通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning)
LAW300TF(法学 / law 300)商法総則・商行為法Commercial Law
教科担当責任者 / Instructor in charge of class:橡川 泰史Yasushi TOCHIKAWA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning) |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
担当者Instructor name | 松谷 秀祐 |
科目種別Class Type | 通信学習(リポート・試験) |
履修学年Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 経済学部 経済学科 専門教育科目 |
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Outline (in English)
Students in this class will learn about the rules governing the organization of a business and business transactions.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
【学習の到達目標】Goal
企業組織・企業取引に関してわが国ではどのような法制度・ルールが用意されているかについて基本的な知識を修得しており、それら法制度・ルールの概要を説明することができる。
【この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)】Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
企業組織・企業取引に関してわが国ではどのような法制度・ルールが用意されているかについて基本的な知識を修得しており、それら法制度・ルールの概要を説明することができる。
【授業で使用する言語】Default language used in class
日本語 / Japanese
【科目の概要】Method(s)
本科目は、商法(明治32年法律48号)のうち、第1編総則(第1条から第31条)、第2編商行為(第501条から第617条)を主たる学修対象とする科目です。また、会社法(平成17年法律第86号)第1編総則(第1条から第24条)のうち、商法第1編と同様の規定が置かれている部分についても本科目の学修対象となります。
具体的には、上記3編に規定されている各条文および関連する重要判例に関する出題を行います。
【成績評価基準】Grading criteria
リポートの完成度および単位修得試験の成績で評価する。
【テキスト名および詳細】Textbooks
指定市販本『コア・テキスト商法総則・商行為法』新世社、川村正幸ほか著、2019年、¥1900+税
【学習指導、注意点等】Work to be done outside of class (preparation, etc.)
個々の点については、通信学習のリポートに添削・講評の中でフィードバックしますが、本科目の学習に際して以下の5点について注意しながら学習を進めるよう心がけてください。
⑴ 概念や法技術の「つながり」を意識しながら学習を進める。
商法は他の法分野と比較して、なじみが浅く興味が持ちにくいと考えられがちです。確かに、商法の中には、特有な意味を有する特殊な概念や法技術が多く用いられています。しかし、それらの概念や法技術は、当然、一定の目的を達成するために、商法の中に用いられているのです。そこで、テキストを通読する際には、商法上の概念や法技術はそれぞれどのような目的や狙いを持っているのか、それぞれの概念や法技術は相互にどのような関連性を有しているのかという点に留意しながら読み進めていってください。そうすれば学習を進めていくにつれて、理解も深まり、商法の学習に興味が持てるようになるでしょう。
⑵ テキストを自分だけの本に加工する。
ただ、漫然とテキストを読んでいるだけでは、情報が右から入って左から出ていくだけです。そこで、テキストを通読する際には、必ずペンなど筆記用具を持ちながら、読み進めていってください。
その際、たとえば、条文の内容など、重要そうな概念を説明した箇所には赤のアンダーラインを引く、条文の文言が曖昧なために、判例・学説上争いがある箇所(このような箇所を「論点」とも言います。)には青のアンダーラインを引く、一読して意味がよくわからなかった箇所には「?」マークを余白に鉛筆で書く、というように、テキストを自分だけの本に加工していってください。最初は「?」マークだらけ、あるいは1ページ読み進めるのに1日かかることもあるでしょうが(私も法律の勉強を始めたころにはそうでした。)、着実に一歩一歩、歩みを進めていってください。
⑶ 常に傍らに六法、法律学小事典などを置いてテキストを通読する。
テキストを読み進める際に、条文が出てきたら六法で該当条文を調べる、また、意味がわからない用語が出てきたら、『法律学小辞典』(有斐閣)などの法律学辞典を調べるという習慣をつけるようにして下さい。ごくまれに、テキストに書いてある文章を抜き書きして、該当条文も調べていない、自身で意味がよくわかっていない用語も調べていないリポートに出会いますが、そのような「手抜き」リポートは見た瞬間にわかります。一語一語、調べながら読み進めることは一見すると遠回りのようですが、実は、体系的・専門的知識修得への一番の近道であるのです。
⑷ 当事者の関係図などをメモにとりながらテキストを読み進める。
テキストを読んでいると、多数の当事者が出てくる事例にも遭遇します。たとえば、次のような事例があります。「XはA会社に対する貸金債権の担保のためA会社からアンゴラ毛糸を譲渡担保にとっていた。A会社の倒産後、Xはこれを換価処分しようとしたが、Xは金融業者であり、自ら買主を探すことはできなかったので、A会社の代表に毛糸の売却を依頼し、BはこれをYに売却した。Bは毛糸の売買の際、Xのためにすることを示さず、また、Y会社はその毛糸がA会社よりXに譲渡担保に供されていたことを知らなかった。XがY会社に代金を請求したところ、Y会社はA会社に対する反対債権と売買代金債務を相殺したと主張した(指定市販本111ページ以下)。」どうでしょうか。一読して、当事者関係および事案の流れを明確に把握できたでしょうか。テキストではこのような複雑な事例が多く出てきますので、そのような事例に遭遇した際には、頭の中だけで悩むのではなく、実際に当事者関係の図(例:X→A会社代表B→Y)や、時系列の図(例:譲渡担保→倒産→代理行為)を付箋やノートに書きながら読みすすめていってください。
⑸ 商法総則・商行為法はそれ自体で完結した科目ではないことに注意する。
シラバス冒頭で商法総則・商行為法は企業の組織及および取引に関する科目であると説明しましたが、企業の組織および取引に関する規定の全てが商法・会社法に定められているわけではありません。
そのため、テキストを読み進める際、また、リポート作成の際、あるいは単位修得試験の対策の際には、他分野、特に、私人間の権利義務関係について広く一般的に規定した民法に関する知識が必要不可欠になります。
通学部あるいは通信教育部を問わず、受講生から、商法総則・商行為法の内容が難しい、理解できないという質問をよく受けるのですが、実はその悩みの主たる原因は、基本となる民法の知識及び思考方法が身についていないことである場合が多いと感じています(たとえば、代理・登記・損害賠償などです。)。
この点、たとえば、遠回りのように感じるかもしれませんが、まずは民法各科目のテキストあるいは、野村豊弘『民事法入門〔第8版〕』(有斐閣、2019年)などを通読し、民法の規定についてひととおり学習(復習)した上で、本科目の学習を始めると理解度が全く異なったものになるでしょう。