国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
HIS500G1-211(史学 / History 500)多民族共生論ⅡBMultiethnic Coexistence II B
朝鮮・在日朝鮮人と日本社会
髙栁 俊男Toshio TAKAYANAGI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X2024 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木2/Thu.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
This class aims to study about Japanese multicultural coexistence, by reading of my own papers on Japan-Korea relations or Korean minority in Japan.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
在日朝鮮人をめぐる日本の多民族共生について考察する。
①在日朝鮮人(総称)が経てきた歴史を明らかにする
②政治史や運動史のみならず、生活史・文化史・精神史の解明に重点を置く
③日本における朝鮮民族との民族間関係や相互認識の諸相を考察する
④在日朝鮮人の事例をもとに、日本国内の他の民族間関係について考える際の視点を養う
⑤一次資料を含めた文献の調査や読解に関してレベルアップを図る
到達目標Goal
上記「授業の概要と目的」にある各項目について、大学院修士課程の学生として求められるレベルに達することを目標とする。
具体的には、在日朝鮮人の経てきた歴史・文化やその日本社会との関わりを、自らの知性と感性により時間的・空間的広がりの中で理解し、受け売りや図式的把握ではなく、自らの言葉で具体的・実証的に語れるようになることを目指す。
また、「研究」という自らの行為を、より客観的・多面的に眺める契機を得るようにする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち,「DP2」と「DP3」の達成のために特に重要であり,「DP1」と「DP4」の達成のために重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
秋学期のこの授業では、日本社会に大きな比重を占める「異民族集団」である在日朝鮮人を素材に、日本における異文化摩擦や多民族共生の姿を具体的に考察している。
2012年度から8年間、戦後、各種の民族団体・政党・社会運動団体ないし日本政府関係機関などが出した朝鮮関係のパンフレット・小冊子を読み解きながら、戦後の朝鮮・在日朝鮮人をめぐる論調や運動の系譜を追う作業を行った。取り上げたテーマは、戦後初期の在日朝鮮人運動、都立時代も含めた民族学校、朝鮮戦争、北朝鮮帰国事業、祖国自由往来運動、朝鮮高校生への襲撃、日韓条約、外国人学校法案、出入国管理法案、金嬉老事件、日立就職差別事件と民闘連運動、韓国民主化運動、在日韓国人政治犯、丸正事件、在日朝鮮人理解のための副読本作成、などである。
定年前最後のサバティカルを経た今年度からは、私自身が大学生以来、このテーマで執筆してきた各種の文章を取り上げる。研究者としての自己の歩みを俎上に載せるのは、必ずしも受講者に範を垂れる意味ではなく、その試行錯誤や紆余曲折の歩みを示すことで、同じく「研究」に携わる立場である受講生に、何らかの参考や示唆となることを期待するからである。
取り上げるそれぞれの著作は、その時代の社会潮流や研究動向の産物であり、また当然のこととしてその後のことは書いていないので、現在からみたら不十分な箇所もある。受講者は、テキスト内容を正確に読み解くとともに、それらを「当時」と「現在」という2つの文脈の中に置いて、客観的・学術的に分析していく。すなわち、なぜこのような主張がなされたか、「当時」の背景を明らかにすると同時に、「現在」の目から見た認識の問題点や、当該課題のその後の推移、さらには研究史の進展などもフォローしつつ報告するよう努めること。
授業の進め方としては、テキストをレポーターの報告と全員の討論で読んでいく。受講者が少なければレポーター無しの回も設けたい。関連映像の視聴も、適宜織りまぜる。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:導入
受講者の自己紹介、授業計画の解説、当面のテキスト配付、など。
第2回:中西伊之助①
学部卒業時の論文の要約を読む
第3回:中西伊之助②
学部叢書掲載の文章を読む
第4回:啓発冊子①
『ふれあいのまち大阪:在日外国人とともに生きる』を読む
第5回:啓発冊子②
『すぎなみの中のKOREA』を読む
第6回:関連映像の上映①
前4回の授業に関連する映像を観る
第7回:在日朝鮮人史の通史
岩波新書『在日朝鮮人:歴史と現在』の書評
第8回:エスニック雑誌の刊行①
雑誌『民主朝鮮』から『新しい朝鮮』までを取り上げる
第9回:エスニック雑誌の刊行②
雑誌『朝鮮文藝』を取り上げる
第10回:関連映像の上映②
前3回の授業に関連する映像を観る
第11回:雑誌編集長としての李進熙
自伝書評と弔辞を取り上げる
第12回:日本の報道論調①
1950から60年代の在日朝鮮人と日本の世論
第13回:日本の報道論調②
日韓条約締結時の新聞論調
第14回:関連映像の上映③
前3回の授業に関連する映像を観る
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストに登場する文献や授業中に指示する関連文献の講読、関連映像の視聴、関連箇所への訪問など。
本授業の準備学習・復習時間は、各2 時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
その都度、紙媒体もしくはpdfで配付する。
参考書References
『韓国朝鮮を知る事典』(平凡社)、『在日コリアン辞典』(明石書店)などの事典類
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポーター時の報告30%、普段の授業への貢献度40%、および学期末の授業総括報告書30%を目安に、総合的に判断する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
例年、少人数の授業のため、「授業改善アンケート」非実施科目だが、私の授業では教員を含む参加者全員が、最後に自分なりの授業総括報告書を作成し共有化しており、それを次年度の授業改善に活かすよう努めている。
近年、留学生の受講も増えてきたが、一般学生も留学生も、ともに意義を感じるような授業を目指したい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
朝鮮近現代史、とくに在日朝鮮人(広義)の歴史や文化の研究、日朝関係史
<研究テーマ>
在日朝鮮人の歴史や文化を、従来の「差別問題」という視角からでは抜け落ちてしまう諸側面も含めて、多面的に描き出し、新しい時代に合わせた等身大の在日像と、日本社会のあるべき姿を考察すること。そのために文献収集や聞き書きを行ない、これまで光が当てられなかったような個人の事例を数多く集めること。
<主要研究業績>
・「渡日初期の尹学準―密航・法政大学・帰国事業」(法政大学国際文化学部『異文化』第5 号論文編、2004 年)
・「短歌と在日朝鮮人―韓武夫を手がかりとして」(日本社会文学会『社会文学』第26 号、2007 年)
・「飯田・下伊那研修を意義あるものとするために―国際系学部の事前学習授
業の実際から」(「学輪IIDA」機関誌『学輪』第2号、2016年)
*詳細は、本学の「学術研究データベース」をご参照