeys'》Searching for Utopia. The History of an Idea《.
We will focus on the theoretical foundations and the conceptual framework of utopianism through the different types of works including contemporary literature.
To provide graduate students with opportunities to read and treat American, English, Canadian and Japanese literature from the perspective of comparative literature.
Graduate Students are required to do a close reading of the textbook.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
理想的な社会の追求は人類の歴史の中の根源的なテーマである。現代においても、あらゆる国家はそれを目指して考え続け、努力しているといっても過言ではない。
そのために理想社会、あるいはユートピアについて、とりわけ思想、文学、映画、芸術においてどのように考えられ、受容され、作用してきたのかをGregory Claeysの》Searching for Utopia. The History of an Idea《を講読しながら、考える。
とりわけ、<現在>という時点からのアクチュアルな問題提起として、現代の文学をも分析対象にいれ、さまざまな文学作品を読みながら、現代文学の取り組みを考察する。
反ユートピア(ディストピア)、サイエンス・フィクション、映画、パラダイス・ロストなど現代の(反)ユートピア像の歴史に的を絞って、文献によって探っていく。<講義題目>現代のディストピアとユートピア像
到達目標Goal
現代のユートピアの歴史を理解することができる。
また、その際にGregory Claeysの》Searching for Utopia. The History of an Idea《やこの講義で挙げられた、あるいは考察対象とする小説や作品を読み、論じるので、そうした現代作家や作品の取り組みを知り、その小説や作品をユートピアという視点から批判的に分析できるようになる。
そうした討議の際に、自分の意見を明確に表現し、伝えることができる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
ユートピアの歴史的な概説としてGregory Claeysの》Searching for Utopia. The History of an Idea.《を読んでゆく。
ただし、総論から入るのではなく、各論から入って最終的に総論としてユートピアを考えるほうが理解を得やすい。そのために、後半部から読み進めたい。
また同時に、各回の授業計画で挙げられるユートピア関連の文学作品(おもに米、英、カナダ、日本の作品)を比較文学的に読み、また思想、芸術などの諸分野においてどのように扱われ、表現されているかを見る。
その際に、テクストの担当部分を決めて、それをまとめ、プレゼンしてもらう。また課題に対しては、次回の授業にフィードバックを行い、さらに全体で議論・検討を加えていきたい。
また、学期末の2回を使って、レポート発表を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション
ユートピア概念の共通理解を検討する。
授業の進め方等についての説明。
第2回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter13の読解①
Varieties of Dystopia:
Totalitarianism and After in Satire and Reality
訳読と議論(1)
第3回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter13の読解②
Varieties of Dystopia:
Totalitarianism and After in Satire and Reality
訳読と議論(2)
ザミャーチン『われら』
第4回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter13の読解③
Varieties of Dystopia:
Totalitarianism and After in Satire and Reality
訳読と議論(3)
オーウェル『1984』
第5回:Chapter13の後半部のまとめ
現代社会とディストピア
ル・グィン『所有せざる人々』
ウエルベック『服従』
をめぐる問題
第6回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter14の読解①
Utopia, Science Fiction and Film: The Final Frontier
訳読と議論(1)
第7回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter14の読解②
Utopia, Science Fiction and Film: The Final Frontier
訳読と議論(2)
第8回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Chapter14の読解③
Utopia, Science Fiction and Film: The Final Frontier
訳読と議論(3)
クラーク『2001年 宇宙の旅』
第9回:Chapter14のまとめ
バージェス『時計仕掛けのオレンジ』
ゴールディング『蠅の王』
をめぐる問題
第10回:アトウッド『侍女の物語』
アトウッドとディストピア
第11回:カズオ・イシグロ『私を離さないで』
をめぐる問題
イシグロと現代と科学
吉田修一『橋を渡る』
第12回:Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
まとめ
まとめとプレゼンテーション
第13回:ユートピアと意識されたユートピア
レポート発表・討議
第14回:現代をめぐる問題に関する考察
レポート発表・総評
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
全体を通して基本文献であるClaeysのテキストの精読をおこなってくること。
また、その都度のテーマについての文献を読んできて、内容について考えてくることが授業への関心を高め、また積極的に討議に参加できる土台となるので、それをおこなうこと。
テキスト(教科書)Textbooks
Gregory Claeys
》Searching for Utopia. The History of an Idea《
Thames and Hudson
New York
ISBN-978-0-500-25174-4
が全体を通しての基本文献である。
これはコピーにて配布する。
また、その他の文献については、文庫本などで手に入るものが多いので、手に入れるか、図書館を利用。そうでない場合はコピー資料にて配布する。
参考書References
上記の各回で取り上げるさまざまな文献に関するものが参考書であるが、各回でテーマとして取り扱うものに関連したものを積極的に読んでおくこと。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポート課題(最終回での各人のレポート発表)50%
平常点(訳読・レジュメ・プレゼンテーション・議論)50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
議論の時間をもっととり、議論を深めていきたい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
ドイツ文学、比較文学・文化、比較芸術
<研究テーマ>
①比較文学という手法を通して文学と現実=社会との関わりを軸に、文学の意味や意義を考える。②文学以外の諸芸術における諸テーマの扱われ方③ユートピア論、ファム・ファタル論
<主要研究業績>
①『英語文化研究』共著、2013年、成美堂
②『英文学の風景』共著、2012年、文化書房博文社
③「文学・科学・知の相互浸透―イシグロ。ダウドナ、ソーカルと学問分野の越境」
『言語と文化』第17号、2020年、法政大学 言語・文化センター
④「知の獲得と語りのあて先-Kazuo IshiguroのNever Let Me Goにおけるその手続き」『異文化の諸相』第39号、日本英語文化学会、2019年、
⑤翻訳 W.イーザー『虚構と想像力』(共訳)2007年、法政大学出版局