人文科学研究科Graduate School of Humanities

春学期の西洋中世史では有名な事件やトピックを中心に紹介しましたが、後期のこの講義では西洋中世の社会構造や思考・行動の在り方を中心に見ていきます。時系列ではなく、社会を構成していた要素、つまり皇帝、国王、貴族、聖職者、都市、農民などに注目していきます。授業ごとに紹介する史料から、過去の社会を想像することを通じて理解を深めていきます。

この授業には二つの目的を設定します。一つ目は西洋文化の基礎を作った時代である中世の歴史的知識を、またそれを通じて歴史的な見方・考え方を身につけます。二つ目は文献を収集、比較・分析し、そこから自分の見解を導きだし、表現できるようになることです。前者については授業内容で、後者についてはレポートの作成を通じて学んでいきます

日本語 / Japanese

当面、当授業はオンデマンド授業（フルオンデマンド型）としておきます。コメントと課題へのフィードバックは主に授業動画内で行います。
授業では一回に一つのトピックを取り上げ、時代の流れの中に位置づけながら解説します。現代を生きる上でぜひ知っておいてほしい事件やことがらを厳選して紹介していきます。各授業の終わりに、日本語に訳された史料、つまり歴史を書く際に証拠として使われてきたテキストや画像、音楽などを取り上げ、その時代背景や作者の情報、意図などを自由に想像して考えてもらいます。続く授業でその史料の内容と背景を解説し、そこからどのような歴史像が作られてきたかを学びます。

なし / No

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：ガイダンス

異世界としての中世・ルーツとしての中世

第2回：王と皇帝と教皇

貴族的社会と文化の成立と発達

第3回：騎士と貴族の世界

貴族的社会と文化の成立と発達

第4回：修道院と修道士の世界1

修道院の始まりとその発展

第5回：修道院と修道士の世界2

托鉢修道会の成立と発展

第6回：ローマカトリック教会の発展

教会の構造とその発達

第7回：ローマカトリック教会の変質

教会分裂と公会議

第8回：都市の成立と発展

西洋における都市の成立過程とその特徴

第9回：手工業者と都市住民

手工業と手工業者の発展

第10回：ドゥームズデイブックと中世の農村

農村の形態と農民・領主関係

第11回：中世農村と農奴制

農奴制の成立と変化

第12回：西洋中世の貨幣と貨幣制度

貨幣単位の由来と互換関係、購買力

第13回：１４世紀の危機

黒死病の流行と中世後期の世界

第14回：まとめとレポート講評

テキストを批判的に読むこと

本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
授業の最後に次回の授業で使う課題を渡します。課題の中のキーワードなどを参考に予習をしておくことを勧めます。
また、レポートの作業を分割して進めますので、毎週３～４時間ほどの準備時間を用意してください。

特に定めません。授業ごとにプリントを用意します。

木下康彦ほか編『改訂版詳説世界史研究』山川出版社、２００８年
甚野尚志『中世の異端者たち』世界史リブレット２０、山川出版社、１９９６年
朝倉文市『修道院にみるヨーロッパの心』世界史リブレット２１、山川出版社、１９９６年
河原温『中世ヨーロッパの都市世界』世界史リブレット２３、山川出版社、１９９６年
堀越宏一『中世ヨーロッパの農村世界』世界史リブレット２４、山川出版社、１９９７年など

学期中に簡単な小レポートを二回、そしてそれを踏まえた形で学期末にレポートを提出してもらいます。合計三回のレポートの評価と、出席状況および授業への参加を合計して最終的な評価を行います。なお、授業への参加については、授業内での課題への回答を見て評価します。配点は以下の通りです：

コメントと課題：30
レポートＡ：10
レポートＢ：20
レポートＣ：40

毎回課題に回答してもらいますが、正解を求めるというより想像力を働かせて推理するという気持ちでやってみてください。