理工学研究科Graduate School of Science and Engineering
ELC500X2(電気電子工学 / Electrical and electronic engineering 500)通信機器工学特論1Telecommunication Equipment Engineering (Ⅰ)
斉藤 茂樹Shigeki SAITO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 理工学研究科Graduate School of Science and Engineering |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | YA535 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 土1/Sat.1 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 小金井 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 電気電子工学専攻 |
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Outline (in English)
This course introduces key technologies used in wireless communication and optical communication (digital modulation / demodulation, radio wave propagation, digital signal processing technology etc) to students taking this course.
The goals of this course are to acquire a wide range of basic technologies for (wireless) communication in general.
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting . Your study time will be more than four hours for a class.
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term end examination: 20 %、 Short reports :20% 、and in class contribution: 60%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
分かり易い通信技術: IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)及びロボットが政府の新成長戦略の先端技術として掲げられている。特に、IoTは、幅広い技術分野に関連しており、卒業後も何等かの形でこれらの技術開発に携わるであろう。家電や車も通信手段を備えIoTにより変革を遂げていくであろう。自動運転技術も然りである。これらを支えているのは、無線通信や光通信技術である。特に光通信は無線通信の信号処理技術を取り入れて急速に大容量化が図られている。海外のワールドカップのライブ映像が殆ど遅延なしで見られるのもこれらの技術のお蔭である。
本講では、無線通信や光通信で使用される主要技術(デジタル変復調、電波伝搬、デジタル信号処理技術等)について学ぶ。無線通信技術を中心に考えるが、デジタル信号処理技術は様々な技術分野への応用が可能であり卒業後も実践で役立つと確信する。テーマは、「通信技術全般の基礎知識の習得と創造力(発明力)・応用力の養成」とする。創造力・応用力の養成では、特許作成方法も学ぶ。
到達目標Goal
本科目では、以下を到達目標とする。
①(無線)通信全般の基礎技術を幅広く習得する。
②通信機器に関する基礎技術を数式だけでなく感覚的に身につける。
③キーワードを聞いただけで通信の動作をイメージできるようになる。
④それを通して、新たな通信装置や通信技術を開拓しえる力、即ち豊かな創造力を身に付ける。
⑤特許が作成できる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、「課題を提起しその解決手段を自身が考える」ことで、知識だけではなく使える技術力を身に着ける。技術の真の意味を理解し、応用を可能とし、更には新たに創造できる力を養う。教科書は使用せず資料を配布するが、対話形式や討論形式で考える力を引き出し、自身でノートにまとめることで記憶を深める。難しい理論式については分かり易く解説するので、通信以外の世界に進まれる方にも一助になると確信する。更に、クイズ形式やグループ討論等で楽しく学ぶ。特に項目毎の○×問題で理解度を測る。また13回目に授業内の課題の講評や解説を行う。
例えば、ケータイの音声通話とラインの音声通話はどう違う?プラチナバンドとは何か?5Gは速いだけか?変調は何故必要?ススマホ画面のアンテナ表示の意味は?携帯電波はどこまで届くのか?苦労して発明した技術、権利化しなかったらどうなる?これらの解決手段を討論等によって検討し、発表し、講評を受けることで自身の力として取り込む。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:自動運転技術を支えるもの
自動運転を支えている無線はどれか、ケータイ、無線LAN、ミリ波、FMラジオ、GPS、ETC?
(通信のしくみ、無線通信・光通信)
第2回[対面/face to face]:携帯電話機の構造
ケータイの中を覗いてみよう、電波はRF部で作っている、〇か×か?
(RF部、ベースバンド部、変復調部、受信電力の単位dBm)
第3回[対面/face to face]:ベースバンド信号
音声、音楽、写真、動画、TV画像、メール、SNS、ネット、のうち、ベースバンド信号はどれか?
(デジタル化、伝送レート)
第4回[対面/face to face]:フィルタリング
動画や音楽はデジタル信号に変換する方が周波数スペクトルが狭くなり伝送しやすくなる、〇か×か?
(フーリエ変換、符号間干渉、ナイキストフィルタ)
第5回[対面/face to face]:デジタル変調
変調とは次のどっち?①ベースバンド(BB)の調子をキャリアで変える、②キャリアの調子をBBで変える?
(ベースバンド信号とキャリア、ベクトル変調、QPSK)
第6回[対面/face to face]:デジタル復調
S/Nが小さく受信が不安定、アンプすれば改善できる、〇か×か?
(S/N、同期検波、遅延検波、誤り率)
第7回[対面/face to face]:最新変復調方式
最新の変復調はフーリエ変換が駆使されている、〇か×か?
(FFT、OFDM、スペクトラム拡散、CDMA、MIMO)
第8回[対面/face to face]:周波数、電波伝搬
電波は周波数が高い程、ビルの裏へ回り込みやすい、〇か×か?
(周波数割当、伝搬特性)
第9回[対面/face to face]:回線設計
Wi-Fiの電波レベルでも東京から大阪まで届く、〇か×か?
(アンテナ利得、伝播距離、受信感度、雑音電力)
第10回[対面/face to face]:フェージング、アクセス方式、適応等化
電波も音と同じように直接波と反射波との合成で強弱が発生する、〇か×か?
(フェージング、ダイバーシチ、適応等化)
第11回[対面/face to face]:誤り訂正方式、
高周波回路
CDやDVDに傷がつくとデータが破損し使い物にならない、〇か×か?
(FEC、CRC、リードソロモン、ビタビ、PLL)
第12回[対面/face to face]:特許取得方法
特許は出願すれば権利化される、〇か×か?
(特許の重要性、特許の取り方、発明のコツ)
第13回[対面/face to face]:まとめ
これまでの授業の振り返り(授業内の小問題や課題に対する講評や解説)。
第14回[対面/face to face]:まとめ演習及び解説
到達目標の達成度の確認
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
【本授業の準備・復習時間は、各4時間を標準とします。】学んだ内容を、実践(日常や研究)で使ってみる。多くの疑問を出し答えを考えることで知識を深める。些細な疑問でも積極的にメールや授業で提示されたい。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用せず、学習支援システムにアップロードした参考資料で講義を行う。各自ダウンロードし必要に応じて印刷すること。討論結果や自らの検討結果をノートに書き留めることで記憶を深める。
参考書References
1.坂田史朗、嶋本薫編著「無線通信技術大全」リックテレコム
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(60%)、課題(20%)、まとめ演習(20%、必須)を総合して評価する。まとめ演習は対面で実施。オンライン授業の場合、ダウンロードした問題に回答する形式で行う。
平常点から考える意欲を、課題及びまとめ演習から目標の達成度をはかる。各回の授業の内容は相互に関係しているので授業に欠かさず出席すること。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
成績評価基準は本シラバスに明記。項目毎に○×問題で理解度を測り授業にフィードバックする。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン授業の場合、スマホよりもテキストが見やすいモニタのあるPCを望む。更にカメラ付がベター。
その他の重要事項Others
通信機器工学特論と情報伝送工学特論はセットとして履修されたい。また、特論1(春)に続けて特論2(秋)を履修することを薦める。伝送の基礎理論から応用まで、通信技術全般を学ぶことができる。通信分野以外にも役立ち、企業での活躍の一助となるであろう。無線技術士の資格取得や特許作成力の習得にも有用。
通信機器工学特論1: 分かり易い通信技術
通信機器工学特論2: 分かり易い無線システム
情報伝送工学特論1: 分かり易い(使える)デジタル信号処理
情報伝送工学特論2: 分かり易い伝送基礎理論
[実務経験及び反映] NTT研究所で初代デジタル携帯電話機を開発(2018年度電波技術協会賞受賞)。第1級無線従事技術士取得。回路設計から標準規格化まで担当。NTTエレクトロニクス株式会社で各種通信機器を開発。特に、無線LAN(Wi-Fi)用IC、TV素材伝送無線装置、及びIoT用無線装置、並びにセキュリティ技術を開発。
上記の実務経験を活かして、情報通信技術の様々な疑問について分かり易く解説する。特に、IoT用無線技術やデジタル信号処理技術は、今後の研究開発活動の一助になると考える。さらに特許事務所での実務経験を生かした特許取得方法の講義は企業に入社後間違いなく有益となる。