法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)民法ⅠCivil Law Ⅰ
遠山 純弘Junkou TOOYAMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | V1411 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期前半/Spring(1st half) |
曜日・時限Day/Period | 火2/Tue.2,金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(基礎科目) 民事系 |
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Outline (in English)
【Course outline】
Through Civil Law Ⅰ-Ⅴ, students learn about basic knowledges and systematic understandings of Civil law.
In Civil Law Ⅰ-Ⅱ students learn about Contract Law.
In Civil Law Ⅰ students especially learn about Formation of Contract, Validity of Contract and Prescription.
【Learning Objectives】
The goal of this class is to enable students to understand and explain each theme described in the "Class Plan" below.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policies】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 80%, little examination : 10%, in class contribution: 10%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
・「民法Ⅰ~Ⅴ」の全体を通じて、民法の構造および民法上の諸制度に関する基礎的・体系的理解の獲得とともに、法的思考力の養成を目指す。
・「民法Ⅰ」および「民法Ⅱ」では、学生は「契約法」について学ぶ。「民法Ⅰ」では、「契約法」のうち、主として、「契約の締結」、「契約の有効性」、「時効」、とりわけ「消滅時効」について学ぶ。
・各回の授業は、受講者が入念に予習していることを前提に、対話形式で基本的知識を確認しながら、それらの基本的知識がもつ意味と問題の全体像について解説を加えるという形で進める。
・到達度を確認するために、授業中に小テストを実施する。
到達目標Goal
・下記「授業計画」記載の各項目について、学生がその内容を理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅰでは、主として、契約の締結方法、契約の有効要件、消滅時効について学ぶ。どのような場合に契約が成立か、また、どのような場合に契約が効力を生ずるか、どのような場合に債権が消滅時効にかかるかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅰ~Ⅴ、民法演習Ⅰ~Ⅲを通じての到達目標については、別紙資料のとおりである。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・双方向・多方向形式を基本としつつ、講義形式を併用する。
・各回の授業は、受講者が教科書および予習課題に基づいて入念な予習をしていることを前提に、対話形式により基本的知識を確認しつつ、発展的事項の解説を加えるかたちで行う。
・授業は、教科書に従って進める。
・授業内の課題(小テスト)および定期試験のフィードバックは、授業内または定期試験解説期間において解説を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:①ガイダンス
②民法の全体像
・私法の中での民法の位置づけについて、説明することができる。
・日本の民法典がどのような編別になっているかを理解している。
・私的自治の原則など私法(民法)の一般原理を挙げ、基本的な考え方を説明することができる。
・信義誠実の原則(信義則)の考え方について、説明することができる。
・権利濫用の法理について、具体例を挙げて説明することができる。
第2回[対面/face to face]:人・権利能力
①自然人
②法人
・権利能力の意義について、説明することができる。
・権利能力の始期(胎児の法的地位を含む)について、説明することができる。
・権利能力の終期(同時死亡の推定を含む)について、説明することができる。
・住所の概念(内容・意義)について、説明することができる。
・不在者の財産管理の制度の意義及びその概要を説明することができる。
・失踪宣告の制度の意義及び必要性について、説明することができる。
・法人とはどのような制度であり、法人に権利能力を認めるのはなぜ必要であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・法人にはどのような種類があり(社団法人・財団法人、営利法人・非営利法人)、それぞれどのような法律に従って法人の設立が認められるかについて、基本的な考え方を説明することができる。
・法人の構成員が法人の債務についてどのような責任を負うかを、具体例を挙げて説明することができる。
・法人設立の目的が法人の権利義務についてどのような意義を有するかについて、その考え方と問題点の概要を説明することができる。
・法人の代表機関が行った取引行為や不法行為が法人にどのような効果を及ぼすかを、具体例に即して説明することができる。
第3回[対面/face to face]:①契約の一般原則、種類
②契約の締結
③代理(有権代理)
・法律行為及び意思表示の意味を説明し、法律行為の種類を挙げることができる。
・意思表示及び法律行為の解釈に関する考え方(意思主義・表示主義など)について、具体例に即して説明することができる。
・慣習とは何か、慣習がどのような場合に効力を有するかについて、説明することができる。
・意思表示の効力が発生する時点に関する到達主義と発信主義の違いについて、具体例を挙げて説明することができる。
・代理とはどのような制度であるか、またなぜ必要であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・代理人の行った法律行為の効果が本人に帰属するためにどのような要件が必要であるかを、具体例に即して説明することができる。
・代理権がどのような根拠に基づいて発生し、その範囲がどのようにして決まるか、また、どのような原因に基づいて消滅するかを説明することができる。
・自己契約・双方代理とはどのような場合であるか、また、その代理行為の効果がどうなるかを、具体例に即して説明することができる。
・代理人が行った法律行為の効力が誰を基準として判断されるか、またその理由は何かを説明することができる。
・代理権濫用とはどのような場合を指すか、また、代理権が濫用された場合に、それが代理行為の効力にどのような影響を及ぼすかについて、判例・学説の考え方を踏まえて、具体例に即して説明することができる。
・諾成契約の原則とその例外(要式契約、要物契約等)について、説明することができる。
・契約の成立時期について、説明することができる。
・約款とはどのような概念であるかを説明し、約款による契約の具体例を挙げることができる。
・約款による契約における不当条項の規制に関する基本的考え方について、説明することができる。
・消費者契約法の定める不当条項規制の仕組みについて、条文を参照しつつ説明することができる。
第4回[対面/face to face]:表見代理①
・表見代理とはどのような制度であり、また無権代理とどのような関係にあるかを、具体例に即して説明することができる。
・表見代理にはどのような類型があり、本人は、それぞれどのような要件の下で、どのような根拠に基づいて責任を負うかを、各類型の具体例を挙げて説明することができる。
第5回[対面/face to face]:①表見代理②
②無権代理
・代理人が、代理権なくして代理行為を行った場合に、代理行為の効果がどうなるかを説明することができる。
・無権代理行為の相手方が、無権代理人に対して、どのような要件の下でどのような責任を追及することができるかを、具体例を挙げて説明することができる。
第6回[対面/face to face]:無権代理と相続
・無権代理と相続をめぐる諸類型について、判例・学説の考え方を説明することができる。
第7回[対面/face to face]:契約の有効性①
(行為能力)
・意思能力の意義及び意思能力のない者がした意思表示・法律行為の効力について、 説明することができる。
・行為能力制度の趣旨(目的・必要性)について説明し、どのような類型があるかを示し、各類型の要件及び効果について、条文を参照して説明することができる。
・行為能力制度における、相手方の保護を図るための制度について、条文を参照して説明することができる。
第8回[対面/face to face]:契約の有効性②
(意思表示の瑕疵①)
・心裡留保の意義及び当事者間における意思表示の効力について、説明することができる。
・通謀虚偽表示の意義及び当事者間における効力について、説明することができる。
・通謀虚偽表示の第三者に対する効力について、具体例を挙げて説明することができる。
第9回[対面/face to face]:契約の有効性③
(意思表示の瑕疵②)
・錯誤にはどのような種類があるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
・錯誤の要件及び効果について、説明することができる。
・動機の錯誤の法的処理について、判例・学説の考え方とその問題点を説明することができる。
・詐欺・強迫の要件及び当事者間における効力について、説明することができる。
・詐欺・強迫による意思表示の第三者に対する効力について、説明することができる。
・消費者契約法における意思表示に関する規定の趣旨について、説明することができる。
・消費者契約法上の取消原因の概要について、条文を参照しながら説明することができる。
第10回[対面/face to face]:契約の有効性④
(契約の内容)
・強行法規・任意法規の意味について説明し、それぞれの具体例を挙げることができる。
・公序良俗とはどのような概念であるか、公序良俗に反する法律行為にはどのような類型があるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
・公序良俗違反の法律行為が無効であるという意味について、具体例に即して説明することができる。
第11回[対面/face to face]:契約の有効性⑤
(条件・期限)
・条件と期限にはどのような違いがあるか、条件と期限にはどのような種類のものがあるかについて、説明することができる。
・条件の成就及び不成就の効果について、説明することができる。
・期限の利益にはどのような意味があるかについて、説明することができる。
第12回[対面/face to face]:契約の消滅(無効・取消し)
・無効と取消しの基本的な相違について、説明することができる。
・無効・取消しにより法律行為の効果が認められない場合の基本的な法律関係(履行請求の可否や事実上履行がなされた場合の事後処理等)について、説明することができる。
・無効行為の追認の意味について、具体例を挙げて説明することができる。
・取り消しうる法律行為・意思表示について、誰が取り消すことができるか、いつま で取り消すことができるかについて、説明することができる。
・取消しの基本的効果(制限行為能力者の返還義務に関する特則を含む)について、説明することができる。
・取り消しうる法律行為・意思表示の追認及び法定追認の意義、要件及び効果について、説明することができる。
第13回[対面/face to face]:時効(総論)
・時効とはどのような制度であり、何のために認められているのかを、具体例を挙げて説明することができる。
・時効完成の効果(援用権の発生、援用権の趣旨、援用の効果、時効の効力)について、説明することができる。
・時効が完成した場合に、その時効を援用することができるのは誰かについて、判例・学説の基本的な考え方と問題点を説明することができる。
・時効の援用権者がその援用権を行使することができないのはどのような場合か、またその理由は何かを、具体例を挙げて説明することができる。
・時効の完成猶予及び更新がどのような制度であるかを説明し、どのような場合に完成が猶予され、 更新が認められるかを、条文を参照しつつ説明することができる。
第14回[対面/face to face]:消滅時効
・期間の計算の基本的考え方(初日不算入の原則を含む)について、条文を参照しつ つ説明することができる。
・消滅時効とはどのような制度であり、また、どのような権利がその対象となるかについて説明することができる。
・消滅時効の一般的な要件について、説明することができる。
・同一の権利について短期と長期の期間制限が設けられている場合について、その趣旨、期間の性質(いわゆる除斥期間の概念を含む)及び起算点について、説明することができる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・上記「授業計画」記載の教科書の該当ページを必ず読んで授業に臨んでもらいたい。予習では、教科書の該当部分を読み理解し、授業前にわからない部分を明確にしておくことが必要である。授業では、その不明な点について確認をし、また、授業でそれについて触れなかった場合には、授業外で質問し、理解する必要がある。
・本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・遠山純弘『請求権から考える民法1』(信山社、2024年)刊行予定
参考書References
・参考文献として以下の文献を挙げておく。
①松久三四彦ほか著『オリエンテーション民法第2版』(有斐閣、2022年)2,750円
②潮見佳男ほか『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第8版]』(有斐閣、2018年)2,376円
・そのほか必要な参考書は、授業中に適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、以下のとおりである。
・定期試験(80%)
*事例式問題によって「共通的な到達目標モデル(第2次案修正案)」(民法)記載の事項について理解度を確認する。
・小テスト(10%)
・質疑応答(10%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生からは、民法は覚えることが多すぎるという意見を聞く。ただ、この問題は、法学未修者については、法学部の学生が4年間かけて修得すべきことを1年間で修得するのであるから、法学未修者にとって避けて通ることができない問題である。この点については、1年次において授業で取り上げるすべての事項を修得しようとせず、1年次で修得すべき事項(これについては、別紙資料参照)を優先的に学修し、2年次以降に取り上げる事項については、「民法演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を通して修得するといった対応が必要であろう。
・授業内容が難しいという意見を聞く。2年次の授業では、すでに民法について学習をしてきた学生たちと同じクラスで授業を受けることになる。そのため、1年次の授業は、2年次のそうした学習についていける能力を養成することが要求される。そのため、授業は、民法Ⅰから民法Ⅴにおいて、民法全般について学習しなければならず、授業レベルも一定のレベルを維持する必要がある。授業の進行については、上記の授業内容において、各回の授業がどのように進行していくかはわかるはずであり、それにあわせて予習・復習をしてもらう必要がある。授業の内容については、授業において、内容のレベルに触れながら説明をしている。そのため、授業を漫然と聞くのではなく、そういった説明もメモをとるなどの工夫をして授業を聞いてほしい。また、授業が難しいという学生のほとんどは、予習・復習をしていない、あるいは予習・復習が足りていない傾向がみられる。法学未修者の授業は、何もせずに授業に臨んでもわかるように授業をするわけではない。授業は、最低限、各自予習・復習を各2時間してきていることを前提にして進めるので注意してほしい。