法務研究科Law School

授業範囲は、公訴、公判、証拠等起訴後の手続。刑事訴訟法演習Ⅰと同様に、各回のテーマごとに事前に配付・指示する設例について検討議論することを通じて、関係する法の規定とその解釈、判例等を学ぶ。法解釈においては、立法目的や法原則・原理を探求した上で行うことができる法解釈能力を、判例の学習においては、その裁判例が定立した規範・判断枠組がいかに当該具体的事案の合理的解決を導いたかを解明できる法的分析能力を体得し、法律実務家に必要な法的思考力、事案解決能力等を身に付けることが目的である。

設例に関係する法規定のほか、関係する法原則・原理を正しく理解し、関係する判例が，当該具体的事実関係において、どのような法的問題を捉え、具体的な事実にどのような法を適用して、当該事案の合理的解決を図ったのかを解明して判例の射程距離を正しく把握した上、取り上げる設例と判例の事案の相違を意識しながら、設例の合理的解決を検討することを通じて、未知の問題事例に遭遇しても応用のきく柔軟な法的思考力，事案解決能力等が身に付けられる。

ディプロマポリシーのうち、「ＤＰ１」と「ＤＰ２」に関連

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各回のテーマごとに事前に配付・指示する設例に基づき、当該設例の法的問題点は何か、その問題点を解決するために必要な法の規定、法原則・原理、関連する判例は何か、設例の事実の中から法的に意味のある事実を抽出して上記の法を当てはめ、いかに合理的な結論を導くか（以下「検討事項」という。）について討論する。授業は、これらの点について学生に発表させて議論する形で進める。学生は、事前にテキストをよく読み、特に関係する判例は「ケースブック刑事訴訟法」で当該判例の具体的事実関係を十分把握しつつ読み込んで、設例の検討を行っておく必要がある。必要に応じて、参考資料、文献を配付する。
さらに、授業で取り扱ったテーマに関連するレポート作成の課題を課す。提出された課題に対して、添削評価の上返却する。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：公訴の提起

公訴提起の諸原則、検察官の訴追裁量権、公訴提起の要件、予断排除の原則

第2回：訴因の意義・機能


訴因の変更(1)

訴因の意義・機能、訴因の明示・特定
訴因変更の意義・要否

第3回：訴因の変更(2)

訴因変更の要否・可否

第4回：訴因の変更(3)

訴因変更の要否・可否のほか、訴因変更に関連するその他の問題

第5回：被告人、黙秘権
弁護人

被告人の訴訟能力、被告人の地位、黙秘権の意義、範囲
弁護人の選任、国選弁護

第6回：挙証責任と推定
証拠の関連性

挙証責任と推定
関連性の意義、被告人の前科・類似行為の立証

第7回：自白法則(1)

自白法則、自白の証拠能力、約束による自白、偽計による自白、違法手続で獲得された自白

第8回：自白法則(2)

自白の証拠能力、派生証拠、自白の証明力・補強法則

第9回：伝聞法則(1)

伝聞法則の趣旨、伝聞の意義・伝聞と非伝聞

第10回：伝聞法則(2)

伝聞の意義・伝聞と非伝聞、伝聞例外、弾劾証拠、再現実況見分調書

第11回：伝聞法則(3)

伝聞例外、弾劾証拠、再現実況見分調書

第12回：違法収集証拠の排除法則

違法収集証拠排除の根拠、証拠排除の基準、違法な手続と証拠との関係、違法性の承継・毒樹の果実論

第13回：公判の準備

公判の準備、公判前整理手続

第14回：公判の裁判

概括的認定・択一的認定、裁判の効力

準備学習として、①事前に読んでおくよう指示される「刑事訴訟法講義」の該当か所、「ケースブック刑事訴訟法」中の判例、参考資料等をよく読み込んでおくこと、②事前に配付・指示される設例について、授業で発表できる程度に検討事項をよく検討し，討論に臨むこと。なお、事前学習では、根拠条文をその都度確認すること。判例については、判旨だけでなく、具体的にどのような事実関係であったかについても、十分理解しておくこと
授業後は、授業内容を復習するほか、課題として課される③指示された内容のレポートを作成すること。
本授業の準備学習・復習時間は各２時間を標準とする。

１　池田修ほか『刑事訴訟法講義〔第6版〕』（東京大学出版会）
２　井上正仁ほか『ケースブック刑事訴訟法』〔第5版〕（有斐閣）

酒巻匡ほか『演習刑事訴訟法』（有斐閣）（必要な部分は配付するので購入する必要はない。）

授業期間中における評価（平常点）
　授業における質疑応答・発表内容　10％　
　レポート　　　　　　　　　　　　20％
授業期間終了後における評価
　定期試験　　　　　　　　　　　　70％

効率的な予習ができるような資料を配付し、各学生のレベルにも応じた柔軟な対応を心掛けたい。