人文科学研究科Graduate School of Humanities

　本授業は「外交からみる中国近現代史」をテーマとする。
　現在、中国は東アジアのみならず、世界全体に大きな影響力を持つ「グローバル大国」となった。もっとも、歴史的に見れば、こうした国際社会における中国の位置づけは、中国国内の政治局面の変化とともに、常に大きく揺れ動いてきたといえる。特に近代以降は、欧米列強や日本の中国進出、戦後の冷戦構造の下で、極端な外交政策の転換も迫られた。
　本授業では、こうした近現代における中国の外交の歴史を中心にたどりながら、現在の「グローバル大国」中国がどのように形成されてきたのか概観する。その上で、昨今の中国をめぐる国際的な諸問題について、歴史的な視点から共に考えていきたい。

近現代における中国の外交の歴史をたどり、中国近現代史に関する知識や理解を深めるとともに、現在の中国をめぐる国際的な諸問題について、主体的に考察する。

日本語 / Japanese

原則として対面授業を実施する。基本的に講義形式をとり、毎回授業後にリアクションペーパーを提出する。提出されたリアクションペーパーは、次回授業時に一部を公開・回答し、フィードバックを行う。また、授業内で文献・史料の読解を行うため、ある程度の予習が必要となる場合もある。

なし / No

なし / No

春学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：中国近現代史入門

中国近現代史を学ぶ意義・方法

第2回：前近代中国の対外関係

王朝体制と「華夷秩序」

第3回：清朝とアヘン戦争

中国における「西洋の衝撃」

第4回：清末の条約・開港

中国近代外交の幕開け

第5回：日清戦争と「瓜分の危機」

伝統的国際秩序の崩壊

第6回：辛亥革命と中華民国の成立

近代国家としての中国

第7回：軍閥割拠とナショナリズム

「国民外交」の希求

第8回：南京国民政府の成立

国民党の外交戦略

第9回：満洲事変から日中戦争へ

日中対立と国際社会

第10回：国共内戦と中華人民共和国の成立

戦後東アジアの冷戦構造

第11回：社会主義体制と文化大革命

中国共産党の国際的孤立

第12回：改革開放の時代

協調外交への転換

第13回：現代中国の対外関係

「グローバル大国」の行方

第14回：中国近現代史の課題と展望

中国近現代史をめぐる諸問題

授業内で紹介した参考文献や配布プリントをもとに知識と理解を深める。また、中国に関するニュースや新聞・雑誌記事にも自主的に目を通し、問題意識を高める。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。

特になし

主な概説書は以下。その他は授業内で紹介する。
岡本隆司・箱田恵子編著『ハンドブック近代中国外交史――明清交替から満洲事変まで』ミネルヴァ書房，2019年．
川島真・毛里和子著『グローバル中国への道程――外交150年(叢書 中国的問題群 12)』岩波書店，2009年．
毛里和子『現代中国外交』岩波書店，2018年．
吉澤誠一郎他『中国近現代史①～⑤』岩波書店（岩波新書），2010～14年．

①　平常点　30％
毎回授業後に提出するリアクションペーパーを評価対象とする。
②　期末試験　70％
授業内容に関する論述問題を出題する。

初学者にも理解しやすい講義を心がけ、写真や映像などの視覚的な資料も多く用いる。また、毎回リアクションペーパーのフィードバックを行う。

学習支援システムを利用する。