人文科学研究科Graduate School of Humanities
HIS500B4(史学 / History 500)日本古代史料研究Archives Study of Ancient age of Japan
山口 英男
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0338 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 史学専攻(修士課程)-専門科目 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
Learn research subjects on ancient historical materials in Japan,features of ancient historical documents,and the method of historical information extraction,focusing on Shosoin Document and Wooden Tablet.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
正倉院文書と木簡を中心に、日本古代史料研究の課題、古代史料の特徴、歴史情報抽出の方法を学び考えます。史料のどこに注目したらよいかを知ることで、史料の背後の世界へと視野が広がります。
日本古代史を研究するための材料となる史料は、他の時代に比べて数が限定されている印象が強く、新たな検討の余地は少ないように思われがちです。しかし、周知の史料でありながら十全な検討がなされていないものや、研究の進展に応じた再調査・再検討が必要となっている史料が意外に多くあります。
何よりも、正倉院文書や木簡など、当時の実務の現場で用いられた書面が大量に残されていることが、日本古代史料の特質です。現代に引きつけていえば、お役所の内部書類が外部に流出したようなものです。まさに「宝の山」といってよい史料群であり、分析されることを待っている情報がまだまだたくさんあります。
これらをどのように分析するのか。記載内容(文字)を読み取るだけではなく、史料を「もの」として分析することで、古代史料学・古文書学の新たな知見が蓄積されて来ています。より多くの情報を史料から抽出することで、古代史研究の地平をさらに拡げていくことが期待できます。本講義では、古代史料の「すがた・かたち」を検討しながら、史料の分類と分析の視角・手法を考え、古代史研究の新たな視野を展望します。
到達目標Goal
古代史料研究の課題について理解する。
古代史料の特徴を知り、歴史情報を抽出するための視角と分析手法を身につける。
史料に対する目のつけどころ、問いかけ方を学ぶことで、史料の持つ豊かで多様な情報に近づくことができるようになる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は講義形式(対面授業)で進めます。
配布した史料プリントを使いながら、史料の分析とはどういう作業であるのか、その結果何がわかるのか、具体的な例を挙げながら解説します。
3回程度の講義のまとまりごとに、小レポートを提出してもらうことで、理解と認識の深まりを確かめながら進めます。小レポートについては、下記も参照してください。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:ガイダンス
講義のねらいと進め方
第2回:古代の実務文書の面白さ
正倉院文書と木簡
第3回:古代史料学の課題と視角①
古代史料の概要と史料批判
第4回:古代史料学の課題と視角②
古代史料の特徴と分析視角
第5回:古代史料学の課題と視角③
実務官司の仕事と書面
第6回:古代史料に見る情報の定着と移動①
情報の記録・伝達と〈書類学〉という考え方
第7回:古代史料に見る情報の定着と移動②
仕事に用いる文書とメモ
第8回:古代史料に見る情報の定着と移動③
仕事の進行と成長する書面
第9回:木簡と帳簿①
木簡と古代史料学の関係
第10回:木簡と帳簿②
紙の書面と木簡
第11回:木簡と帳簿③
「食口」という方法と木簡
第12回:口頭伝達と書面の関係①
書面の背後に見える口頭伝達
第13回:口頭伝達と書面の関係②
口頭伝達の記録
第14回:口頭伝達と書面の関係③
「口状」の発見からわかった業務の実態
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
配布するテキストに目を通しておいてください。また、講義の内容を、自分なりに文章に整理しておくことをすすめます。参考書や、講義中に紹介した研究文献にもできるだけ目を通してください。
本授業の準備・復習時間は、2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
プリントを配布するので、講義に必ず持参してください。教科書は使用しません。
参考書References
栄原永遠男『正倉院文書入門』(角川学芸出版、2011年)
市川理恵『正倉院写経所文書を読みとく』(同成社、2017年)
山口英男『日本古代の地域社会と行政機構』(吉川弘文館、2019年)
山口英男「正倉院文書に見える「口状」について」(佐藤信編『史料・史跡と古代社会』吉川弘文館、2018年)
山口英男「写経所の機構」(犬飼隆編『古代の文字文化』竹林舎、2017年)
山口英男「正倉院文書から見た「間食」の意味について」(『正倉院文書研究』13、2013年)
東京大学史料編纂所編『日本史の森を行く』(中公新書、2014年)
山口英男「正倉院文書に見える文字の世界」(国立歴史民俗博物館他編『古代日本と古代朝鮮の文字文化交流』大修館書店、2014年)
正倉院文書マルチ支援(多元的解析支援)データベースSHOMUS・奈良時代大日本古文書フルテキストデータベース(東京大学史料編纂所SHIPSデータベース http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/db.html)
奈良文化財研究所 木簡庫データベース http://mokkanko.nabunken.go.jp/en/
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は、期間中に提出してもらう複数の小レポートの内容によって行います。講義の進行に合わせて課題を出します。小レポートでは、講義の受講を前提に、講義内容の整理とその批判的論評を求めます。理解力(40%)、調査・考察力(30%)、文章力・独創性(30%)を基準に評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
小レポートは、提出の翌週にコメントと評価を付して返却しますので、次のレポート作成の参考にしてください。これを繰り返すことで、文章のレベルや内容、説得力が確実にアップします。
その他の重要事項Others
インターネット等から文章を「剽窃」したレポートに対しては厳格な措置を取ります。他人の文章を盗み、あたかも自分の文章であるかのように人を欺く行為が許されないことを十分認識してください。