法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)行政法演習ⅠSeminar on Administrative Law Ⅰ
交告 尚史Hisashi KOKETSU
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | V1231、V1232 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2, 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | 3 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(応用科目) 公法系 |
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Outline (in English)
On this cource students learn the skills to relate basic knowledge of the general administrative law with correspondent case theories.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この講義は、行政法の全体(総論と救済法)から重要なテーマをピックアップして、総論の学習事項と救済法の学習事項の関連に留意しながら学ぶことを目的とする。
到達目標Goal
行政法全体の主要テーマに関する論点について、判例を素材として議論を深めることにより、これまで習得した基礎知識を実践的に活用できるようにする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
第1回と第2回は、教員による解説の比重が大きくなる。初回に報告の担当を決め、第3回から報告と討論の形で進める。
レポートの課題は学習支援システムを通じて周知し、レポートの提出および返却は電子メールで行う。期末試験の結果については、解説会を実施する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:通達の法的性質
テキストⅠ55事件。通達は国民を法的に拘束するものではないという基礎知識を確認したうえで、さらなる問題の広がりを学ぶ。
第2回:行政行為の附款
テキストⅠ91事件。小学校教員の期限付任用が問題になった事件を素材に、行政行為に条件(附款)を付けることの可否と限界を学ぶ。
第3回:違法性の承継
テキストⅠ84事件。違法性の承継とは、第一の行政行為の出訴期間が経過した後、その行政行為を受け継ぐ第二の行政行為を争う際に、第一の行政行為の違法を主張することができるかという問題である。この問題についての基本的な考え方を学ぶ。行政判例百選Ⅰの第5版における同一テーマの判例および解説と比較すること。
第4回:行政裁量1
テキストⅠ76事件。これは、外国人の在留期間更新許否処分について、法務大臣の広範な裁量を認めた判決で、マクリーン判決と呼ばれる。この判決で示された裁量統制のあり方を学ぶ。
第5回:行政裁量2
テキストⅠ72事件。これはタクシー運賃認可事件の判決である。裁量と不確定概念の関係が今回の第一のテーマであるが、裁量基準の効力と個別事情考慮義務との関係にも目を向ける。
第6回:審査基準
テキストⅠ117事件。行政手続法5条の審査基準に関する規定の背景になったと言われる個人タクシー事件判決を精読し、内部規範によって許認可の基準を設定することの意義を理解する。
第7回:理由の提示
テキストⅠ121事件。処分理由の提示に関して、どのような場合に瑕疵があると評価されるのかを、旅券発給拒否事件判決に即して検討する。
第8回:処分性1
テキストⅡ152事件。行政計画の処分性について考える。土地区画整理事業の事業計画は、かつては処分性を否定されていた。本判決はそれを変更している。その要因を探究することにより、処分性の有無に関する判断の基本を身につける。
第9回:処分性2
テキストⅡ160事件。病院開設中止勧告の事件を取り上げて、性質的に行政指導に止まるとされた行為に処分性が認められたのは何故かを考える。
第10回:原告適格1
テキストⅡ162事件。主として第三者(処分の相手方でない者)が取消訴訟を提起する局面を想起し、その者が原告となり得るのかどうかという論点を、「もんじゅ」訴訟判決を通して学ぶ。
第11回:原告適格2
テキストⅡ192事件。これは、いわゆる新潟空港訴訟の判決である。行政事件訴訟法10条1項の意味を学ぶ素材として収載されているが、関連法規によって構成される法体系という見地から原告適格の拡大を図った判決としても重要であり、そちらに重点を置いて取り組む。
第12回:訴えの利益
テキストⅡ175事件。処分基準の性質について理解を深め、訴えの利益との関係を考える。
第13回:義務付け訴訟
テキストⅡ206事件。平成16年の行政事件訴訟法改正で導入された義務付け訴訟について、その仕組みと問題点を学ぶ。
第14回:国家賠償
テキストⅡ219。所得税更正処分の事件を素材として、国家賠償法1条の違法と抗告訴訟の違法との異同について学ぶ。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストである判例百選をよく読み、基本的な判例の重要な判示事項を確実に理解すること。判例の解説に挙げられている参考文献にも、できる限り目を通すこと。報告者には、判例そのものを読み込んだより深い学習を求める。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ[第7版]』(有斐閣)
参考書References
塩野宏『行政法Ⅰ[第六版]』、同『行政法[第六版]』(ともに有斐閣)
宇賀克也『行政法概説Ⅰ[第7版]』、同『行政法概説Ⅱ[第6版]』(ともに有斐閣)
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業期間中における評価(平常点)
レポート10%、報告の内容5%、授業中の発言5%
期末における評価
期末試験 80%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
行政法の基本的な考え方に馴染める人と馴染めない人の差が大きい。せっかくの演習方式であるから、双方向的なやり取りを通して、受講者それぞれが苦手な点を克服できるよう手助けしたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
法令と判例を検索するシステムの利用環境を整えておくこと。