理工学研究科Graduate School of Science and Engineering
MAT500X4(数学 / Mathematics 500)確率過程特論1Stochastic Process 1
安田 和弘Kazuhiro YASUDA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 理工学研究科Graduate School of Science and Engineering |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | YC502 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 小金井 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | システム理工学専攻 |
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Outline (in English)
【Course outline】
The purpose of this course is to learn fundamental parts of stochastic analysis.
【Learning Objectives】
The goals of this course are to understand fundamental parts of stochastic analysis.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to read the relevant chapter(s) from references before each class meeting.
Students will be expected to review the lecture note and solve problems
given in class after each class meeting.
Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Final grade will be calculated according to the following process reports (60%) and in-class contribution (40%). If number of absence is more than or equal to 4, your grade is automatically D.
授業で使用する言語Default language used in class
その他言語 / Other
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
世の中のほとんどの現象はノイズ(不規則性)を伴い,そのような不規則な現象が時間とともに刻々と起きていると考えられる.そのような現象をモデル化するのに確率過程が必要である.本授業では,特にブラウン運動(ウィーナー過程,ホワイトノイズ(白色雑音))およびそこから導かれる確率過程や解析手法を学ぶ.
応用や関連分野は多岐にわたる:
・工学(確率システム,確率制御工学,宇宙工学,ロボット工学,自動制御工学など)
・金融工学・数理ファイナンス,経済学
・OR(信頼性工学など)
・物理学(統計力学・統計物理など)
・生物学(遺伝,感染症モデル,数理生物学など)
・数理人口学(人口変動など)
・気候・気象学
・交通工学(動的な交通流など)
・フラクタル理論
・放物型偏微分方程式(拡散方程式)と関わる分野(熱伝導,製薬など)
など幅広い分野で用いられている.
また,本授業で学ぶ内容は,ここには書かれていなくても,時間と共にランダムに変化する現象をモデル化(および分析)するのに用いることが可能と思われる.
本授業の目的は,上記の通り幅広い応用をもつ確率解析の基礎理論を学ぶことである.
到達目標Goal
より詳しい内容:
1.ランダム・ウォークからブラウン運動に確率過程を拡張し,ブラウン運動の性質を学ぶ.
2.条件付き期待値を学んだ後,マルチンゲールの定義及び性質を学ぶ.
3.ブラウン運動による確率積分の定義を与え,性質や伊藤の公式を学ぶ.
4.確率微分方程式を学ぶ.
5.確率解析で必要となるその他の定理等を学ぶ.
これらを体系的に理解することが到達目標である.
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
IISTの学生が履修した際は英語と日本語の併用,それ以外は日本語
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は講義形式で,板書で行う.
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:はじめに,確率過程とは
確率過程についてのガイダンスをする.
第2回[対面/face to face]:ランダム・ウォーク
ランダム・ウォークの定義や性質などを紹介する.
第3回[対面/face to face]:ブラウン運動1
ブラウン運動のイメージや定義を与える.
第4回[対面/face to face]:ブラウン運動2
ブラウン運動の性質を学ぶ.
第5回[対面/face to face]:条件付き期待値
条件付き期待値の定義及び性質を学ぶ.
第6回[対面/face to face]:マルチンゲール1
マルチンゲールの定義を与える.
第7回[対面/face to face]:マルチンゲール2
マルチンゲールの性質について学ぶ.
第8回[対面/face to face]:確率積分1
確率積分の定義を与える.
第9回[対面/face to face]:確率積分2
確率積分の性質について学ぶ.
第10回[対面/face to face]:伊藤の公式
伊藤の公式を紹介し,いくつか計算例を示す.
第11回[対面/face to face]:確率微分方程式1
確率微分方程式を紹介し,そのイメージを与える.
第12回[対面/face to face]:確率微分方程式2
簡単な確率微分方程式について解くことが出来るようにする.
第13回[対面/face to face]:ギルサノフの定理
ギルサノフの定理を紹介し,それを用いる方法を学ぶ.
第14回[対面/face to face]:ファイマン・カッツの公式
ファイマン・カッツの公式を紹介し,確率微分方程式と偏微分方程式との関係を学ぶ.
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
【本授業の準備・復習時間は、各4時間を標準とします。】
受講前に学部の授業の応用確率論について復習しておくと良い.毎回の講義ノートを復習し,分からない点は随時質問に来て解消しておくこと.また和書,洋書で良書も多数あるので適宜,参考にするとよい.和書に関しては,「参考書」でいくつか紹介している.
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しない.
参考書References
例題で学べる確率モデル(成田清正著,共立出版)
確率解析への誘い(成田清正著,共立出版)
確率微分方程式入門(石村直之,共立出版)
新版 ファイナンスの確率解析入門(藤田岳彦,講談社)
確率微分方程式(長井英生著,共立出版)
確率微分方程式(ベァーント・エクセンダール著,シュプリンガー)
確率微分方程式とその応用(兼清泰明著,森北出版)
確率システムにおける制御理論(向谷博明著,コロナ社)
確率システム入門(大住晃著,朝倉書店)
など
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(40%)とレポート(60%)で評価する.欠席が4回以上の場合は無条件で不可とする.
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特に対応するべき指摘はない.
その他の重要事項Others
秋学期科目の「確率過程特論2」では,確率制御理論について学ぶ.確率制御理論は,AlphaGoやロボット工学などで近年注目を浴びている強化学習と関連する話題である.そのような分野にも興味ある学生は,まず「確率過程特論1」を履修しておいてください.