法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)行政法演習ⅡSeminar on Administrative Law Ⅱ
交告 尚史Hisashi KOKETSU
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | V1241、V1242 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2, 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | 3 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(応用科目) 公法系 |
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Outline (in English)
Students are required to get clearer understanding of how the general theories of administrative law are related with the problems of individual cases.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この講義は、行政法演習Ⅰで取り上げることのできなかったテーマ、およびテーマ的には重なるものの行政法演習Ⅰでは取り上げることができなかった判例を拾い出して、行政法全体に対する理解をさらに深めることを目的とする。
到達目標Goal
行政法の総論の知識と救済法の知識の融合を、行政法演習Ⅰよりもさらに高いレベルで実現することができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
第1回と第2回は、教員による解説の比重が大きくなる。初回に報告の担当を決めて、第3回からは、報告と討論の形で進める。
レポートの課題は学習支援システムを通じて周知し、レポートの提出および返却は電子メールで行う。期末試験の結果については、解説会を実施する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:行政権の濫用
テキストⅠ29事件。いわゆる個室付特殊浴場事件の判決を取り上げて、法の一般原則について学ぶ。
第2回:法律と条例
テキストⅠ43事件。自治体関係の事件の場合には、法律と条例の関係が問題になることが多い。その際に思考の出発点になるのが、この徳島市公安条例事件判決である。この判決で説かれている基本的な考え方を理解する。
第3回:行政行為の分類
テキストⅠ64事件。特許と許可の区別という伝統的な分類論の意味を確認し、その相対化を学ぶ。
第4回:行政裁量1
テキストⅠ75事件。いわゆる小田急訴訟判決を素材にして、判断過程の統制と呼ばれる裁量統制手法を学ぶ。
第5回:行政裁量2
テキストⅠ81事件。いわゆる剣道受講拒否事件判決を素材にして、学校の教育的裁量と信仰の自由の関係について考察する。憲法学の学習との関係に留意すること。
第6回:処分性
テキストⅡ157事件。取消訴訟の対象となる処分とは何かという論点を、労災就学援護費事件の判決を素材にして検討する。
第7回:原告適格1
テキストⅡ165事件。これは、第4回に学習した小田急訴訟の原告適格に関する判決である。都市計画事業認可の取消訴訟における第三者の原告につき、最高裁は平成11年判決では否定していたが、小田急訴訟判決では肯定した。判例変更の背景と理由付けを学ぶ。
第8回:原告適格2
テキストⅡ171事件。原告適格に関してもう一つ、競業者の原告適格が問題になった一般廃棄物処理業の事件を取り上げる。
第9回:訴えの利益
テキストⅡ176事件。これは、運転免許停止処分の取消しを求めて訴訟をしている間に免停の期間が経過した場合には訴えの利益は消滅するとした判決である。運転免許に関しては、ほかにもいろいろな事件があるので、総合的に検討する。
第10回:処分理由の差替え
テキストⅡ189事件。行政手続法に理由の提示の定めがあることを学んだが、これと関係する訴訟上の論点が処分理由の差替えである。その可否をめぐる考え方の違いを学ぶ。
第11回:違法判断の基準時
テキストⅡ193事件。違法判断の基準時とは、裁判所は、取消訴訟において処分の違法を判断するのに、処分時の法令・事実を基礎にするのか、それとも判決時のそれを基礎とするのかという問題である。その問題についての基本的な考え方を、農地買収事件に係る古い判例を素材にして学ぶ。
第12回:差止め訴訟
テキストⅡ207事件。平成16年の行政事件訴訟法改正で導入された差止め訴訟の仕組みと運用上の問題、およびその他の訴訟類型との関係を学ぶ。
第13回:確認訴訟
テキストⅡ208事件。平成16年の行政事件訴訟法改正で、同法4条に「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が明示された。今回は、在外邦人が選挙権を行使する権利の確認を求めた事件の判決を素材にして、確認訴訟の利用上の問題点を学ぶ。
第14回:国家賠償
テキストⅡ225事件。水俣病関西訴訟判決を素材にして、規制権限の不行使と国家賠償責任の問題を学ぶ。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストである判例百選をよく読み、基本的な判例の重要な判示事項を確実に理解すること。判例の解説に挙げられている参考文献にも、できる限り目を通すこと。報告者には、判例そのものを読み込んだより深い学習を求める。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ[第7版]』(有斐閣)
参考書References
塩野宏『行政法Ⅰ[第六版]』、同『行政法Ⅱ[第六版]』(ともに有斐閣)
宇賀克也『行政法概説Ⅰ[第7版]』、同『行政法概説Ⅱ[第6版]』(ともに有斐閣)
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業期間中における評価(平常点)
レポート10%、報告の内容5%、授業中の発言5%
期末における評価
期末試験 80%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
行政法の基本的な考え方に馴染める人と馴染めない人の差が大きい。せっかくの演習方式であるから、双方向的なやり取りを通して、受講者それぞれが苦手な点を克服できるよう手助けしたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
法令と判例を検索するシステムの利用環境(PC等)を整えておくこと。